「社会&芸能・つれづれ愚差」第287回(通算399回)

縁(えにし)のあった人たちの訃報

●2012年8月27日 アコーディオン奏者・横森良造氏(79歳)
 民放ラジオ・テレビの草創期――アコーディオン奏者として大活躍した。
 のど自慢番組・コント番組、そしてスタジオ・プレイヤーとして、重宝がられた。
 アコーディオンを抱えているその姿とお名前のモジリから『お子守良造さん』とよばれたりして。
 当時、やはりラジオ、テレビで活躍していた司会の三和完児氏の命名だったか。
 当時のニッポン放送で『あなたもメイ優』という公開録音番組があった。
 ご自慢のノド(歌)を競うのではなく、各種のシバイ(演技力)で挑戦する内容で、小生は本庄一郎という筆名で構成を担当。
 審査員は劇評家・大木豊氏。劇作家・寺島アキ子氏。お相手役・牟田悌三氏。水城蘭子氏。そして司会が三和完児氏の皆さん。
 そして、「音楽担当」が横森良造氏だった。
 先日のテアトルアカデミー睦組『炎と愛のフィナーレ/あるレビュー劇場の1945』の公演には、シャッキリお元気な三和完児ご夫妻とニッポン放送の若きディレクターだった志村武男氏が劇場に来てくださって、「再会」を悦んで下さった。
 ちなみに大木豊氏、寺島アキ子氏、牟田悌三氏、水城蘭子氏。そして横森良造氏……の皆さんは亡くなられた。
 横森氏、アチラへいったら、また楽しい仕事をご一緒して下さい。

●2012年10月2日 俳優・大滝秀治氏(87歳)
 大滝秀治氏は、まちがいなく「名優」である。
 その大滝氏が所属した劇団民藝には、彼が畏敬した宇野重吉氏、滝沢修氏をはじめ、文字どおりの実力派俳優がゾロリと揃っている。
 民藝という劇団も在籍する俳優たちも、小生は大好きで、ずっと以前から舞台公演はつとめて観ていた。
 そして、わが師でもある劇作家・三好十郎氏の『ゴッホ小伝/炎の人』という作品ではゴッホを演じた滝沢修氏以下、ベテランたちの熱演に完全にノックアウトされた――。
 小生には以前、TVコマーシャル制作にどっぷりの時代があった。
 主に企画・コピーを担当する小生は「語り――ナレーション」の人選にはめいっぱい、積極的に意見を通した。
 まず、民藝に当時所属していた真野響子氏で『カティサーク』のTVCMを制作・企画・コピー、さらに音楽をもプロデュースして、商品そのものをヒットさせた。(真野氏は美しかったし、現在もチャーミング!)
 そして、御大宇野重吉氏だが、秋葉原の「ヤマギワ」の企業イメージCMで、宇野氏を「語り手」に推挙――なんとか出演をOKして頂いた。
 というのは、「名優&名演出家」でもある宇野氏をTVCMなんぞに出演させるのは初めてのケースだった。
 事前に小生が作成したコピーをチェックして、快諾して下さった。

 博報堂のクリエーターであった沼上満雄氏の追悼本『沼上満雄の世界』より、ご夫人の了承を得て引用させて頂きます。
 本年2012年は沼上満雄氏の13回忌になるそうです。――合掌。

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(以下、引用)

ヤマギワ 照明器具
『日本のあかり』1974年制作
演出:吉田博昭 語り:宇野重吉 音楽:八木正生 コピー:望田市郎(本庄慧一郎) 制作:東京秀映(当時) 代理店:博報堂

