「ニッポンの芸能人」シリーズ65


なるべく楽しい話を書きたいが…
 前回飲酒運転での信号無視という中村獅童のことを書いた。
 そしてエラソーに「酒酔い運転や麻薬などに関しては、ゲ−ノ−界と長く関わってきたぼくは、ずいぶん危ない人間を見てきた。そして、これからも脱線する人間はあとを断たないだろうと予告する」とヘタな見得をきったりした。
 さて今週は――と、仕事机にすわったのだが、あの吉本興業のアチャラカ・タレントの「未成年子女との淫行事件」(?)である。
 実子を殺す親がいる。実の親を殺す子がいる。
 血を分けあった家族もろとも家に放火する者もいる。
 生いたちや過去に、また現在の環境のなかにどんないきさつや事情があったにせよ、殺人及びそのための放火などが正当化されることはない。
 ひるがえって、ただ仲間うちのカラ騒ぎ、悪ふざけでしかない現行テレビのバラエティ番組や若者向けのドラマ(といえるのかね?)などでチヤホヤされた青臭いタレントが脱線するのはむしろアタリマエなのだ。
 酒を呑ましてそのあげくの「婦女暴行」は例を挙げたらキリがない。
 と書いてきて、やっぱり、シンドラ−社とやらのエレベーター、トヨタ自動車のリコ−ル車、そしてパロマのガス湯沸器などの欠陥商品のことを連想する。
 これらの「商品」の事故はすべて人命に直結する。糾弾されて当然だ。
 しかし、現在のテレビに横行する「欠陥タレント」は、じかに人命に関わらないように見えるが、実はとんでもない毒ガスをばらまいているのだ。

朝の読書タイムのこと
 早朝4時に新聞を精読する。さまざまな記事にシャープに反応したいと努めながら。靖国神社に対する昭和天皇のお気持ちや側近の者のメモなど、無関心ではいられない。
 いま、生活のための仕事として連日、時代小説を書いているが、きょう現在で文庫書き下ろし3冊の予約があり、ボンヤリしているヒマはない。
 けれどそれはそれとして、自主企画としてこのところ昭和10年代、さらに昭和20年代の敗戦前後の物語をもせっせと書いている。
 当然、昭和史のデータと首っぴきになる、したがって昭和天皇の当時の心情やお心についてまじめに考えるのだ。
 そのいっぽうで、朝のいっとき、芸能に関する楽しい本の頁もくる。
 東京新聞の連載コラムの演芸評論家、矢野誠一さんの本はあれこれ書棚にあるが、枕辺には畏友ではなく「畏先輩」の小沢昭一さんの新エッセイ集「寄席の世界」「老いらくの花」「新宿末広亭十夜」などに、故人になられた劇作家阿木翁助さんの「しみる言葉」もある。さらにまじめで真摯(しんし)な芸能史研究家本地陽彦さんの「永遠の処女・原節子伝説」と、アホなオチャラケタレントは無関係の気持ちのいいテイストを味わう早朝読書タイムを楽しむ。 
 そうそう今朝は矢野誠一さんの「酒と博打と喝采(かっさい)の日々」を再読、松竹大船の名バイプレイヤーだった三井弘次さんの項を玩味した。
 三井弘次という役者は好きでした。アウトローっぽいその容姿で、小津安二郎、木下恵介、渋谷実作品、それに黒澤明が好んで使ったあのキャラクターは得難い価値があった。
 ぼくもこの先輩と(共演は桂小金治師匠)のコンビのテレビのコメディの脚本を書いた。
 あるおサケの席で「ホンやさん、こっちへおいでよ」と呼ばれて、「そのうち大船(松竹撮影所)においでよ。きっとだよ」と言われた。
 このヒト、酒が良くなかった。矢野さんの本でも、そう書かれている。
 事実、当時のテレビスタジオのリハ−サル中、ウィスキーのボトルを離さなかった。
 そんな欠点をもちながら役者としての価値をおとしめることがなかった。
 それにしても、もともとなにもないヤカラが、とにかくいまのゲ−ノ−界にのさばり過ぎている。
 いや、どっちを向いてもヘンなの多いなあ。イヤになるよまったく。
(というわけで楽しいコトをと思いながらこの始末。スミマセン)

— posted by 本庄慧一郎 at 04:50 pm  

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