昭和2年に河合商会としてスタートした大都映画は、
大衆向けの娯楽映画づくりに徹し、大人気を博した。
日本が戦争という暗黒の時代に傾斜してゆく昭和十年代の逆境のさなかも、自己資金のみの健全経営で積極的な映画製作を展開。
直営館、系列館を全国に拡大し、「大都映画だけを見る」という
熱烈なファンを、しっかり獲得していた。
しかし、第二次世界大戦下、時の政府が強制命令する
戦時企業統合令によって、日活、新興と大都の三社合併で
大日本映画株式会社として統合され、大都映画は事実上消滅する。
経営破綻で潰れたのではない。あくまでも、軍主導の
政府の命令によって潰されたのである……。(オビ裏より)
目次 |
プロローグ |
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第一章 |
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日本映画史の傑物・河合徳三郎
河合徳三郎の火の玉人生
徳三郎少年、裸一貫で上京す
河合徳三郎の人生の転機と飛躍
自由奔放な生きざま
「世界の河合」か「日本の河合か」
新人抜擢と実践活用術 |
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第二章 |
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撮影所は“堀の中の別天地”
「組」と「一家」と河合大都
給料は安いが和気あいあいあいの楽園だった
驚異的、記録的な製作本数
徳三郎をもり立てた龍斎という男
コンセプトは「楽しく、安く、速く」
現役の俳優、監督、技術スタッフなどの多様な交流 |
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第三章 |
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これが河合=大都映画だ
日本映画の時代物作品の源流
時代物・チャンバラ作品群
コメディ作品群
冒険・活劇作品群
現代物・メロドラマ作品群
時局・国策物作品群 |
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第四章 |
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言論弾圧と企業統制の激浪
群小プロダクション、消長の乱気流
「映画法」の意味するもの
原案(企画)脚本は事前検閲のこと
松竹大船調ドラマと検閲
自己資金、自己責任の河合システム
大作映画、文芸映画に挑む
松竹・大谷竹次郎の追憶
「初代美空ひばり」がいた大都映画
大都映画のしたたかな命脈 |
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河合=大都映画スター&監督名鑑 |
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エピローグ |
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あとがきにかえて
テアトル・エコー公演『大都映画撮影所物語』
冷視されてきたB級映画たち
あらためて大都映画のこと
日本映画の明日は? |
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