夕暮れに
あかりがともる
人々が あかりをともす
さまざまな時をすごした
さまざまな思いが
自分のあかりをめざして 帰りをいそぐ

ほんものの 木や 和紙や 竹になじんだ
あかりのやさしさ
手づくりの あかりは しみじみといい

こころがほぐれ なごむ
笑いさざめいて やすらぐ
夕暮れに あかりがともる

日本のあかり
ヤマギワのあかり

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『沼上満雄の世界』pp32―33より

 当時、この「ヤマギワのCM」の「語り」がCF初出演の宇野重吉氏だった。その後、宇野氏は石原裕次郎氏と日本酒のCMなどに出演した。

***

 大滝秀治氏は、手元のデータによれば、昭和27(1952)年の劇団民藝公演/三好十郎作『冒した者』で、ある俳優のアクシデントによる「代役」で本格的な役を演じて注目された。が、その後、あいかわらず下積み的な苦労を強いられた――。
 師の宇野重吉氏に「こわれたハーモニカのようなその悪声と……」と評されたとか。
 小生はTVCM制作時代、コピーの「語り手」にはテッテイしてこだわった。
 そして、同質のコンセプトをもつ広告代理店博報堂のディレクター沼上満雄氏とめぐりあった。たしか、紹介してくれたのは、当時TVCM制作会社のプロデューサーだった稲見一良氏――のちにガンにおかされて小説を書きはじめ、余命6ヶ月という医師の宣告を押しのけて病床で小説に挑戦。1991年に 『ダック・コール』で第4回山本周五郎賞、第10回日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞を受賞した。果敢な10年にわたる闘病生活中、小生と濃密な交流をもった。

 出演交渉の折に、大滝秀治氏は小生に対してトツトツとこう言われたのをおぼえている。
 「私の声はご存じのようにTVCMなどには不向きな悪声です。しかも、30秒とか15秒なんてCMは短くて……。なにしろ、民藝の芝居の2時間余という舞台でさえ、作者先生が設定したテーマやモチーフをちゃんと演じられないんですから」
 その大滝秀治氏をなんとかくどいて、なんと「アテレコ」をやって頂いたのだ。
 結果「へぇ! おもしろいもんですなぁ、これは!」と言われたのだ。
 その後、大滝秀治氏は、そのユニークで得難いキャラクターで、たくさんのCMでも活躍、存在感をアピールしたのは皆さんご存じのとおり。

 大滝秀治氏を「初めてTVCMに出演させた」のは小生だったはず。
 この作品は「ヤマギワ」のTVCM同様、博報堂の沼上満雄ディレクターとの仕事だった。


魚のハタおじさんのセリフ:大滝秀治
共生魚のベラ坊やのセリフ:里見京子
ナレーション:黒沢 良
コピー:望田市郎(本庄慧一郎)

(以下、引用)
SONY トリニトロンカラーテレビ
『ハタおじさんとベラ坊や』1974年制作

(おじさん)
 信じていりゃこそ
 信じてくれる いいもんだゎーあ
(坊や)
 そうだよ ハタおじさん
 おそうじはまかせといて
(おじさん)はあ〜
(坊や)
 すみずみまで きれいに気持ち良くね
(おじさん)はぁ〜あ
(坊や)
 この辺で言いたいんじゃない?
(おじさん)はあ?
(坊や)
 ソニーのカラーで見られても はずかしくないようにって
(おじさん)はああ……ああ
(坊や)いいから いいから のんびり口開いててよ
(おじさん)はいはい ああ〜
♪ ソニー トリニトロンカラー
(NA)
 自然の色を 自然のままに

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『沼上満雄の世界』p11より


(以下、引用)
『あこがれ広告』に向かって 沼上満雄
 ソニー〈自然シリーズ〉とプロダクションのスタッフ
  ソニーの〈自然シリーズ〉は、最初が「サワガニの親子」と「タコの赤ちゃん」でした。このあと、「イエロー・ストライプ」「ミズクラゲの兄弟」「タツノオトシゴ」などと続きまして、昭和四十八年度の「ACC」CMフェスティバルでは、サミー・デイビス・ジュニアの「サントリーホワイト」と最後までグランプリをきそい合いました。私自身、会心作の一つとおもってます。我が子にも、やっと「これがお父さんの作っているCMだよ」といえるものでした。(略)
 (略)ソニーの〈自然シリーズ〉でも、心がけていたことですが、私は「CMの語り」を大切にしたいと心がけています。ということは、コピーライターに人を得なければなりません。
 ソニーの〈自然シリーズ〉のコピーは、望田市郎氏です。私の〔情緒嗜好〕をよくふまえて、数多くの名コピーをものしてくださいました。(略)

