小生の亡き母の実家〔小澤家〕の菩提寺は池袋の祥雲寺である。
母の実弟は小澤不二夫である。
劇作家・放送脚本家として活躍した小生の物書きの師であった。
しかし、54歳という「これから――」の時に早逝した。
戦前のムーランルージュ新宿の出身で多様な仕事をした。
その一つに、美空ひばりの「リンゴ追分」の作詞がある。
もちろん、この歌のベースになったラジオドラマ(TBS)や映画の「リンゴ園の少女」の脚本やシナリオも書いている。
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その美空ひばりについてはあれこれ書いてきたが、先年、集英社新書「幻のB級!大都映画がゆく」(2009年1月刊)を出版し、「日本映画史のブラックホールを埋めた」といったうれしい評をたくさん頂戴した。
その中で、「戦前のこの大都映画には美空ひばりという女優がいた」という検証ルポも書いた。
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「戦前の大都映画の美空ひばり」の出演作品はそう多くはないが、その作品を監督した大伴竜三もまた、小生の叔父貴であったのだ。(具体的には小生の母の妹の主人――本名小島武夫)
歌手美空ひばりの芸名由来については、多くの有識者(?)がマジメにルポしていたが……戦前と戦後の両美空ひばりに直接関わった縁者(叔父ふたり)が存在したことは、エピソードとしてどこかに書き記しておきたかった。
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この件に関してもさまざまな反響があったが、中にはトンチンカンな早トチリの文章もあったりして失笑した。(作家西木正明氏の著書「一場の夢〜二人の「ひばり」と三代目の昭和」などを拙著で引用したが、ある評者はもっともらしく「小澤不二夫は西木正明の叔父であった」などとトンデモナイことを活字にしていた)
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昨日(平成22年5月13日)小澤不二夫長男公平氏と長女有美さんをはじめ内輪の親族だけで小澤弥生(不二夫の妻)の三回忌法要が池袋祥雲寺であった。
叔母小澤(旧姓市川)弥生はムーランルージュ新宿座のチャーミングな踊り子(女優)でもあった。〔同窓生〕である、あの望月優子、千石規子、そして明日待子といった日本の大衆芸能史にのこる魅力ある人たちのことをこの5月末に出版される「新宿今昔ものがたり/文化と芸能の三百年」(東京新聞出版部刊)にも書いた。そして16歳のカワイイ市川弥生の顔写真を入れた。
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このところ文庫書き下ろし時代小説を書き続けているが、「幻のB級!大都映画がゆく」とこの「新宿今昔ものがたり/文化と芸能の三百年」などは、どうしても書きたかったテーマの「社会芸能史」である。
今後は「歌舞伎座・銀座物語」とか「日劇・有楽町物語」とかはたまた「国際劇場・浅草物語」なども具体化したいと意欲している。
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たまたま、現在執筆追い込みの文庫書き下ろしでは、主人公のはぐれ同心七之介が、江戸城大奥の理不尽(とんでもないセクハラ?)に反抗して逃亡した若い娘を守るために、この池袋祥雲寺のある辺りを通る――なんてことを書いているのでアル。乞うご期待!
ケイちゃんの目 ↓
小澤家墓地の「リンゴ追分」の碑
池袋祥雲寺門前の「ふくろう」