●そういえば――
江戸時代は「四ッ足動物」の肉を食べることはタブーだった。
けものの肉を食べることを「クスリ食い」と称したりした。
●そういえば――
両国橋東詰にある「ももんじや」という店がある。
この「ももんじや豊田屋」は、「イノシシの肉」を料理して提供する。
●そういえば――
創業は享保3年(1718)で、当時の豊田屋は漢方薬の専門店だった。
つまり、イノシシの肉も「クスリ食い」として商売にしていたということだ。
●そういえば――
かつての日本映画には「魅力あるワキ役」がずらりと揃っていた。
とりわけ迫力ある「悪党ヅラ」の役者が時代物などでは大活躍していた。
ピカイチともいえる役者上田吉二郎がいてその存在感は魅力だった。
その上田吉二郎の「イノシシ肉料理専門店」が新宿大ガード手前にあったのを記憶している。
●そういえば――
「イノシシ肉料理」は美味で、食通に好評だが、現実の猪というケモノは悪評フンプンである。
たとえば、瀬戸内海の小豆島をはじめ、各地の果実栽培や農作物を食い荒らす猪の群れが横行していて、大被害が出ているという。
●そういえば――
ずっと以前、ひょんなことから(親父の仕事の都合で)箱根湯本に暮らしたことがあった。
奥湯本といわれるあたりで、当時はみかん畑や野菜畑などがあったが、やたら猪が食い荒らしに現れた。
猪の侵入を防ぐために棒杭にバラ線(トゲトゲした鉄線)を張りめぐらせて農地への侵入を防ごうとした。
けれど猪たちはそのバラ線のトゲトゲを「背中をかくための道具」として大歓迎して、せっせと「背中ゴシゴシ」に現れた。
●そういえば――
猪の子どもは「うり坊」といわれて、カワイイなどといわれてもいるが、デカイ奴はまるで好感をもたれないネ。
●そういえば――
「猪突猛進」という四字熟語がある。現在の政治のリーダーそのものにイコールするイメージである。
この四字熟語の類義語である「直情径行」とか「暴虎馮河」(ぼうこひょうが/無鉄砲な言動と行動)や、「匹夫之勇」(ひっぴのゆう/思慮分別がなく、ただ血気にはやること)などの言葉を連想する。
●そういえば――
男たる者、レディたちに「イノシシのような男ね」と言われたらアウトだね。
いやいや、一国のリーダーたる者も、同様である。
政治家の「猪突猛進」は、取り返しのつかない重大犯罪に直結する!
――ロマン・ロラン/フランスの作家