「ニッポンの芸能人」シリーズ20


劇場型犯罪とスキャンダル
 前にも書いたが、いま話題のニッポン放送では昭和29(1954)年の開局時代から構成台本を書いていた。またフジテレビでは、開局準備の試験放送用の脚本も書いていた。
 ぼくは、とうに放送ギョーカイには愛想をつかした人間だから、こんどの〔三文オペラ〕にはさしたる思いはないのだか、でも現在のブラウン管のバラェティ番組とやらよりも、株をめぐるドタバタぶりが数等オモシロイことは事実だ。
 フジの日枝会長とライブドアの堀江ナントカ君のやりとりも、近頃ハヤリの〔劇場型〕パフォーマンス……というか、大向こうの俗受けねらいのパフォーマンスで、やたらあざといタンカラ芝居(クサイ演技のイナカ芝居のこと)みたいで楽しめる。
 それともうひとつ、フジの村上社長の今回の件に関する民放各局の報道姿勢についての発言だが「あまりにおちゃらけていて「え〜ッ」と思う例が頻発していた」なんてことを言っている。自分の局で作っている番組はどうなのか? よく羞恥心なしで言えるものだ。これは「目クソ、鼻クソを笑う」でアル。
 公共放送とやらのトップの阿呆ぶりはNHKで実証済みだが、同族同病があちこちにいるという証しである。

詐偽はすべて劇場型だ
 巷間大流行の「オレオレ詐偽」もその延長線にある「振り込め詐偽」もリッパな劇場型犯罪である。
 昔ふうの「結婚詐偽」なんて、相手から金品や貞操(男性もふくめて?――アニータという迷演技者もいた)をチャッカリ奪うまでは完ぺきな演技が不可欠である。
 いや、詐偽行為の100パーセントが、演劇的要素で構成されており、主要人物の表現技術の質が重要になるのである。
 交通事故や医療事故をテーマに、電話を使って演じられるタンカラ芝居も、とりあえずの構成台本があり、配役がある。
 まず電話で親族に泣き込む主役。そして関係者としての被害者役。警官役、また弁護士役などが登場して、とにかく現金を振り込ませるための演技――お芝居を演じる。
 このパフォーマンスは、おちゃらけテレビのふやけたドラマよりリアリティがあるということだ。

裏の隠蔽作業が表舞台に登場する時代
 金にまつわる政治家たちの陰険な舞台裏のイナカ芝居も、公金横領にかかわる官公庁や警察署などの偽装擬態事件も、また銀行などの企業トップ主導の数字改ざん・証拠隠蔽事件など、いまやなにもかもが裏舞台から表舞台へさらけ出される時代。
 世界的な資産家とか絶対的なカリスマなどとおだてられていた者たちの、なんとも哀れで情けない姿もずいぶん見せつけられた。
 彼らのヒストリーには例外なく虚偽と擬態がまつわついている。
 いや、あのブッシュ大統領という男の言動や思想や行為も、そっくりがうさん臭い。
 それに金日成にも同じ腐臭がプンプンとしている。
 得手勝手なエゴの物差しを振り回すこの二つの国の間でウロウロする小泉ソーリの、これまたなんともうさん臭く、頼りないこと!

おちやらけメディアはなくてもいい
 フジの村上社長のいう「民放局のおちゃらけ」ぶりはもう惰性化している。
 公共放送を金看板にしてのスキャンダルいっぱいのNHKを、現在の民放局は他人事として知らん顔する資格はない。
 「公共」というほんらいの意味を理解していない者が、しきりとこの言葉を使う。これもうさん臭い詐術であり悪質な擬態だ。
 ぼくはもう、現在のようなラジオやテレビなら消滅してもしょうがないと思っている。ついでにひたすら騒がしいだけのトンチンカンなCM群もね。
 もう何度も書いていることだが、経営陣の質もそうだが、スタッフや出演者の中には、手におえない〔ドツボ〕に嵌まったヘンなのがいっぱいいるのだから。
 人間ねぇ、ちょっと金を持って、チヤホヤされるとたいていヘンになるのデス。
 太宰治がこんなことを書いていた。
「だまされる人よりも、だます人のほうが、数倍くるしいさ。地獄へ落ちるんだものね」
 でもねぇ、「地獄へ落ちる」という想像力もないけものみたいな人間ばかりの世の中……太宰サンの警句ももう通用しないほど、世の中そっくりが堕落してるのじゃないかなあ。