 夕暮れにあかりがともる……
 コピーと語りを重視する私の作品のなかで、一回きりのおつきあいになってしまいましたが、ヤマギワの照明器具のCMは、密かに〔傑作〕と自負しているものです。『朝日新聞』(四十九年八月)のコラムが「夕暮れにあかりがともる……ということばで始まる平凡なCMの文句から、不思議に深い味わいが響いてくる――略――この語りからは、確実にある手ごたえが伝わってくる」と書き、宇野重吉氏の語りを激賞し、ラジオ、テレビのよい語り手の養成を主張していましたが、私は、このコラムの筆者に深い親近感をいだきました(そうそう、このコピーも望田市郎氏の作なんです)。
 これだけでもうれしかったのに、昨年(株)マドラがまとめた『戦後CM100選』の中で、宇野重吉氏が、自らのCM出演体験を次のように語ってくれていました。「……ヤマギワ電気の場合は、何か、ふっくらとした生活感、『埴生の宿』の歌にありそうな灯ともし頃のイメージを、あの詩がまずもっていたんですね。書いた人、ああいう要領で注文した人、全体を考えた企画者、その人たちがやっぱりうまかったんでしょう……」
 これにつづけて、宇野氏は「(ぼくの)生活感といえるもの(と、企画全体)が何となく見合っていたのでしょうね」と書いています。我が意を得たりとは、このことでした。(略)
(『沼上満雄の世界』/pp46−48より)


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(以下、引用)

『CM殿堂 時代を超えるアイディアとクリエイターたち
 社団法人全日本シーエム放送連盟(ACC)編 創立40周年記念誌』より

 CM殿堂1973年
 ソニー
 トリニトロンカラーテレビ/たこの赤ちゃん他/30秒×3
 第13回ACC CMフェスティバルTVフィルムCM部門ACC賞・秀作賞

 (略)そのプレゼンが通った後に、この企画にコピーライターとして参加したのが望田市郎氏だった。
 「最初にソニー独自の方式やメカニズムに関するレクチャーを受けたのですが、さっぱりわからない。それでコピーを何案か持っていったのですが、ソニーさんに『これでソニー独自の発明が伝わりますか』と聞かれてしまったんです。僕はその時に『1時間や2時間のPR映画をつくるのであればいいんですが、母親や子供には、ソニー独自や世界唯一という言葉では届きにくいんです』と申しあげた覚えがあります」(望田氏)

 「この頃、ちょうど制作に携わっていた人たちの子供がみな同じ位の年齢だったんです。だから、自分の子供たちに見せた時に話ができるような広告をつくりたい、という気持がありました」(沼上氏)

 このCMはさまざまな方面から話題を呼び、数多くの広告賞を受賞した。

 「沼上さんともよく話してたんだけど、ファッションではなくてモードをつくろうと。つまり、広告の基本にあるようなものを、このCMで作れたのではないかと思います。結局、価値観のものさしは、新しい、古いではないということが証明できたような気がします」(望田氏)

 「僕はモノを創るということは、自分が感じた感動をどう人と共有できるか、ということが大きなエネルギーになるはずだと思っていたんです。この企画はまさにそこから出発して、いろんな出会いが生まれたことで、制作 者としての自分の人生が本当に大きく変ったと感謝しています」(沼上氏)

 このシリーズは全部で13作。撮影は図鑑などを手がけていた学研の生態班が行った。
そして、このCMも完成後には図鑑や科学雑誌などに数多くとりあげられた。

 30秒のCMの中で20秒が生物のカット。CMの3分に(原文ママ)2以上を占める映像のナレーションは重要だった。大滝秀治さん、小松方正さん、中山千夏さん、水城蘭子さんなど、個性的な俳優の方々に依頼。毎回、3時間以上かけて録音された。
(社団法人全日本シーエム放送連盟(ACC)創立40周年記念誌 CM殿堂 全日本シーエム放送連盟/編集 2000年6月10日 宣伝会議刊 pp70―71)より

