08年8月7日(木)PM11:15、書斎34度
エアコンのスイッチを入れない。温度はPM1:15現在、34度。
扇風機のみで、原稿を書く。
過ぎた冷房は、反社会的(CO2の問題等)であるし、からだによくない。
暑いといえば暑いが、かといって耐えられないほどのモノではない。
小説は、次回作の構想をねる。
そして、小説以外の〔企画〕を考える。
親しい人への暑中お見舞いの電話を入れる。
ご恵贈いただいた何冊もの本を心のままに読みふける――。
オモシロイ言葉のあれこれ
「故事名言辞典」の頁をくる。
・「螻蛄才」(けらさい)を見つける。「螻蛄芸」(けらげい)ともいうとある。
つまりケラという虫は、飛ぶ・よじ登る・泳ぐ・穴を掘る・走るといった技能を持っているが、いずれも大したモノではないという意味とか。
ハハハ……なんて笑って、これってオレのことかなあと考え込む。
・「肉鍋が煮立っているうちは友情が続く」イギリスの詩人/ワイルド。
つまり――バブルな友だちのことですよね。
ぼくの場合、もともとアブク銭で浮かれ遊ぶコトはなかったし、これからもまったくあり得ないから、ヘンテコな友人はいないもんネ。
「売れスジ商品・死にスジ商品」
魚を扱う市場では、アジ・サバ・マグロなどのおなじみの魚を「売れスジ商品」といい、鮮度も味も申し分なくても、なじみも人気もない魚を「死にスジ商品」として敬遠されるとか。
つまり練り物などに加工されるか、肥料などに処分されるかですって。
格差社会というけれど、「死にスジ商品」に分類されたら、人間としてはたまらないなあ。
でも、自分からあえて、その穴ぼこに落ちていく者もいるのは、どうしたことかねぇ。
・「時のたつのが速いと思うのは、人生というものがわかってきたからだ」イギリスの作家/ギッシング。
時のたつのが速い……とつくづく思う。けれど、人生というものがよくわかって来たとはとうてい思えない。
でも、先日(7月29日)、43年前(つまり、昭和40年!)それまで民放ラジオ・テレビのいわゆる放送作家を生業をして来て、あるきっかけからコピーライターをめざして、広告代理店Nの募集に応じた。
さいわい、一発でパス。それまでの放送作家業の経験をフル活用して広告企画・コピーなどの仕事を始めた。
このNという広告代理店には、愛称「ヘイさん」と呼ばれている小柄な男がいた。清野平太郎というこのヒトが、のちの半村良さんだった。
上司のO・Iさんはいいヒトで、いろいろ「人生と仕事の示唆」をもらった。
しかし、その会社Nは1年足らずで自主退社。
次に銀座7丁目にあった広告代理店D企画の募集で入社。(この会社はその後合併してA・D・Kになる)
業界ベスト10にランクされる若い会社で、新米のコピーライターとしては高給(?)で迎えられる。
実は当時、結婚を目前にしており、ワイフ(になるヒト)の母親から、チラと「出来れば、きまった収入のある仕事を」と言われていたこともあっての〔意欲的な挑戦〕でもあった。
「コピーライター業」は初心者のようなものだったが、U・Kというディレクターとのコンビで、カメラだのタイヤだの、クルマのメーカーだのと、まあ、よく働いた。
記録を調べると入社1年後の1966年頃から、いくつもの賞をもらっている。
そのD企画では、制作部長にしてもらったり、「望田(本名)ルーム」という十数名のスタッフを動かす仕事もした。
しかし、3年余りで退社して、フリーという立場で仕事を続けたが――実に居心地のいい会社だった。
それからざっと40年。ひょんなことから、当時の副社長Hさんがずっと続けてきたという懇話会にお招きを受けたのである。
当時の重役の皆さん(社長のSさんは亡くなられたとか)が七八名、変わらぬ交流を続けておられる集いで、勤続年数もわずか、貢献度もさしたることのない小生にとっては、光栄なお招きであった。
栄枯盛衰、浮沈の激しいこのギョーカイ、ましてや広告代理店の制作スッタフの出入りは目まぐるしい。
にもかかわらず、40年という長い歳月を超えて、小生ごとき者を記憶していて下さったこと、そして功労のあった方々との同席で親しく歓談させていたことなど……素直に感激、感謝いたしました。
この近辺のことは、東京新聞連載コラムの第11回銀座篇にも書きましたが「人生での心うれしいこと」というのはこういうことだと思いました。
まだ小生としては「人生とはどういうものか?」なんて不明ですけど、でも、じんわりと心が温もるエピソードを頂戴すると、ほんとうに心の底から「ありがとうございます」というコトバが出て来ます。
ま、小生などは冒頭の「螻蛄才」のような者ですけど、とにかくマジメ(!)にやって来たので、いまその〔利子〕のおかげで、快い思いを味わえるのだと思っています。(注、現在の書斎の温度は34・5度です)
いずれこんな立てカンバンが出るかもね
「落石・痴漢・羆(ヒグマ)、ゲリラ・濁流に注意!」
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