地震・津波・大惨事にさらに致命的な打撃を加えたのは原発事故。「収束」などというワーズにはほど遠い「惨状」にいらだちをおぼえる。
にもかかわらず、すでに「原発再稼働」にカゲでうごめく「東電族――電力寄生族」たちがせっせとうごめいているとか。
原発事業団体に「天下り」をくり返すやからともども、そのハレンチぶりにただ唖然として無性にハラを立てる。
日本という国はいまや一艘の船である。
もし、さらに新たな大地震や大津波などでまた原発事故が加われば、この「日本丸」は破損と放射能汚染でとことん壊滅することはわかりきっている。
我利我利亡者たちは「自分だけは別」と考えているらしいが、そのクレージィぶりには手がつけられない。
蔵書が増える。ときどき大量処分(古書店に引き取ってもらう・被災地からの要望で大量に搬入してもらったり――とか)するが。
その仕訳のさなかで、ふと手にした1冊が広瀬隆著「ジョン・ウェインはなぜ死んだか」(文藝春秋1982年刊)。
ついついまた頁をめくってしまう。
核実験がくり返されたアメリカ・ネバダ州で行われたかずかずのアメリカ映画のロケ。そのネバタのロケに関わったスターたちが、その後「ガン」に冒されたことをテーマに書かれた本だ。
この本にこんな一説がある。
『本書の著者広瀬隆氏は、ジョン・ウェインの死亡記事を読んで、ガンで死ぬ映画スターが多いことに気づきました。考えてみるとゲイリー・クーパーもヘンリー・フォンダも、スティーヴ・マックィーンも、みんなガンに倒れている。何故か? 医学関係の翻訳家である広瀬氏の疑問が頭をもたげ、映画関係の書籍を読みあさり、ある仮説をたてたのです。「大スターはみんなガンで死ぬ」と。
(後略)文藝春秋出版部』(あとがきより)
以下、同書より引用。
『〔ネバダでおこなわれた大気中の核実験〕(公表されたもの)
1951年 11回
52年 8回
53年 11回
55年 16回
56年 1回
57年 26回
58年 24回
合計97回』 (p95)
さらに
〔汚れた雲が通ったあと、髪がごっそり抜け落ちた〕
〔肌に奇妙な日焼けができた〕
〔家畜が500頭死んだ〕
〔いや、うちでは羊が1500頭死んだ〕
〔生まれた仔羊はどれも、脚が異様に短かった〕
〔子供たちがつぎつぎと白血病にかかっている〕
〔セント・ジョージで目のない赤ちゃんが生まれた〕
〔ネバタでも、目のない赤ちゃんが生まれた〕
〔井戸水がホコリをかぶったように汚れている〕
〔うちの女房がまた流産した〕
〔子供たちの甲状腺異常が増えている〕
〔ピケットの店が癌のため繁盛している〕
しかも不幸なこに、これらすべて単なる伝聞でなく、事実起こったことだった。(p100)
(「ジョンウェインはなぜ死んだか」広瀬 隆著 文藝春秋 1982年刊より)
ジョン・ウェインをはじめ、ジョン・フォード(監督)、ゲイリー・クーパー、エドワード・G・ロビンソン、ヘンリー・フォンダ、スティーヴ・マックィーン……彼らと「ガン」の因果関係をぜひお読み下さい。
人は「歴史」に学ばない。
「近過去」に学ばない。
アッケラカンと「過ち」をくり返す。
ああ! 哀しいね。
ケイちゃんの目 ↓
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1998年・日本ジャーナリスト賞(JCJ)受賞
3月 石神井のみかんと空