 このほか劇団民藝の俳優では佐野浅夫氏(軽金属の屋根材CMの語り) 、垂水悟郎氏(化粧品CMの語り)の皆さんにも声をかけた。

 ちなみに大滝秀治さんにご出演ねがったソニーのトリニトロンカラーテレビのCMシリーズの全リストを記しておきます。

1 サワガニの親子
2 タコの赤ちゃん
3 イエローストライプ
4 ミズクラゲの誕生
5 タツノオトシゴ
6 イトトンボ
7 ナナホシテントウ
8 ハタおじさんとベラ坊や(大滝秀治出演作品)
9 プララン君のウルトラC
10 ホッパー君のかくれんぼ
11 カタツムリの赤ちゃん
12 ベタのお父さん
13 ツマベニチョウの誕生
14 花びらヒメカマキリ



**ソニートリニトロンカラーテレビシリーズ受賞リスト**


望田市郎の個人賞として
 「1973年度ACCテレビ部門テレビコピー個人賞」を受賞。

ソニートリニトロンカラーテレビ「タコの赤ちゃん」以下自然シリーズ 博報堂/東京秀映 受賞リスト
 1998年 第2回ACCパーマネントコレクション
 1991年 昭和名作CM100選
 第13回日本放送作家協会賞
 1973年度広告電通賞
 1973年度ACC賞
 第20回カンヌ国際広告映画祭特別賞
 1973年度ACC賞及び秀作賞
 1974年度ACC秀作賞
 1974年度ACCシリーズ賞
 1974年度広告電通賞部門賞
 1974年度サンケイ広告大賞大衆賞
 第21回カンヌ国際広告映画祭銅賞
 第15回アメリカン・テレビコマーシャルズ・フェスティバル
 1974年度CLIO賞ファイナリスト入賞
 1974年度CLIO賞キャンペーン賞入賞 

ソニートリニトロン・カラーテレビ 「シャボン玉」以下科学シリーズ 博報堂/東洋シネマ 受賞リスト
 1974年度ACC秀作賞

ヤマギワ電気「日本のあかり」(宇野重吉語り作品) 博報堂/東洋シネマ
 1974年度ACC秀作賞


***


●2012年10月9日 俳優・大山克巳氏(82歳)
 最近では、小櫻京子劇団公演にゲスト出演なさっていて(2〜3昨年?)にお目にかかったか。
 あの辰巳柳太郎氏、島田正吾氏の新国劇では、緒形拳氏の先輩で「殺陣――チャンバラ」を颯爽と演じた。
 とりわけ、新国劇十八番『殺陣・田村』では、「謡曲・田村」を使っての颯爽たる「殺陣――タテ」の美技に若い日の大山克己氏はきわだっていた。
 晩年はからだの調子もあってか、昔日の颯爽ぶりはカゲをひそめていた。

 あらためて、皆さんのご冥福をお祈りいたします。

***


 鶯にだまされてゆく浄土かな   ――金尾梅の門



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ケイちゃんの目 ↓


本庄さん家の初秋スナップ

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**フロアの朝日のアブストラクト**


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**自転車カゴのかまきり君**


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**踏み石のかまきり君**


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**網戸のバッタ君**

— posted by 本庄慧一郎 at 02:40 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第286回(通算398回)

他人(ひと)の痛みがわかる?

 あるいは、「他人(ひと)の苦しみや哀しみがわかる」などと言われます。もちろん、「そうありたい!」とずっと思ってきました。
 でも、でも、他人の痛みや苦しみをとことん実感することなど、しょせんは無理だと思っているのです。そう、たとえば、ナマ爪一枚はがした人の痛みさえ、「実感」することはムリだと思っているのです。
 ましてや、福島の人たちのように、家族を失い、生まれ育った家屋や故郷そのものを失い、なおかつ残留放射能のためにいつ戻れるかわからないといった状況下に打ちひしがれている人々の気持をそっくり「実感」することなどは……。
 現在の為政者たち(政治的・道義的責任を負うはずの者たち)にも、そんな想像力のカケラもないようだと思わざるを得ない昨今です。

***

 現在、「おのれのこれから」を模索してきて、なんとかずっと舞台の脚本を書きたいと努めています。
 そのための1企画のバックデータとして、あの「第2次世界大戦」の戦争で「玉砕を強いられた兵隊たち」のことをしつこく調べています。
 「サイパン玉砕の記録」関係のモノはもちろん、実際に実体験した方にもじかにインタビューしました。(その方は先年、故人になられた)
 インターネットで「多賀基良さん」という「サイパン玉砕生き残り」の方の手記も心して拝読しました。
 『サイパン島の怒号』多賀基良――と題する文章から、一部ご紹介します。

