「社会&芸能・つれづれ愚差」第133回(通算243回)

身辺整理の秋です。


 ・・・・・・と言っても、ワイフと離婚するとか、家を捨ててさすらいの旅に出るといった大それたことではありません。
 仕事場としている家の、すべての部屋や階段わきなども、資料としての各種の本で満タンになり、思い切って廃棄処分にするための整理に着手したのです。
 なにしろ、放送作家時代、コピーライター時代、そして現在の時代物小説を中心とした資料本は、それぞれの種類が異なるわけで・・・・・・とにかくあるわあるわ。
 現在、古書として専門店に買い取ってもらうといっても、まずは、あまりカネにならないのです。
 それでも買い求める時には「エイ、ヤ!」といった値段だったのですが、いまや売るとなるとさっぱりでしてね。
 そういえば、不用になったテレビ・冷蔵庫・パソコンその他の電気・電器製品は専門業者におカネを払って処分してもらうのがジョーシキ。
 「離婚するんだって、慰謝料が必要だもの、トーゼン」とは、ツレアイの解説。
 処分する本と一緒に、以前に書いた原稿もワンサと出てきましてね。


データ本もイロイロありますけど。


 時代小説では、せっせと吉原のこと、岡場所のこと、はたまた江戸の女の色っぽい話を書きます。
 その資料ダナには、ズラリと関係書や浮世絵(アブナ絵)が並んでいます。

「図録・性の日本史」笹間良彦/雄山閣
「江戸岡場所遊女百姿」花咲一男/三樹書房
「江戸入浴百姿」     同  上
「江戸売色百姿」     同  上
「遊女風俗姿細見」足立直郎/展望社
「春画で読む・江戸の色恋」白倉敬彦/洋泉社
「江戸の遊女」石井良介/明石書店
「色恋江戸の本」板坂元/同文書院
「女陰考」秋田昌美/桜桃書房
「遊女と廊の回誌」小野武雄/展望社
「大江戸岡場所細見」江戸の性を考える会/三一書房
「性と日本人」樋口清之/講談社

 その他、浮世絵集など、あれこれいっぱい・・・・・・。ワンサと山盛り。
 この種の本は処分はしませんけどね。


ひょっこり出て来た原稿があったりして


 いまからざっと9年前にどこかのコラムに書いた原稿が出てきたので、再録させてもらいます。どうぞご笑覧のほどを。(日付は98年4月となっておりました)





「生まれ在所というコトバ」

  先日、「江戸のエロス」(新人物往来社)というムック風の雑誌に、吉原や岡場所や女郎衆のことなどを八十枚も書かせてもらう機会があった。
  浮世絵(枕絵)などもたっぷり挿入した編集で、幕府公認の色里・吉原での遊び方のルールから、非公認の岡場所、そして衆道(男色)の世界まで、浅学にして知ったかぶりのペンはそれでもスムーズにはこんだ。
  ちょうどいま、内藤新宿の女郎屋を舞台にした小説を書いているのと、もともとこのあたりのはなしが好き(現実はマジメ一筋!?)なのとで、周辺資料は相応にある。
  とりわけ、男性女性の秘所(ナニ)を現す隠語の章があり、男性のそれはともかく、ン十とある女性の隠語には、いまさらのように「ふんふん」とやたら感心したものである。
  中でも〔生まれ在所〕という隠語には文句なしに「うまいこというなぁ」と感嘆した。
  男にとっての女の秘所(あそこ)は、正に〔生まれ在所〕だものなぁ!
  そういえば、近ごろ、実際の生まれ在所――ふるさとにごぶさたしている人間が多いようだ。先祖代々の墓は荒れ果てたまま〔無縁仏〕としてやむなく処理される例も少なくないらしい。それでも、地方の人たちは盆や暮れには大挙して帰省するのが恒例だが、その〔帰省ラッシュ〕も、ふるさと活性や地場産業興隆に貢献するパワーにはならない。
  どうやら、ときたま帰省する人たちも、木枯紋次郎や座頭市や、シェーンやリンゴ・キッドのような、ただの通りすがりの人間になってしまったのではないかと思われる。
  そういえば、かのフーテンの寅さんは「生まれも育ちも葛飾柴又・・・・・・」と自己紹介するが、のべつ放浪しているフーテン系の者は、ふるさと名を姓として用いるいる場合が多い。
  フィクションの人物もとりまぜて、思いつくままに列挙すれば、伊那の勘太郎、潮来の伊太郎、沓掛時次郎、番場の忠太郎・・・・・・などそのいい例だ。
  そして、実在した人物では、清水の次郎長、国定忠次、笹川の繁蔵なども、さらに、由比正雪、二宮金次郎、河村瑞賢、与謝蕪村、柳生十兵衛、宮本武蔵などの頭脳派にも、生まれ在所の名を冠している人はかなりいる。
  やっぱり男にとってのふるさとは、即、母親への思慕につながるのかもしれない。そしてそれはそのまま、女性の秘所へイコールしているのではないか。〔帰巣本能〕というものだろう。
  そういえば「人生劇場」の尾崎士郎センセも「ペニス傘さしホーデン連れて、帰るワギナのふるさとへ」と、ズバリ書いておられる。
  さてここで、先輩諸兄にお訊ねしたい。近ごろまめに、〔生まれ在所〕を訪問しておられますか?

— posted by 本庄慧一郎 at 03:07 pm  

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