「社会&芸能・つれづれ愚差」第15回(通算125回)

あさはかなエゴ生物、はびこる現在……。
 「原爆しょうがない」の失言大臣が、見るからに鈍感顔(確かな自覚のない表情)で辞任した。
 彼は「わたしは語彙(ごい)が少なくて」とのたまわった。
 税金・公金に群がって好き勝手に食い散らかすゴキブリ役人は言語道断だが、日本人が日本語をめいっぱいフル活用することは罪悪ではない。
 金欲や物欲や権力の座へのあくなき欲望はあっても、おのれの意志や思想の表現のために自国の「言葉」について究める気持ちがないなんて、政治家としてそりゃおかしいですよ。
 日本語に関する辞典・辞書類はうんざりするほどあるけれど、たとえば「広辞苑」一冊、ペラペラと頁を開いてごらんなさい。
 われわれが日常使ってる言葉なんて、ほんのひとつまみしかない。
 日本人が日本語を好き勝手に使っても、これを「横領」とか「詐欺」とか「乱費」とか「濫費」とか「浪費」なんて非難されませんよ。
 やたら英語(外来・カタカナ語)のお好きなアベさんですけどね。すべてを日本語で表現するといったことにぜひ挑戦してみてはいかが。誰にでもすんなり理解できる日本語の文章及び表現というものは、「虚勢」や「虚言」や「虚飾」などを(あの悪質な精肉業者のように)まぜこぜにしてごまかしにくいという難点がありますけどね。
 以前、ぼくは、俳句を作る人たちや、コピーライターや、はたまた俳優志望の連中に「想像力と創造力養成の訓練」としてのさまざまな「言葉あそび」をコーチしてきた。
 その一つに「英語・外来カタカナ語を使ったら罰金百円」というのがある。一杯やりながらの駄弁会というバカバカしい趣向である。
 が、これが面白い。たとえば「タクシー乗ろうか」が言えない。「タバコある?」もダメ。「ビールのみたい」も「カレーライス食いたい」もうっかり口に出すと罰金百円なのだ。
 しょせんお遊びなのだが、「あらためて日本語を考える」というきっかけになって、こんなお遊び会に加わった仲間が拠出した罰金はたちまちン千円を超えたりして、飲み代の足しになった。
 こんな言葉遊びもあった。
 題して「イメージしりとり」。たとえば座長のぼくがキイワードとして「メガネ」を提示する。メンバーは勝手なイメージで、即答し、順送りしてゆく。
 一例でいえば「メガネ」の次は「桃太郎」(CMのことだ)「鬼が島」「悪党退治」「市民オンブズマン」「天下り役人」「大ドロボー」「国民年金」「無責任」「コロッケ」「我利我利亡者」「うそ八百」「大江戸八百八町」「必殺裏の始末人」……という展開になる。
 そんなもの簡単とうそぶく方はぜひやってみて下さい。
 即時即答。思考の瞬発力がない方は、額にアブラ汗をかく。
 このところ失言にかかわるアサハカ大臣が続出していうが、これは間違いなく思考力の根っこが錆び腐っているということ。
 思想の本質がどうしようもなくズレていることだ。
 ジェットコースターや電車の車軸が、そして遊園地の遊戯具の支柱が腐蝕してポッキリ折れるのと同様に、人間としての心の根っこが腐っている者は、現在の政治や社会や……そう、官公庁・省をはじめ、民間の企業組織の内部にもゴソゴソとしつこく巣食っている。
 われわれは「しょうがない」と知らん顔をしているわけにはいかないんですよ、キューマさん。



 いま、多くの皆さんから共感とご支持の熱い声援をいただいている自主制作CD「平和を願う歌/鳥になれたらいいね」は「原爆しょうがない」とは真反対の思いから生まれたものです。
 どんな理由にしろ、殺人殺戮を肯定するヤカラは、いざという時には自分だけは逃げのびることができると思っている。「人間らしい想像力」を欠落させた恐ろしいエゴ生物です。

— posted by 本庄慧一郎 at 01:12 pm  

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自主CDを制作
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平和を願う歌
「鳥になれたらいいね」
総合プロデュース:本庄慧一郎
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