 この手記は、石川県輪島市・真宗大谷派 高淵山 正覚寺のホームページ内に、檀家である多賀基良さんの手記を門徒文集として掲載されています。
 今回、御住職さまの了承を得て引用させていただきます。
 『サイパン島の怒号』全文は正覚寺HPでぜひ、お読みください。→正覚寺HP Link

 
(以下、引用)
当時の軍隊では、捕虜となって敵国まで連れていかれた者は、スパイと同罪で銃殺刑にされると教えられていたのです。

振り返ってみると、「お国の為にお役に立とう」と勇んで村を発ったのですが、何かお役に立ったことがあったでしょうか。

怯えながらジャングルの山中をさまよい、側に戦死した友の遺体をそのまま放置して、逃げ惑うことが殆どで、何とお詫びの言葉もありません。

私自身が死と直面した毎日でした。

人生の基礎を築く大事な年代に、4年間も死と対峙〔タイジ〕し、恐怖の逃避生活を余儀なくされ、九死に一生を得て生還しても人目を憚って〔ハバカッテ〕、外出も控え目な生活をしなければなりませんでした。

捕虜となったことで、こんな引け目を感じたり、罪悪感に悩まされることを、戦後の教育を受けた人には理解できないでしょうが、戦前の教育では最大の不名誉で、家門の恥、男子の恥ということをたたき込まれていたのです。

高淵山 正覚寺のHP内「サイパン島の怒号」より(2012年10月5日)


***

 戦後67年。日本はとにかく平和を維持してきました。
 戦争は、どう理屈をつけても「殺し合い」という本質は変わりません。
 すでに「戦争の理不尽と容赦のない残酷さ」は忘れられつつあります。
 いえ、あの「フクシマ」で生活を、運命を根こそぎくつがえされた多くの人々の哀しみや痛みさえも、すでに忘れられているのでは、という気配は濃厚だと思っています。
 「他人(ひと)の苦しみや哀しみがわかる」?

 それにしても――まっとうな人間らしい想像力を失った者に、ほんとうに「他人の痛み」なんて実感できるのかなぁ。


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          ケイちゃんの目  ↓


町の小さな「やすらぎ」

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CDアルバム「鳥になれたらいいね」詳細・試聴は当サイトのCD紹介ページ Link をご覧ください。

好評配信中 着うたフル・着うた「鳥になれたらいいね」楽曲配信の詳細は
こちら Link をご覧ください。

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— posted by 本庄慧一郎 at 01:19 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第285回(通算397回)

テアトルアカデミー睦組公演のこと

 第24回池袋演劇祭参加作品として「炎と愛のフィナーレ/あるレビュー劇場の1945」(原作 望田市郎・脚本 本庄慧一郎)を書き下ろした。
***

 演出の睦五朗氏とは、半世紀余りの歳月をへだてての「再会」だった。
あの3・11大震災をきっかけに小生の気持にゆらぎが生じ、物書きとしての今後に「物書きの原点になった演劇への回帰」があった。
***

 睦五朗氏とは、劇作家三好十郎氏主宰の劇団戯曲座に入座して出会った。二人とも20代だった。この業界で「通り過ぎた人」と再び会いたいと思える人は数少ないのだが……。

***

 何度かお会いして、アレコレ近況について語った。そして今年の春、「テアトルアカデミー睦組公演の脚本を頼みたい」という睦氏のコトバによろこんで応じた。それが「炎と愛のフィナーレ」であった。

***

 制作・演出 睦五朗氏のこの公演は、2012年9月21日〜23日/南大塚ホールという条件で具体化した。現在の睦組のシステムから推して、睦五朗氏の守備範囲は多様で、その苦労が思われたが。

***

 その公演の結果は、おかげで好評であった。なにしろ、出演者総員数十名に達する(Wキャスト・トリプルキャストなどもあり)出演者たちで、「熱気ある集団劇」が展開された。


