かつて、本庄慧一郎は広告ギョーカイで働いていた。
その前はラジオ・テレビを主戦場とする放送作家だった。
このところ、文庫書き下ろしの時代小説を書き続けてきた。
広告ギョーカイは、はるか彼方に去った――。
それで――広告ギョーカイでの仲間だった4人の近況を書きたい。
●東本三郎氏
株式会社アドビジョン他の広告・映像制作会社等、複数の会社の代表取締役会長。
広告の他、映画・出版物・絵画等多様な〔表現物〕を手がける。
とりわけ、短編映画プロデュースでは2006年カンヌ国際映画祭ショートフィルム部門グランプリなどをはじめかずかずの受賞作がある。
現在、ご自分の体験をふまえての「鬱」二十九画展――あかるい鬱展(2011年6月/東急文化村)を企画プロデュース作業進行中。
小生としては彼、東本三郎氏を〔ミスター・カナユニ〕とよぶ。つまりかなりユニークな男――というイミです。
●図師三千男氏
テレビコマーシャル業界(制作会社ニッテン)で活躍したCMディレクター。ジェントルで温和なファイターである。
2009年夏、劇映画「三十九枚の年賀状」を製作・監督・脚本をトータルで手がけて完成させた。
昭和二十年――あの戦争が終幕に近づいていた頃の、九州宮崎の山あいの町を舞台にくりひろげられる純愛のものがたりだ。
いわば〔劇映画の自主製作〕という快挙をなしとげた彼の新たな意欲と情熱に小生は心からの拍手を送る。
そして、平和への願いをこめた美しく清冽なこの映画の感銘を一人でも多くの人たちと分かち合いたいと強く思っている。
●小谷中清氏
放送作家だった小生が広告ビジネスに手をつけた頃(1965年)からのつきあいで、彼小谷中清氏はグラフィックデザイナー&アートディレクターだった。
そして幾星霜(?)――ふと気付けば、〔森の鍛冶工房〕というアイアン・アートの仕事へと大転換していた。
つまり、紙から鉄への変身を遂げていたのでアル。
大型のものは高さ3メートルもありそうなオブジェから、オリジナルデザインの門扉や手摺りやキャンドルライトや一輪挿しに至るまで、その作品のバラエティは豊富でとことん楽しい。
●青木勤氏
小生がかつて広告代理店でムキになって広告制作に努めてた当時、〔新卒の新人〕としての彼に出会った。
現在、多忙な広告ビジネスの業界から身を引いて、年来の夢であったタブローの制作に専心している。
2010年6月、銀座の並木画廊で第1回個展を開催。展示作品のすべてに「売約済み」のシールが貼られていた。
〔ベースは水彩〕だということだが、彼独自のペンでタッチを加えるという技法が功を奏して「きわめてユニークな風景画」として仕上がっている。
これからは画家青木勤としての活躍が期待される。
たまたま身近かな4人の仲間たちは、かつての広告ギョーカイから新しいフィールドへと見事な転進を果たした。
かく申す本庄慧一郎も現在の電子書籍時代を視野に入れて、また新たな仕事へと転進したいと意欲している。「ケイタイ・ドラマチック・リーディング」として、現在、配信中の「小童夜叉・捨 第1章」を皮切りとして、新しい企画をせっせと送り出していきたい。乞う!ご声援。
「小童夜叉・捨 第1章」配信サイト追加されました。詳しくはこちら

イラスト:中野耕一
ケイちゃんの目 ↓
西武線所沢駅前のオブジェ