「ニッポンの芸能人」シリーズ39
2005/7/11
広瀬隆著「私物国家――日本の黒幕の系図」
上記の本は1997年発行(光文社刊)だが、いまあらためて頁をくってみると、現在の政治・経済・行政・金融などの現在の腐敗ぶり、堕落ぶりの源流・底流が手にとるようにわかる。
それにしても、ほんとうに日本及び日本人のダメさかげんは、どこまで堕ちるのか。
本のオビには「税金を私物化した金融集団……」とあって、ざっと50人ほどの「税金横領に狂奔した人物」が実名・写真入りで列挙されている。
すでに、汚名をかぶったまま逝った者も多いが、現在もぬけぬけと、正義漢づらしてのさばり歩いている奴も大勢いる。
この著者が列記している各人の〔犯罪〕はすべて利権と多額な金である。
たとえば、公共事業にかかわるゼネコン談合の元締めと目された故金丸信は、百億の不正蓄財にうつつをぬかし、巨額脱税で逮捕されたが、その車椅子の姿の末路はただ憐れだった。
そのほか、欲まみれに金まみれの50人ほどの悪徳集団代表の中には、あらためて目を見張らせる奴がいるわ、いるわ……。
それから8年後のいま……。
すこしも国家私物化、国税浪費の悪習慣は変わらぬばかりか、ますますエスカレートしているのだ。
いま、サラリーマン対象の大増税が実施されようとしている一方で、消費税の増額なども目前に控えている。
そして、年金支給額の減額、社会福祉予算の削減や切り捨てなど、すでに実施されている。
かねてから腐臭を放っていた道路公団などをはじめとする天下り族の跳りょうや、そこに絡まる〔不正談合〕の実態など、ほとんど底なし状態という様相を呈している。
コメンテーター&ゲストたちの仮面
この本に登場する悪徳集団メンバーの中には、あいかわらず政治家づらしてカッポする者がいる。
そんな奴が、トーク番組やニュースワイド番組でコメンテーターとして、またゲスト出演して、政治改革なんてことをエラソーにしゃっべている。
テレビの番組制作者たちの不勉強さや見識のなさにはウンザリしているが、こうなるともう「しょうがねぇなあ」では済まない。
ジャーナリズムの公共性とか、報道の真実性などという信条とはまるで乖離(かいり)している。
公金お手盛り列島、全10段の記事。
今年の3月21日付の朝日新聞「公金お手盛り列島」の全10段の記事を再読する。
いま当面、増税の標的にされているサラリーマン諸君は、こういう記事を読まないのかね。読んで肚を立ててないのかね。
満員電車と職場で、怒るというエネルギーも使い果たして、インポになってしまったのだろうな。
居酒屋などでショーチュウ呑んで、ゴルフ談義や愚にもつかない世間ばなしやカラオケなんかにうつつをぬかすエネルギーがあったら、すこしは肚を立てなさいよ!ねぇ、諸君!
「飼いならされたポチ」とは、コイズミ氏だけのことじゃない。理不尽な大増税にも平然としているサラリーマンも、そして肝心の選挙民も……とってもブキミだよねぇ。
戦後60年、あらゆるモノが疲弊(ひへい)しているというが、日本人の不感症度はますますエスカレートするんだろうなぁ。
日本という船に乗っているのが、とてもツライね。
そのうちに大地震でも発生して、この「私物国家」は天罰をうけることになるのか。
ああ。
— posted by 本庄慧一郎 at 05:15 pm
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