―― さっそく頂いた「評や感想」から ――


 主役をあえて置かない演出だったのでしょうね。
 各々の役どころが、おもしろかったです。
調布市/K・Mさん


 今回のはご自身で脚本を書かれたから良かったのですよ。特に後半は、エピソードを積み重ねて戦時下のムーランを表現しておられましたが、そこにはユーモアとペーソスに溢れていて、よかったですね。演出もテンポがよく、2時間緊張感が持続した舞台でした。大変、面白く拝見しました。
中野区/O・Yさん


 昨日の「炎と愛のフィナーレ」は、ムーランルージュという〔過去〕の話ではありません。
 Iという愚劣で卑怯な男が火をつけた日中問題が絡んで。早くも戦争好きな連中(高齢者もいる)が動き始めている。御作品は〔今〕まさに進行中の国家主義の台頭に警鐘を促すものでした。だからこそラストはノスタルジーではんく、カタストロフだったと私は推断しました。
武蔵野市/F・Mさん


 ムーランの舞台もかくやあらんと思わせる暗転を生かした芝居はこび!!
 最終10分、息をのむクライマックス!!
 圧倒される総出のフィナーレに堪能いたしました。
世田谷区/C・Kさん


 劇の中味は将に本庄〔宝石箱〕から原石、宝石を取り出して披露して戴いたと約言可能で有りましょう。
 劇中の様々なエピソードが各々単一のテーマに展開出来る様な気が致しました。
 ア・ラ・カルトで有り万華鏡(カレドスコープ)で有りましょう。
 種々のエピソードをまとめ様と試みますと、点描法の名画を見る様です。
 劇団の方々の張り詰めた演技に60余才の老人の私も将に〔涕泣眼(まなこ)に荒く、泪、魂を貫く〕状態でした。
 力動感と魂の静寂の溢れる舞台でした。
 宝塚のレビューのプリマドンナの様なソロの所作は、本庄先生の新趣向でムーランの再生を暗示させる様な〔モンタージュ(未来指向の)〕で有ると思えます。
 演者の皆様の巧拙を考課するより皆様の真心(誠)を込めた所作の表出を素直に受け止めて、シンパシー(パトスやパッションを同じくすること、情熱を共有して生きて往くこと)の和音を楽しむべきとも愚考致します。
新宿区/T・Kさん


 超満員の盛況で、極上の席をいただいて恐縮でした。案内係の人たちはアカデミーの生徒さんですか? キビキビと誠実でほかの劇場とはちがった活気に満ち、若い世代の時代の力がみなぎっていましたね。
 臨検席の警官が「弁士中止」とどなるシーンを読んできましたし、映画でみたおぼえがあります。ムーラン・ルージュのような劇場での、あのような〔惨劇〕場面は初めてみました。客席の若い世代があの場面をしっかりうけとめて、なにが「だれもが仲良く暮らす」のを引き裂くか、見抜いてくれた、と私は思います。
 「昭和一桁の血が騒ぐ」とムツゴローさんがドスをきかせていますが、私もヒトケタ末期の一員として、ワセダの学生劇団の残党として、「騒ぐ」どころか、鼻から出そうになりました。
 かさねて、いい芝居を見せていただいて、心からのお礼のことばまで。
練馬区/K・Yさん

***

 直接のご感想、そしてお電話でのご感想、さらにここに転載させて頂いたお手紙による評(省略させて頂きましたが)等、とにかくうれしい反響を沢山頂きました。ありがとう! 素直にうれしいです。
***
 日本の政界は「タカ派台頭」という。核兵器のある浅慮な「今後の戦争」では、その実行によって世界が壊滅する。



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         ケイちゃんの目  ↓


世界に恒久平和を
人生に夢を花を


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— posted by 本庄慧一郎 at 02:40 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第284回(通算396回)

2012年の9月

 国の内外で騒然としている。
 東電の企業体質と「収束」にはほど遠い原発問題。さらに故郷を追われ、大切な家族を失い、家や財産を根こそぎ奪われた多くの人々の「どうしようもない悲劇」は、いまもって放置されたままだ。
 東電や原発事故の問題は、もともと半世紀以上を政治主導してきた自公政権にその主因がある。
 しかも、ようやく政権交替を果たした民主党の、なんとも誠意や信念のないだらしのないテイタラク!
 いま、ようやく「心ある人々」の怒りが顕在化してきたが――。
 それにしても、国の内外の諸問題は……ああ、現在の政治のフィールドに右往左往する無能なヤカラの跳りょうにハラが立つ!

