大震災と破損した原発による放射能禍に、人生を根こそぎ叩き壊された人々の怒りや憤りや悲しみをあらためて思う。
そして、空疎な〔政治論争〕に明け暮れる無能な政治屋たちの右往左往に、ただ呆れ果て、新たな怒りをおぼえる。
海や畑地のさまざまな産物が、汚染されて廃棄される。
強制避難地区の牛やブタなどの家畜たちが、そして犬や猫たちが野生化して、哀れな姿を晒して放浪する。
幼い子どもたちは外に出て自由に遊ぶことを禁じられているばかりか、日々の食べ物の汚染度さえも信用できない。
「ねりま九条の会」の依頼で書いた「ねりま九条の会ニュース8月号」の拙文をここに転載させてもらう。
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2011年年3月11日。希有な規模の天災が「原子力の平和利用」と、その「安全神話」という虚構と欺瞞を根こそぎ粉砕した。
もともと「原子力の平和利用」の反対語は「原子力の戦争利用」だと思っていたから、てんから信用などしていなかったが。
現在、巷には「身近な場所で手軽に使える」という惹句の「放射線測定器」が販売されている。
かと思えば、価格2000万円ナリの「核シェルター」が商品としてあり、売りコトバは「家族五人が八十八日間暮らせる」である。
とても許容し難いこんな「異常」がすでにもう、すんなり日常化しているのだ。
テレビコメンテーターとして活躍する金子勝氏(慶応大学教授)の論文から引用する。
(引用)
放射能との闘いがはじまった。
原子力安全・保安院によれば、福島第一原発事故で放出された放射性物質77万テラベクレル(テラは1兆)で、チェルノブイリの約一割程度だという。一見、事故が小さいとの印象を与える。だが、チェルノブイリの放出量は520万〜1400万テラベクレルと推計されており、広島型原爆約200個分にあたると考えると、実は、福島第一原発事故は広島型原爆20個分もの放射性物質をまき散らしたことになる。
人間の命と健康に影響がないはずはない。
(東京新聞7月26日付「論壇時評/放射能との闘い」)より。
1997年――私は「核の20世紀/訴える世界のヒバクシャ」(平和博物館を作る会・日本原水爆被害者団体協議会刊。一九九八年度日本ジャナーリスト会議賞を受賞)というずっしりと分厚い写真集の文案作成のお手伝いをした。
ヒロシマ・ナガサキを初め、世界の放射能被爆&被曝の記録写真の悲惨さと残酷さに、トコトンぶちのめされて寝込んでしまった。
私は、1945年3月10日の東京大空襲の2、3日後、月のクレーター状の焼け跡とゴロゴロした黒コゲ死体と、さらに猛火に追われて運河に身を沈めた人々の焼(溺)死体の凄まじい惨状を見ている。
しかも、その約1カ月後の4月13日には、私自身が命からがら逃げ惑う爆撃の恐怖を体験している。戦争という殺戮行為による惨劇・惨状に対する免疫などはない。
戦後66年――「憲法九条」を基幹とする平和憲法の理念を遵守してきて、とにかく直接の戦争戦火を忌避してきた。しかし、現在――日本の国民は「放射能と闘わねばならない」といった窮地に追い込まれた。
この破局しかない危機を、私たちは絶対是認することはできない。
欺瞞のない真の平和のために――志を同じくする人たちと積極的に行動していきたい。
「原子戦争においては勝利者はなく、敗北者だけがある」 ――シュバイツアー/フランスの医学者
どうにも手に負えないような惨状を目(ま)のあたりにしながらも、それでもまだ〔原発を!〕とほざくヤカラがバッコする。この現況をあなたはどう思いますか。
台風禍に脅かされたこの9月の訃報――
●山内賢氏(俳優)2011年9月24日逝去。67歳。
和泉雅子さんとのデュエット曲「二人の銀座」。曲はベンチャーズ。発売時にコピーライター・放送作家として親しくおつきあいしていた。
レコードの販促用CMを作り、番組でせっせと流した。
さらに、山内ケンちゃんと松平マリ子のコンビの歌番組(TBSラジオ「歌の明星」)の構成を担当していて、公開録音にも同行した。
マジメでさわやかな好意のもてる人柄だった。
●堂 昌一氏(画家)2011年9月25日逝去。85歳。
挿し絵画家として時代物(オーソドックスな美人画)や笹沢佐保のヒット作「木枯らし紋次郎」の挿し絵など多くの作品を手がけた。
●小妻 要氏(画家)2011年9月27日逝去。72歳。
全身に精緻な彫り物をほどこした裸身の女性像などを得意とした画家だった。
堂氏と同様、日本出版美術家連盟の主要メンバーで、親しくお話をする機会があった。
故小林秀美画伯ともども、忘れられない方々である。
合掌。
それにしても――
目先のエテガッテな私利私欲のために、国や同じ国の同胞(はらから)をいけにえにして恥じることのないケモノのような人間たちがバッコしている現代社会の行く末はどうなるのかね?
ケイちゃんの目 ↓
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