「ニッポンの芸能人」シリーズ59
2006/6/9
うさん臭い嘘つき顔オンパレード
国民年金に関する社会保険庁の責任者の、国会答弁の際の顔及び表情は「ワタシはウソをついています」と言外に明確に語っていた。
あのホリエとかムラカミという男たちの顔も表情も、そしてその饒舌さも、みずから「ウソをついている」ことを証明している(ようにしか見えない)。
もちろん、例の畠山スズカとやらの女も同断である。
官庁ぐるみの(防衛庁から警察署まで)の不祥事で、弁明謝罪する責任者たちの態度もその表情もすべてうさん臭い、嘘っ臭い。
勧善懲悪っぽい時代小説を書いてつましく(!)暮らしている身としては「……世に悪のタネはつきまじ」といった思いはあるものの、現在の政治・社会、加えて人心の劣悪化にはただウンザリする。
とりわけ、嘘をついているという自覚さえもない(人間機能停止状態のような)政治家たちの存在と、それを〔選良〕として選んだ選挙民たちの質にはこれまたゲンナリする。
演劇・映画のフィクションとその質
この5月の新橋演舞場で、立川談志・立川志之輔の落語二人会があった。
桟敷席8500円、3階席でも4500円という「木戸銭」。正直「へえ!」とシラケる料金だが、発売後即、完売とか。インターネットでは1階前の席が1万円以上、最高額はなんと14万円の値がついたという。
そのネダンはおくとしても、落語家二人の集客力は、近頃のン十人というスタッフ出演者で1ヶ月もけい古しての手間ヒマかけての(興行としての)演劇公演の効率を考えてみると、その差は歴然としている。
もの心ついてのぼくは親父の好みもあってせっせと寄席へつれていかれた。
戦前の新宿ム−ランル−ジュ出身の劇作家の叔父(小沢不二夫)の影響で早くから演劇を志し、劇作家三好十郎氏の劇団にも入り、書斎での口述筆記のお手伝いをするチャンスにも恵まれた。
だから、落語もシバイもばっちり学んできたし、楽しんでもきた。
でも――総じて、近頃のシバイ、舞台のなんともツマラナイことといったら!とりわけ「エンターテインメント」といわれる分野のモノは、いつも(?)である。
もっとも、師である三好十郎氏の「ゴッホ小伝――炎の人」のような重量級の舞台はもう望むべくもないが、巷間、好評だという作品を観てもやはり(?)である。
是枝裕和監督映画「花よりもなほ」を観た
マキノ(津川)雅彦監督「寝ずの番」のことは前に書いた。文字どおり「楽屋オチ」っぽいネタで、とにかく面白いかった。
今回の「花よりもなほ」も人情ものをベースにした落語噺のミックスだが、落語好きで、おのれも時代小説を書いているぼくとしては大変快く観て、楽しんだ。
「マッチョな考え方に対する僕の嫌悪感が出てるのでしょう。単純な強さを信奉する人たちは豊かじゃないですね。長屋の住人たちが豊かだなあという印象を持って欲しかった。その奥に、テーマが何となく感じられる、という風に作ったつもりです」とは是枝監督のコメント。ウン(!)。
ほんとうに面白くて滋味のある演劇は出てくるのかな
落語に関していえば、なにしろいま、自分でも「時代ものでの新作を」といったゴーマンなことを考えているのデス。もちろん「芝浜」や「文七元結」のような名作はあるのは百も承知。でも、「新作」というとPTAやお巡りさんが素材というのに、なんとか挑戦したいと思っているのデス。
渋谷パルコの「志之輔独演会」は本年から1ヶ月の興行になったんですよね。
パルコや朝日ホールの志之輔さんの楽屋におじゃましたことがあるけど、立川談志入門23年というその「芸」はINGで期待大!
それと05年度のギャラクシー賞(放送批評懇談会主催)の大賞は「タイガー&ドラゴン」という落語界を素材にした作品。
とにかく、うさん臭い嘘っぱちはすべて叩き潰したい。
でも、上質の嘘(フィクション)は大いに歓迎したい。
それにしても、いまの演劇(舞台)ツマンナイのが多いなあ。
「志之輔独演会」でパルコ1ヶ月……という事実、演劇関係者はどう思ってるの?
(本日6月9日はわが師三好十郎作「鈴が通る」文化座を観に出かける)
— posted by 本庄慧一郎 at 04:55 pm
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