「社会&芸能・つれづれ愚差」第341回(通算453回)

台風乱調の10月の訃報

●やなせたかしさん。10月13日逝去。享年94歳。
 放送作家協会の会員としてずっとご一緒していて、会合や会議でよくお目にかかった。
 訃報の記事には「遅咲きの人」とあったが、そんな言い方はマトはずれだ。「生涯現役だった人」と書くべきだ。
 40歳にもならぬうちに「現役」からはずれるスポーツ選手とは異なり、文化芸能の仕事に携わる人たち(といってもやはり個人差はレキゼンとある!)は「長命」である。「真に憎悪すべきは戦争です」とつねにメッセージしてきた硬骨の人でもあった。

●飯島耕一さん。10月14日逝去。享年83歳。
 現在のJR阿佐ヶ谷駅の高円寺駅寄りの線路沿い(現在は高架、以前は地上)に、「一番街」という飲み屋街がある。つねに酔った男たちでさんざめいていた。
 かつては、チマチマした店が軒を連ねるようにして賑わっていたが、いまはがらりと様変わりしてフツーの商店街の風景になってしまった。
 「阿佐ヶ谷文士村」といわれていて、有名作家や詩人や画家や演劇人が集まった一角だった。(太宰治が立ち小便した電柱……なんて「名所」があった!)
 10人ほどの酔客で埋まるカウンターだけの小店Yがあって、俳句を詠む若いママが切り盛りしているせいで、角川書店の「短歌」「俳句」の関係スタッフや俳人・詩人といった人々。いや、角川春樹氏のお姉さんの辺見じゅんさん(故人)なども現れた。
 というのも、お父上である角川源義さんのお宅もすぐ近く、(現在は区の施設として一般の人にも利用されている)にある。
 そのお店に「詩人・飯島耕一」もよく顔を見せていて、お話をした。
 テレビや広告の世界の者たちと異なるもの静かでジェントルなお人だったと記憶している。2004年刊の「詩集アメリカ」では、世界同時多発テロと、終戦時の自らの記憶を重ね合わせてつづったもの――とか。(読売文学賞や詩歌文学館賞受賞)
 「日本語」を大事にていねいに紡いできた「詩人」という営みを大切にしてきた人――阿佐ヶ谷一番街の当時の賑わいと、飯島耕一さんの端正な横顔をあらためてしみじみと想う。

●天野祐吉さん。10月20日逝去。享年80歳。
 いっとき、小生も広告――とりわけTVCF制作に入れ込んでよく働いた。
 天野祐吉さんが雑誌「広告批評」を発刊したのが1979年。その頃、当方もムキになってTVCFづくりにどっぷりだった――いまはもう、ずっと昔のことになった。
 天野さんとのコンビで活躍した故島森路子さん(本年4月逝去)は「ヤマギワ/企業イメージCF」(博報堂・沼上満雄ディレクター担当)で、語り手にはあえて新劇界の重鎮・宇野重吉さんに頼み込んでコピーを「語ってもらった」ことを、「テレビから【人間の声】が聞こえてきた」と絶賛して下さった。
 天野祐吉さんの肝いりで続いていた「広告批評」も休刊になった。
 「批評する」ほどのCFはもうなくなったから――と言われる。
 TVCFだけではなく、現在のテレビをはじめその他の社会一般(もちろん政治家たちもふくめた)に飛び交うコトバはすべからく乱雑になり、無責任になり、「ウソ」が平然と……いや堂々とまかり通るようになった。
 「言葉」をないがしろにする社会は――やがてボロボロ。ガタガタになる。
 一流ホテルのレストランのレシピの素材も、大量の米の産地偽装も……そして原発事故にともなう「汚染」問題のアベ首相の答弁も、まったく「ウソ」ばっかりだ。
 「脱原発――正道貫く」(東京新聞10月21日付の記事の見出し)を唱導してきた、天野祐吉さんを忘れまい。



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ケイちゃんの目 ↓

ちいさな命 これもひとつの命

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目下、猛稽古中です。
どうぞ、ご期待ください。

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— posted by 本庄慧一郎 at 02:54 pm  

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