「社会&芸能・つれづれ愚差」第72回(通算182回)

スクラップブックの中の切りぬきから
 「疑似科学――じっくり考え、疑い続けよう」池内了(とおる)総合研究所大学院教授/宇宙物理学。という先生のコラム。(08年8月7日/朝日新聞)
 その文章のオープニング部分を紹介させて頂く。

「今、さまざまな「疑似科学」(ニセ科学)が流行(はや)っている。疑似科学とは、科学のようなふりをしているが科学ではないもののことである。
 血液型で性格がわかるというのもその一つ。両者の関連は、科学的にはまったく証明されていない。だが日常、当然のように使われているし、なかには血液型で社員の配置を決める会社もあると聞く。
 「水からの伝言」も話題になった。水に感謝の気持ちを込めて冷凍庫に入れればきれいな結晶ができ、悪態をついて入れればいびつな結晶しかできないという。水はそんなことはお構いなしに結晶化するだけなのに。
 「スピリチュアル」がブームだそうだ。初めに通常の道徳を語って信用させ、やがて霊だの気だのを持ち込み、実証できない世界に誘い込んでしまう。心を騙(だま)す巧(うま)い手だ。
(後略)」


 それにしても、安易でムセキニン、とことんいいかげんな占いめいたモノがやたらバッコしているが、この愚かしい流行をテレビや雑誌などがせっせと煽り立てているのが不快だ。

ニュース情報ワイド番組の「きょうの運勢」
 そして「愚にもつかないアレコレ」をイケシャーシャーとのたまう。
 だいたい、女性週刊誌あたりが売りにしてきた「占いもの」だが、最近はニュース情報番組でものさばっているのだ。
 いや、「批評性と信頼」を基本とするメジャーな新聞(たとえば朝日新聞)にも「あす・あさっての運勢」などというコーナーがある。
 星座占いという形式で、「おひつじ座――模様替えが幸運の呼び水に」とか、「しし座――ダメモト精神が幸運を呼ぶ」などとひたすら他愛ない。
 迷信・狂信といった領域に踏み込むようなことはないものの、「こんなモノが何の役に立つのか」とついイライラする。

松本サリン事件にまつわる訃報
 この8月5日、〔オウム〕にかかわる犠牲者、河野義行さんの奥さん澄子さんが亡くなった。
 この受難については、ただただその原因と加害者たちに怒りをおぼえる。

「迷信は、下劣な魂の持主たちに可能な唯一の宗教である」
フランスの哲学者/ジュベール


「迷信は、恐怖と弱さと無知の産物である」
プロイセン国王/フリードリヒ


酷暑8月の北京オリンピック
 スポーツや本来のオリンピックを否定するつもりはない。
 しかし――そこに立ちのぼる熱気に隠蔽された、危険で愚かしい国家主義の毒素が密かに醸成されていることを感じる。

「世界のファッショたちはおしなべて道徳屋である。彼らはすべて風紀屋である。(まず)服装まで妙な制服にしたがる」
哲学者/戸板潤「検閲下の思想と風俗」




 きょうは8月15日――1945年8月15日、日本は戦争に負けた。
 民主国家として再出発した。それから63年。
 どんなことがあろうと、この平和をないがしろにするような愚かしい過ちを犯してはならない。
 63年前の8月15日も「酷暑」だった。

「戦争というものは、もっとも卑しい罪科の多い連中が、権力と名誉を奪い合う状態をいう」
作家/トルストイ

— posted by 本庄慧一郎 at 11:30 am  

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