***

 ザラザラした気持をなだめたいが、どうしようかね。
 ま、日本情緒(まがい)でいきますか。
 あえて、22年前の記録(「東京ろまんちっ句」冬青社刊)から「柳橋/’89・9」を再録させていただきます。

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          ケイちゃんの目  ↓

神田川河口 柳橋と隅田川

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— posted by 本庄慧一郎 at 11:54 am  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第283回(通算395回)

残暑の9月のメモと切り抜き記事

 民主党代表者選と自民党総裁選の立候補者の顔写真を眺めているとこの酷暑の夏を耐えてきた気力・体力もトタンになえるゼ。
 その見た目の風景は、内実の劣悪さを如実に語っているからだ。

***

 「知の巨人」とさえ言われる御大たちのこと。

 こんなコラム「コンパス」をスクラップした。(以下、引用)

【サル嫌いの弁】
 サルが嫌いだ。妻に「近親憎悪?」と笑われても、問答無用で嫌いだ。だがサルが人間より劣るとは思わない。「しつけ」などと偽って子どもを虐待する人間より、奪われたわが子を追って走り続け、ついに腸が裂けたというサルの方がよほどいい。
 三月に逝去した故吉本隆明氏を尊敬しつつ、「『反原発』でサルになる」という主張に私が賛成できない理由はそこにある。いったい人間がサルよりどれほど賢いというのだろう。
 なるほど、サルは何かと笑いものになる。猿知恵、猿まね、猿芝居。壺(つぼ)の中のエサを握って手が抜けない、なんて笑い話もあったっけ。しかし、原発でも核兵器でも一度獲得した技術はどうにも手放せず、限度なく使い続け、破局への道を歩む人間の姿もお笑いだ。地震国でのあの大事故の後もなお原発と手が切れないなんて、サルにさえ笑われるのではないか。
 などと言ってみても「知の巨人」の呪縛にはとうてい打ち勝てないので、別の英知に指針を求めよう。坂口安吾だ。
 「学問とは、限度の発見にある。原子バクダンは学問じゃない」。これは随筆「不良少年とキリスト」の結語から。今なら安吾は「原発も学問じゃない」と書き足すのではなかろうかと、これは我田引水の結論。(品)

(東京新聞2012年9月8日夕刊「文化」欄より)

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 意外や意外と思ったのは、次の一文。東京新聞/今週の本棚欄。「自著を語る――『ゴーマニズム宣言SPECIAL脱原発論』小林よしのり」(以下、引用)

【維持派の嘘 全部暴いた】
 出来る限り早期の原発ゼロ達成が圧倒的な民意だということは、誰の目にも明らかなのに、その民意が政治につながらない。これが今の問題です。
 政府や専門家と称する人たちは、どんなに圧倒的な民意を見せつけられても「ポピュリズム」「感情論」のレッテルを貼って無視しようとします。(略)
 (略)原発を守ることが目的化している人たちは、強引に嘘(うそ)のプロパガンダに励んでいます。「原発がないと電力不足になる」「原発は安い」「原発は安全保障上必要」「低線量の放射線ならば安全」「再生可能エネルギーの普及は困難」「原発がないと経済が落ち込む」……全部嘘です。
 『脱原発論』では、その嘘を一つ一つ暴きました。特に重視したのは「原発がないと経済が落ち込む」という嘘です。(略)
 原発を守りたいなら、この『脱原発論』を論破してみろ!との思いを、わしはこの一冊に込めました。(略)

(東京新聞2012年9月11日夕刊「今週の本棚」欄より)

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 フフフとつい笑ったが、ウマイこと言うとヒザを打ったのが「記者有論/世論調査部 鶴岡正寛」というコラムだ。(以下、引用)

