「ニッポンの芸能人」シリーズ69


8月15日のことば抄
 昭和20年(1945)8月15日から61回目の同月同日。
 三度のメシが食えるのがありがたい。ボタン一つで入れる風呂があるのがありがたい。親子・ファミリーが仲良くしているのがありがたい。みずからやりたいと意欲する仕事があるのがありがたい。
 昨年の夏に罹病した「ギランバレー症候群亜型ミラーフィッシャー症候群」なる疾病を克服して、娘が詳細に書いた闘病日誌を冷静に読めるということがありがたい。

 その思いと反対に、ひたすらキナ臭くなってゆく政治・社会に対して怒りの念がわく――。

「日本が戦争に巻き込まれる危険性があると感じている人が急増している」という。(朝日新聞8/6のデータ)
「戦争が起きたら戦うか?」の設問に、世界主要10ヶ国のうち日本は最下位15.6パーセント。
 そのくせ、とりわけ「若い層」が、右傾化する危険な人物を軽はずみに支持し、「ヤスクニ」に遊び半分で出かける。
 戦争がぼっ発したら、自分自身が殺人兵器を持って第一線に押し出されるという素朴な想像力さえ欠落している若者こそ危険分子だ。

「勝ち目のなかった戦争――(略)最大の敵となった米国は当初、太平洋方面の軍備では日本に劣っていたものの、ケタ違いの経済力と技術力、工業生産力をフルに生かして見る間に形勢を逆転。もともと石油の大部分を米国からの輸入に頼っており、ぼう大な石油を消費する戦争をして勝てるはずがなかった」(8/13東京新聞)

「(略)兵士の死とは、太平洋戦争の場合、どのようなものだったか。(略)陸海軍人の死者は約240万人だったが、そのうち7割が餓死だった。食料の補給がなされず見捨てられた、無残にして、無念の死である。彼らを見捨てたのは誰か。軍中枢の大本営、つまり国家だ。その数、実に160万人以上」(朝日新聞8/15半藤利一)

 戦争という場では、殺されなければ殺される。いや、殺さなくても殺される。戦う意思のない者も、武器を持たない女も子供も殺される。

「この世には100年経っても忘れられないことがある――。そのくらいの度量でことにあたるのを望む」(朝日新聞8/16)
「靖国神社参拝を正当化する理由は国内では通用しても、国際的には全く通用しない。過去の戦争責任を自覚して現実的な外交を優先すべきと提言する」(東京新聞8/17)

「ほかのことにはどうなったっていいような気がするんですが、戦争だけは懲りてます」(小沢昭一「この日、集合」週刊金曜日)
「日本人はあの戦争を忘れようとしている。忘れたとたん、次の戦争が起こる」(野坂昭如)

「安らかに眠って下さい。過ちは二度とくり返しませんから」(広島・原爆死没者慰霊碑文)

 ある主婦の五・七・五。「純チャンと叫んだわたしがバカだった」

 誰にだって自分が生まれ育った国を愛する心はある。しかし――だ!
 「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし 身捨つるほどの祖国はありや」(寺山修司)

「(略)8月15日、何もかも焦がしてしまうような暑い正午、戦争は終わった。もうB29は来ないのだ。負けた口惜しさもさることながら、空襲の怖さがないことの実感で、正直ほっとした。8月は一年の中で最も嫌いな月になった。
 平和な世に生きるありがたさをかみしめて――“忌み嫌う 八月遠き 日となりぬ”」(東京新聞8/15 石田重子85歳)

 平和の真価は失ったときに取り返しのつかない巨大な痛恨になる。(本庄慧一郎)

— posted by 本庄慧一郎 at 04:43 pm  

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