「社会&芸能・つれづれ愚差」第240回(通算352回)

昭和史に関するアレコレの資料の中から

 たとえば、「激動と波乱の時代の真相をえぐる――昭和史こぼれ話」(保坂正康著・日本文芸社刊)から。
 昭和4(1929)年といえば、不況の風に庶民はキリキリ舞いしていた荒れた時代だった。
 こんなエピソードをご紹介したい。(以下、引用)



【エロ・グロのカフェに群がるインテリ 昭和4年】
 経済不況に比例して人心は荒んでくる。それが露骨にあらわれたのは、昭和四年から七年ごろまでの間だ。モボ(モダンボーイ)とモガ(モダンガール)の時代、社交ダンスが大はやり、繁華街にはカフェもできてきて、そこではエロやグロが商売になった。
 流行する歌も古賀メロディーの「酒は涙か溜息か」「影を慕いて」など倦怠感のあるもの。
 浅草のカジノでは、いささかエロっぽいダンスがはやり、金曜日には踊り子が〔ズロース〕を下げるという噂までとぶ。銀座のカフェではキッス十銭という女給まであらわれるし、スカートの奥に手をいれさせてお金をとる女給まで生まれた。また、ステッキガールも生まれ、お金をとって、銀座一丁目から八丁目まで、にわかアベックになってくれる女性まで現れた。こういうエロがかったサービスに酔いしれたのは、学生やサラリーマン、ジャーナリストなどのいわゆるインテリたちで、彼らは、どんづまりのこの時代にイヤ気がさして、つかのまの陶酔にふけったのである。女給と学生の心中、女給とサラリーマンの駈け落ち、そんな記事がこのころの新聞にはたっぷりと満載されている。
 カフェにはしばしば手入れが行われ、カジノでも踊り子のスタイルや衣裳にきびしい注文がつけられる。たとえば、「股下三寸未満、あるいは肉色のズロースを着用すべからず」といった具合に……である。榎本健一(エノケン)らは、こういう踊りを排して、軽演劇として浅草に灯を守りつづけたが、エロ・グロはしだいにコミカルな方向に転換し始めたのである。(引用おわり)



 昨日、親しくしているある出版社の編集長のK・M氏と久しぶりに新宿でお会いした。あれこれの話をした。楽しかった。
 元は歌舞伎町にあった中華料理の店「大陸」は、現在は靖国通りのビルの4階に移っていて、その店はいまでも好もしく思っている。その「大陸」でアルコール度56度の中国酒をのんだ。
 帰途、歌舞伎町をそぞろ歩いた。
 街角に客引きの若い男たちが右往左往している――。
 「新宿今昔ものがたり/文化と芸能の三百年 Link 」(東京新聞出版部刊)を書いた者としては、この街の歴史に格別の思いがある。
 かのムーランルージュ新宿座が象徴していたような好ましい風情や匂いは、いまは無い。



 庶民の街――と言っても、そのための質というものがある。
 だれにでも愛され親しまれる「ほど良い質」を保つのは、実はたやすいことではない。



 そう――街も、人間も。

 

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          ケイちゃんの目  ↓

霜月・11月の歌舞伎町スナップ

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— posted by 本庄慧一郎 at 02:44 pm  

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