かつてのぼくの生業は、テレビコマーシャルや広告制作だった。
企画・コピー・制作とせっせと働いた。
小説のフィールドに移ってからは、当時のお仲間とのつきあいはほとんどなくなった。
でも、当時、大手CM制作会社で活躍していた何人かの人たちとはいまでも交流がある。
それは、大きな企業や組織から離れても、変らぬ人間的魅力を有している人――である。
たとえば、図師三千男さん。
ちょっとごぶさたしていたら、「こんど映画を作りました」という連絡を頂いた。
図師さんは、大学では演劇を専攻していたが、CMディレクターとして大手企業60社ほどのCM制作を手がけ、フルに活躍した。図師さんの「演劇」というアイテムでは、ぼくは大いなる関心を持っていたし、そのジェントルなお人柄にいっそうの親しみを感じていた。
その図師さんが劇映画を作ったとは――うれしいねぇ!である。
タイトルは「昭和から愛/三十九枚の年賀状」
その宣材からのコピーをご紹介したい。
昭和二十年
あのときの少年少女たちへ
時代の濁流にながされていった
優しい日本人たち
じっと心に思いを留めながら
運命を受け止めて
与えられた時代を
ひたむきに生きた人びと
人が信じあうことの
喜びや哀しみを
淡々と語りたい
「昭和のメロドラマ」として
日本人は「昭和」から
何を学んだのだろう
制作 監督 脚本/図師三千男
●ものがたり
太平洋戦争が終幕に近づいていた頃、若い二人は出会った。視線がわずかに交わるだけの、一瞬の胸のときめき。そこから、四十年にわたって燃え続けたひそかな愛の軌跡が始まる。
――人を純粋に愛することのとてつもない美しさと尊さ。
それは、私たちが昭和という時代に置き去りにした、大切な心の忘れものだった――笑いと涙でつづる感動の物語。(パンフレットより)
しみじみと、ほのぼのと……いい映画です。
どうぞ皆さん、お誘い合わせのうえ、ごらん下さい。
得難いカタルシス(快いこころの浄化作用)があります。
本庄慧一郎
2009年6月20日(土)よりロードショー
シネマート六本木 TEL:03−5413−7711
URL http://www.cinemart.co.jp