【討論型世論調査 熟議台無しにするDK内閣】
 野田内閣は、2030年の原発の割合を決める際の「国民的議論」の一環として、討論型世論調査(DP)を採用した。しかし、その結果はつじつま合わせに使っているようにしか見えない。全国から285人が集まり、「熟議」したのが台無しになった。(略)結論は、国民の過半数は脱原発を望んでいるが、「スピード感では意見が分かれている」として「0%」にする時期は示さなかった。
 (略)私は昨秋、この欄で野田内閣をDK内閣と名付けた。政治姿勢があいまいで、世論調査の内閣支持率で「わからない」などの「(I)don’t know」(DK)という回答が少なくなかったからだ。消費増税法を成立させた首相は「決められる政治」と胸を張っているが、泥縄式(D)のこじつけ(K)で、30年の0%を明確に打ち出せないようでは、DK内閣ぶりは相変わらずといえよう。

(東京新聞2012年9月7日朝刊「記者有論」欄より)

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 痛快だったのは、宝島社の全頁見開きの広告だ。

ビジュアルは2頁全面のパノラマ大写真!
屋根のない「サル山」に群れるハダカの男女の群れがサルそこのけの傍若無人ぶりで跳りょうしている。いや、バナナを奪い合って狂ったように争っている――その狂態ぶりを柵の外でボーゼンと凝視する幼い子ども二人。(すっ裸の老若人間ザルは数十匹以上いるか? しかし彼らのアソコは巧みに隠されている) そしてコピーは「ヒトは、本を読まねばサルである

(朝日新聞2012年9月13日朝刊20-21面)
 この広告、ケッ作だねぇ。拍手!

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 「知の巨人」と称されるもう一人の方の記事。
 「思うままに――どじょう首相のこと(三)」梅原猛。(以下、引用)

【ピラニアとの泥仕合】
 もし野田首相が彼自ら宣言する如(ごと)くどじょう首相であり、彼が真似(まね)をすべきではないと考えた金魚首相が鳩山元首相であるとすれば、小沢一郎元民主党代表はいかなる魚に比すべきかと問う人もいるかもしれない。その問いに、私は戯れに一つの答えを出すことにしよう。小沢氏はピラニアであると。
 肉食魚であるピラニアは魚や動物の「コロシヤ」であり、小沢氏は政党の「コワシヤ」である。コワシヤはコロシヤに通じるといえよう。(略)

(東京新聞2012年7月30日夕刊「文化」欄より)

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 この梅原猛先生は劇作でも活躍するお方で、ずっと畏敬したが、このシリーズのあとの一文で「野田首相は中曽根康弘元首相を理想として見習え」の一言には、ガックリしたなぁ。
 前出のコラム「コンパス」で引用された故吉本隆明氏も、敬意を抱いていた「知の巨人」だったが、ついにトンチンカンなことを言った。
 そして、同じく梅原猛氏も「中曽根康弘氏を理想として見習え!」にも思わずつんのめったネ。

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 「知の巨人」の「知」の字に「ヤマイダレ」がくっつくのは哀しい。
 つまり「知」は「痴呆」の「痴」という字になるんですよねぇ。
 己の身を省みて、要注意。

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 そういえば――たれ流しの危険物「核のゴミ」の問題を放ったらかしの原発を、「トイレのないマンション」と称した表現があった。
 本庄慧一郎はその原発を、『ブレーキのない暴走ダンプカー』と呟いているがネ。



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          ケイちゃんの目  ↓

わが庭の芙蓉花
(原発は不用、花は芙蓉)

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【公演のチケット完売状況のお知らせ】

 睦組公演
  「炎と愛のフィナーレ ――あるレビュー劇場の1945――」

                       原作:望田市郎 脚本:本庄慧一郎

●下記、公演につきましてはチケットは完売しております。ご注意くださいませ。
  9月21日(金)・9月22日(土)13:30昼の部・9月23日(日)
  なお、当日券、立ち見席の販売はございません。

●9月22日(土)・18:00 夜の部のみ販売中。(残りわずか)

「炎と愛のフィナーレ」HPはこちら Link
テアトルアカデミーHP内 睦組公演案内ページはこちら Link
 

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— posted by 本庄慧一郎 at 01:48 pm  


*** お知らせ ***
自主CDを制作
21.1:130:128:0:0::center:0:1::
平和を願う歌
「鳥になれたらいいね」
総合プロデュース:本庄慧一郎
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