— posted by 本庄慧一郎 at 11:01 am  

「ニッポンの芸能人」シリーズ19


一回の出演料がン百万円ナリ
 信じられないことだが、ただ悪ふざけしているだけみたいなテレビ番組の司会者の出演料がン百万円もするという。
 たとえば、タモリとか、所ジョージとか、明石家さんまとか、みのもんたとか、ビートたけしとかいう連中のことらしい。
 かと思うと、いきなりプロ野球のチームを買うと騒ぎたてて、ン十億という金額をシレッと口にするのが出てくる。
 さらにまた、テレビ・ラジオ局の株を買い占めて、経営権を持ちたいと名乗り出る者がいる。
 かなりしたたかでずる賢かったはずの爺さん経営者たちが右往左往している図は珍妙としかいいようがない。
 すでに、権勢と尊大さで君臨していた企業グループの総師が、あっというまに失墜してこれまた右往左往しているのも笑止である。
 たまたまいま書いている時代小説の社会的背景にニワカ成金の資料をあさっていた。
 曰く「金権日本史」「影の日本史・賄賂の歴史」「江戸時代の賄賂秘史」「江戸のワイロ」「疑惑の賄賂日本史」「日本金権史」ETC。金まみれ、欲まみれの人間の歴史の醜悪さには、ただもうゲンナリしてしまったが。

金欲で例外なくみんな失墜した
 たとえば、昔の金の亡者(紀伊国屋文左衛門とか)は、金力にモノをいわせて〔吉原〕をわがもの顔にのし歩いた。
 吉原そっくり買い占めて、好き勝手にドンチャン騒ぎをやらかして得意になった。
 吉原という場所は、ゲーノーと売春をセットのして商売をしていたのだ。
 最近、プロ野球チームを買い損ねた若い社長は、目的が果たせないとなったら、テレビ・ラジオ局に目をつけた。
 現在では吉原のような売春サービス産業は公的には存在しないから、買い占めたくてもそれは出来ない。
 野球業界ではもともと「金銭トレード」などという言葉は常用されているが、これはいわば「人身売買」で「吉原の女郎」と同質のものである。
 それと、テレビ・ラジオとなると現代のゲーノーの主格。現代のニワカ成金が目をつけるのは当然である。
 つまりは、ニワカ成金のやることは昔も今も変わらないというおハナシ。

ニッポンのゲ−ノー人の没社会性
 かの中越地震などで悲惨さに呻吟する人たちのために、野球チームを買いたがっていた男たちが、ポンと寄附するかと思って期待したが、まるで関係なかった。
 その一方で、イギリスの音楽界のスターたちがインド・スマトラ島沖地震で被災した人々の救けになればと、大規模なチャリティショーを開催したという。
 ぼくもかつてラジオの音楽番組の構成を担当したが、その時に紹介したクリフ・リチャードやエリック・クラプトン、ボーイ・ジョージ、エルトン・ジョンといった人たちのリードで驚異的な義援金を集めて贈ったとか。
 それも、地震と津波の発生からたった3週間でチャリティ・イベントを実施したという、その行動力のスピードにも脱帽した。
 それと、アメリカのゲーノー人も同様のアクションを起こした記事もあったっけ。
 それにつけても、勝手に忙しがっている欲の皮の突っぱったニッポンのゲ−ノ−人はどうなっているのかね。

チョンマゲの昔からの守銭奴たち……
 そしてIT時代といわれる現在でも、その金欲金権の汚い根性は変わらない……ばかりかいまさらにニワカ成金の(と、従来の金権主義の爺さんたちもまた)醜さはエスカレートしているようだ。
 すでにテレビというメディアの根腐れ現象は表面化しているが、その表層でうごめく高額司会者諸君には、おのれを対象化するインテリジェンスは皆無らしい。
 そんな司会者の跳りょうする番組を嬉々として眺めている視聴者も……ダイジョウブなのかなあ。 

