天――地球温暖化に起因すると言われる集中豪雨や強力なハリケーンによる甚大な被害。大地震・大津波、そして無惨な被害と悲惨な現実と……。
地――一度拡散したら恐ろしい汚染は100年間は消滅しないといわれている放射能である。今回の中越沖地震で露呈した原子力発電所の事故とその隠蔽体質のあいかわらずの欺瞞と無責任と……。
人――ひたすら奇怪・うさん臭い・面妖・心外・劣悪といったことばでしか言い表せない人間が跳梁する政治のフィールド。
まず、選んでいない。もちろん信用していない。とうてい納得できない者たちの言動と行動。
虚偽と詐術と横領と、浅慮と軽挙妄動の醜悪な社会よ!
これらのことは、のらりくらりと長期にわたって居すわり続けた現在のエゴに満ちた保守政権の負の遺産と断言してはばからない。
〔選挙〕という手段と権利を放棄する愚民たちよ、目覚めよ!
読書メモあれこれ
「文芸春秋」8月号。
商売柄、まず永六輔さんの「TVが王様――恥ずかしい国・日本」を読む。永さんと同時期にラジオ・テレビで仕事してきたぼくは、この永さんのメッセージに120パーセント同感する。
さらにかつてCMの仕事をしていたぼくは、現在の多くのTVCMにはほとんど嫌悪している。
すでにテレビ・TVCMのギョーカイから離脱して十数年たつが、永さんが言う「恥じらいなき日本人をつくった元兇はテレビだ」にひたすら共感する。
同時に同じ雑誌の「電波男・島田紳助の金と権力」(ジャーナリスト奥野修司)も併読。
島田紳助なる男の人間としての質は、いまさらのようにうんざりする。しかし、現在のブラウン管にウロウロする人気タレントと称するヤカラたちのうさん臭さ――ここにも「愚昧な選挙民」と同質同様の「愚昧な視聴者」が存在することに苛立つ。
資産45億。年収12、3億とやらの紳助をはじめ、テレビ人気タレントと称される者たちの跳りょうと、知性も理性もかなぐり捨てた(もともと持ち合わせない)制作スタッフとそのギョーカイの連中のおかげで、日本のテレビのエンターテインメントは腐蝕して死に体になるね。
「論座」8月号。(朝日新聞社)。
粕谷一希氏(評論家)を鈴木邦夫がインタビューしている。
「『風流夢譚』をめぐって」は、1961年に深沢七郎の同名小説に端を発した17歳の右翼少年によるあの殺傷事件について――である。
作家のハシクレであるぼくとしては、肝に命じて読んだ。
その現場にいた粕谷一希氏のことばはなおざりにはできない。
さらに同じ雑誌の「わたしの戦後出版史――生涯現役編集者松本昌次が語る」を読む。(すでに17回を重ねている)
粕谷一希氏同様、ぼくの「作家への転身」の時期に助力をして下さった方だ。
先輩お二人の存在位置と思考と指向は当然異なるが、現在のぼくはこの類い稀な先輩先達のお二人を尊敬したやまない。
そう、そして永六輔さん。浅草生まれという永さんの気質と思考に浅草近くの生まれ、浅草育ちのぼくは限りなく共感し、こよなく敬慕する。
さて、読書予定メモだが――。
「15年戦争・軍靴の歩み」(関谷道義/創栄出版)
「戦時下の日本映画/人は国策映画を観たか」(古川隆久/吉川弘文館)
「秘録・日本の活動写真」(田中純一郎著・本地陽彦監修/ワイズ出版)
「一場の夢・二人のひばりと三代目の昭和」(西村正明/集英社)
敬愛できる方と、手応えのある書籍に出会えないのは不幸だ。