「社会&芸能・つれづれ愚差」第75回(通算185回)

自民党総裁選というカラ騒ぎ
 毎朝、午前4時過ぎに起きて、複数の新聞(日刊紙)を精読する。
 9月5日(金)の朝刊は各紙ともに自民党総裁選とやらの候補者4人の顔を並べている。
 いずれも〔無縁〕の人物ばかりだ。
 つまり、選挙で投票していない。もうひとつ言うなら、信頼していない。認めていない。むしろ忌避したい人物ばかりなのだ。
 この総裁選挙の結果、トップ当選した者が、そのまま日本国のリーダーとしのソーリ大臣になるという――。
 選挙権を得てからン十年、棄権したことはない。が、その結果は、国政の中枢に……いや内閣の主導を執る者は、アタマから納得したことのない不本意な人物ばかりだった。
 さらに対抗する民主党の総裁選とやらは、これまた精彩を欠いた人物のひとり舞台。
 彼の経歴を改めてチェックすれば、〔対抗馬〕としての資格も意味もない。

無責任のタライ廻しと連鎖
 保守政権居座り半世紀――最近でも、コイズミ・アベ・フクダといった連中の所業が、日本という国をムジュンと混乱の穴ぼこに追い落とした。
 口先ばかり、行き当たりバッタリ。責任感ゼロの者が、勝手にカンカン踊りやらかして、さっさと逃げ出す。
 「この国の劣化や底抜けの混乱の責任は、そのような無責任な政治家を選んだ国民にある」と、有識者(!)は大見得をきる。
 冗談じゃねぇよ。オレは、あんな口先三寸のサギ野郎みてえな者を選挙したことはまるでない!  まったく、民主主義というカラ念仏がただムナシイね。



脚本家倉本総さんのこと
 昭和30(1955)年代の初め、ぼくは放送ライターとして仕事を始めた。
 東京有楽町のニッポン放送――といえば、ホリエとかムラカミとかいう男たちに翻弄されてガタガタしたラジオ局として記憶に新しい。
 あの時の亀渕昭信社長も、人気DJとして君臨していた時代。
 高崎一郎・糸井五郎、それにいまも現役の斉藤アンコーといった人たちとの同時代に、ぼくはあれこれの番組の構成ライターとして働いていた。
 その時の制作ディレクターに倉本(という姓ではなかったが)聡さんがいた。
 倉本さんはやがてフリーになったが、その時、アニメーションの先がけとなったモンダイ作品(?)「ゼロ戦ハヤト」のシナリオ書きでご一緒したことがああった。
 その後の倉本さんは脚本家としてしっかりした仕事をつみ重ねた。
 そして、北海道富良野へ。自費で「富良野塾」をつくり、俳優や脚本家育成のための場づくりに努める。そして25年。
 「北の国から」などの腰のすわった良質のテレビドラマはエッポックであり、「テレビの良心」のシンボルと称された。
 その倉本さんが「もうこれが最後のドラマかもしれない」と言う新作「風のガーデン」を書き、この10月9日から放送されるとか。
 その各紙の紹介記事に、倉本さんはキタンのない意見をのべている。

「疲れた。テレビのためにライターや俳優を育てたが、投げた球をテレビは受け止めてくれない。質の悪い商業主義的視点で役者と言えない人間を起用する。若い世代との間にズレが生じて、仲間の扱いをしてもらえなくなったこともある」(8月30日付朝日新聞)

 同業者として、いや、早々にテレビ業界からトン走・脱出した者として倉本さんの怒りや不満にひたすら共鳴する。
 再来年(2010年?)塾を閉じるという倉本さんである。
 倉本さんの新作「風のガーデン」の主役は緒形拳さん。
 先日の池端俊策作「帽子」の緒形拳はよかった!
 緒形さんといえば、新国劇にホンを書き始めた叔父小沢不二夫が54歳で逝去した時、葬儀に師の辰己柳太郎氏と馳せ参じて下さって、若き日の緒形さんが「先生!」と鋭く叫んで号泣したのを鮮明に記憶している。
 それと、新国劇の辰己柳太郎・島田正吾主演の小沢不二夫作「石狩の空に」という舞台けい古の新宿第一劇場(新宿三越ウラにあった)の花道を、カモシカのような軽快な足取りで登場した青年緒形拳の姿も大切な記憶のアルバムに保持されている。



それにしても、人間それぞれの生き方があるなあ。
 口先三寸。党利党略……そして政権欲・名誉欲を「世のため人のため」で偽装しての(本人にその意識すら皆無の病人もいるぞ)根なしユーレイにはうんざりするぜ。

日本放送作家協会員として――
 毎年発行(協同組合日本脚本家連盟・社団法人日本放送作家協会)の「脚本家年鑑」がある。
 昭和34年(1959)年9月18日の有楽町ビデオホールにおける発会式の記録写真の中に、若き日(!)のぼくが写っている。
 最前列のシートに、叔父の故小沢不二夫とそのお仲間(すでに脚本家として活躍していた八木隆一郎・大垣肇・北条誠・梅田晴夫・田井洋子氏などなど)の顔が見える。(そう、野坂昭如氏の顔も?)
 その年鑑の頁をめくることがある。
 倉本聡、山田太一さんのお名前がある。畏敬するお二人である。
 いまも親しくさせて頂いている水原明人さんの名も……。
 あと何人かの〔現役〕の方々。でも会員のほとんどはじかに存じあげない新しい人たちだ。
 前掲の文章に引き続いての倉本さんのメッセージを紹介したい。

「僕らテレビ創成期からの人間は知恵を使った。今は知識だけで、程度の低いギャハハ番組ばかり。公共の電波で悪影響を及ぼすのは犯罪。広く浅く、面積だけを稼ぐ視聴率ではなく、質と深さを測る方法論を考えよと言い続けたが、変わらない」(8月30日付朝日新聞)

 この記事のしめくくりの言葉は「重鎮の怒り。テレビ界はどう受けとめるのか」である。



 それにしても、自民党総裁選の候補者……よくもムシの好かない顔ばかり並んだなあ。ヤダヤダ。

— posted by 本庄慧一郎 at 12:47 pm  

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