— posted by 本庄慧一郎 at 10:47 am  

「ニッポンの芸能人」シリーズ18


貧困は礼儀作法の教師なり
 そういったのは、ギリシャの作家アンティファネス。
 「働けど働けど わが暮らし楽にならざり じっと手を見る」とはご存じ石川啄木。
 でも近ごろは、人は〔貧困〕から礼儀作法を学ぼうとはしない。
 たかだか、二、三千円の金のために、強盗をやるし、時には命さえも奪う。
 いまどき、貧しさやつましさから、人間としての礼儀作法を学ぶ(あの二宮金次郎サンのような)心がけのいい人間はいない。
 ところで、ぼくは原稿用紙のマス目に字を埋める仕事――文筆業を生活の手段として暮らしてきた。
 文筆業をもうすこし具体的に細分化していうと、まずラジオの台本構成作家。そしてテレビの台本構成作家。さらに広告やTVCFのプランナー&コピーライター。さらにCMソングの作詞。次に小説(時代小説)とやってきて、このところ、なんとか着手したかった舞台の脚本をまとめたりして、それも具体化されそうな……という昨今。
 税務署の届け用紙は一貫して〔文筆業〕だが、実際にはいくつかのコーナーがあった。
 中でも民間放送ラジオ・テレビの出合いは画期的であった。(いまはもうきっぱり過去にして捨ててしまったが――)
 そういえば、ぼくの出身母体でもあったフジテレビ・ニッポン放送・サンケイ・グループがいま、大揺れに揺れている。
 それは「この世の中のことで金で解決つかないことはない」などと口走る輩が主導権争いに乱入したからである。

経営のベテランたるオジサンたちの右往左往
 「まさか」という現象がさまざまな局面で勃発している。
 フジ・サンケイグループというのは保守的で警戒心の強固なグループだったはずだが、Tシャツとジーパンでふらりとやってきたおニイちゃんにいいようにひっかき回されている。
 このところ、もっぱら「ウチウチごっこ」で見せかけの安泰にあぐらをかいてきたオジサン経営者たちが、なんとも無様な狼狽と崩壊と収集策を講じているが、それはただただ醜態としかいえない惨状である。
 不透明で革新性のないギョーカイが改善されるのは大歓迎だが、あんなおニイちゃんにしてやられるなんて、ほんとに情ないねぇ。 

金ですべてケリがつくという神話
 しかし、スケールのある企業グループの屋台骨を揺さぶりかけた男も、寝耳に水とひたすら慌てふためくオジサンたちも、その人間としての根底にあるコンセプトは「金ですべてケリがつく」といった点で同種同病である。
 公共放送の「みなさまのNHK」のと、ふた言めには公共性を言いたててきたNHKの内部腐敗ぶりはさらに暴かれ露呈するだろう。
 一方、民放局の内実もたかが知れている。
 だいたい、民放局やそこに密着する広告代理店などの体質には、ずっと生ぐさいいかがわしさがつきまっとてきた。
 たとえば、金にまつわる業務上横領事件といったスキャンダルとか、業務にかかわる場での婦女暴行事件などは、たいてい揉み消す。
 というのも、広告業はすべてクライアント(いわゆるスポンサー)との信頼関係あってのこと。したがって、その商売にかかわる信用をぶち壊すことは絶対に部外に漏らさないのである。スキャンダルを起こした当人を保護するためではなく、企業としてのおのれのスキャンダルを隠蔽するためである。

護送船団方式という隠蔽作戦
 政治にかかわる徒党と集団も(裏金操作や政治取引など)、公金を横領濫費する(例を挙げるまでもない!)官公庁なども、さらに品質の偽装・偽称などを常態化している各種メーカー など、例外なく、悪知恵を駆使した〔隠蔽作戦〕でごまかし通してきた。
 一つ嘘をつくとやがて二十もの嘘が必要になるという。
 そしてもう一つ、こんな言葉を記しておこう。
 「欺瞞にたいする防衛策は詐欺なり」ゼノン。
 おのれと人生がガラガラと崩れてゴミになるまで、あるいは野垂れ死ぬまで、〔隠蔽〕と二人三脚やっていなさいよ。

— posted by 本庄慧一郎 at 10:45 am  

「ニッポンの芸能人」シリーズ17


テレビ・コメンテーター
 たとえば――
 テレビのニュース・ワイドショーとやらの番組で女性作家の室井佑月とかいう人がコメンテーターとして出演している。
 先週も書いたが、ギョーカイ内での「ウチウチごっこ」には、ぼくはとっくにヘキエキしていて、島田紳助の件にかかわる和田アキ子とか美川憲一のコメントの「同病相憐れむ――どうびょうあいあわれむ」的コメントに鼻白んだ。
 そして今回、中村七之助という中村勘九郎の息子のタクシー代未払いのうえの逃亡。そして追跡した警官への暴行事件で、またぞろ同質の病根に冒されたような連中のお手軽にして軽薄な〔感想〕がはびこった。
 そのなかでも、室井佑月という女性作家の「ああいうことは、わたしたちにもよくあること。いいじゃないですか」(大意)という番組でのコメントがその代表といえた。
 なんと「没社会的」ないいぐさだろう。
 被害者であるタクシー運転手の届け出で、犯人を追跡した警官に暴行したという事実はまぎれもなく犯罪である。どういういきさつにしろ、七之助とやらの行為は正当化できない――という正常の認識が完全に欠落しているのだ。

有名人の没社会性と堕落
 現在、テレビなどで〔有名〕になった者たちの日常の言動にはかなりの狂いが見受けられる。人生観・社会性の欠落。そして、金銭感覚や経済感覚の麻痺。
 特殊な、しかも異常なマスコミとかゲーノーとかのちっぽけな〔ムラ〕で、ひたすら得手勝手に舞い上がった者たちにはもう〔常識〕などは望むべくもないのだ。
 いま、社会のあらゆる分野で、女性の進出が大いに目立っている。大歓迎である。
 とうに根腐れをおこしている男性老人たちの自己崩壊現象はすでに顕著で、これまた大歓迎なのだが、代わって始動をしている女性たちの質はどうなのか。
 あえていうが、テレビなどでの女性起用には、テレビ制作者たちのスケベ根性が見え隠れしていて、やたら不快である。
 ぼくはテレビや広告制作の現場に働いていた人間だが、だいたいの男たちは「女に甘い、女にヨワイ」。だらしのない奴が多い。
 前回の芥川賞の受賞者を例にするのは妥当ではないかもしれないが、やたら若い女性をチヤホヤする傾向は活字の出版界でも、テレビのドラマの制作者間でも常態化しているのはまぎれもない事実である。
 ちょっと見がよくて、すこし気の利いたことを口走る女性(キャバレーのホステスと同じような条件)を、彼らはチヤホヤする。まっとうな女性とは正面きってつきあう能力のない男たちの〔通弊――つうへい〕である。

テレビ番組のいかがわしさ
 折しも、テレビ東京の「教えて!ウルトラ実験隊」という番組で、実証すべきデータや映像をねつ造して放送して、あげく番組放送中止となった。
 ぼくは自分の出身母体であるテレビに大いに関心があり、その劣化に大いに肚を立てているものだが、今回のテレビ東京のような浅はかで俗っぽい事件は、今後も解消されないだろう。
 それは政治と同様に、真の改革など実行されていないからだ。
 NHK問題はあいかわらずくすぶっているが、例の海老沢とやらが逃げ込もうとして失敗した〔顧問〕という役職は、なんとその年俸は1,300万円だとか。フザケテルねえ!
 大阪市の例でも暴露されたが、法外な過剰報酬――つまり公金横領はNHKでも慣習化しているということだ。
 また具体例がバクロされた。
 NHKの一般職員のタクシー代が一人平均(1か月)40万円にもなるというのだ。
 これも一般の人から集めた視聴料(公金)から出ているカネなのだ。
 ぼくもかつてはCMの制作プロダクションをやっていて、スタッフの提出する出金伝票のかなりものがデタラメだったことに悩まされた。税務署のチェックに応じて一件ごとに検討すると「スポンサー接待」という伝票が六本木のSMクラブの領収書だったり……。
 金のあるところには、ゴキブリ人間が群がるのである。
 なにはともあれ「ウチウチごっこ」は犯罪の温床である。
 そして「ウチウチ発言」を弄する輩を、しれっとマスコミのオピニオンリーダーとして起用している制作者は、たぶん、あやしげでいかがわしいその〔恩恵の甘い汁〕を吸っている同類である。

— posted by 本庄慧一郎 at 10:43 am  


*** お知らせ ***
自主CDを制作
21.1:130:128:0:0::center:0:1::
平和を願う歌
「鳥になれたらいいね」
総合プロデュース:本庄慧一郎
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