「社会&芸能・つれづれ愚差」第241回(通算353回)

2011年霜月11月のメモランダム

●冬の匂いのする風が吹きすぎる。二度とめぐり会うことのない風。
 あの人のこと。この人のこと。風のような、人との出会いと別離。

●女を好きになることは誰にでもできる。しかし、ほんとうに愛することはたやすいことではない。さらに貴重な愛を育て、深めて、唯一の価値あるものにすることは決して誰にでもできることではない。

●見上げてごらん夜の星を〜というヒットソングがあった。
 いつも忙しげな都会の人間は、星をしみじみと見やるゆとりがほとんどない。
 いや、昼の透きとおる風の行方も、青い空の広がりも、きらめきをまとった白い雲の微妙なうごきにも無関心だ。
 人間としての感性が錆びついていて息もたえだえなのだろう。

●秋ぐちに買い求めた黄菊の鉢。その小花に小さな精霊(しょうりょう)バッタが数匹、棲みついていた。
 あたりの空気が冷え込んで、すっかり冬の気配が濃くなった今朝、そのバッタたちの姿は消えていた。いや茶褐色の一匹のバッタが枯れた花に残っていた。そのバッタは、命のないヌケガラだった。

●他人の痛みがわかる――という。けれどほんとうは、しょせんは自分以外の者の苦しみや哀しみや痛みなど、そっくり分かりはしないのではないかと思う。
 そんな立派でパーフェクトな想像力をもっている人なんて、お目にかかったためしがない。

●融通無碍(ゆうずうむげ)。固定的な考えにとらわれることなく、どんな事態や局面にもとどこおりなく対応できること。
 泉や岩のすき間から湧き出た水が、千変万化する川に沿って流れ下るような、柔軟な生き方ができればいいな――と思う。

●企業・大会社の不祥事――オリンパスのこと。大王製紙のことなどなど……。(1日に1億円もあるカネでバクチやってたってサ!)
   いずれも〔金〕にまつわるスキャンダルが続発している。
 「金は不幸を招くとよくいわれるが、それは他人の金のことをいうのだろう」――ギトリ/フランスの劇作家

●「いやしい」と「いやらしい」は一字ちがいだが、いずれも周囲の者に絶対言われたくないことだ。
 悪賢い政治屋の〔裏金〕も、強欲な天下り役人の〔不当報酬〕も、高年齢者をだましての〔振り込めサギ〕も、浪費濫費で公金をムダにして、アタリマエのように増税を言い出す無能政治屋たちも――ホントにいやしい、いやらしいねぇ!

●東京都の「政治資金」の公開で、映画・歌謡ショー・土産付きクルージングなど、とても政治活動とはいえないコトに公金を使ってるということが明らかになった。
 かの大震災で家族も、家も事業所も……根こぞぎ奪われた人たちがまだ意気消沈しているのに……ハレンチ人間ども……まったく!
 泣けるぐらい情けないゼ。



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         ケイちゃんの目  ↓

石神井の池/初冬のたそがれ

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— posted by 本庄慧一郎 at 01:39 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第240回(通算352回)

昭和史に関するアレコレの資料の中から

 たとえば、「激動と波乱の時代の真相をえぐる――昭和史こぼれ話」(保坂正康著・日本文芸社刊)から。
 昭和4(1929)年といえば、不況の風に庶民はキリキリ舞いしていた荒れた時代だった。
 こんなエピソードをご紹介したい。(以下、引用)



【エロ・グロのカフェに群がるインテリ 昭和4年】
 経済不況に比例して人心は荒んでくる。それが露骨にあらわれたのは、昭和四年から七年ごろまでの間だ。モボ(モダンボーイ)とモガ(モダンガール)の時代、社交ダンスが大はやり、繁華街にはカフェもできてきて、そこではエロやグロが商売になった。
 流行する歌も古賀メロディーの「酒は涙か溜息か」「影を慕いて」など倦怠感のあるもの。
 浅草のカジノでは、いささかエロっぽいダンスがはやり、金曜日には踊り子が〔ズロース〕を下げるという噂までとぶ。銀座のカフェではキッス十銭という女給まであらわれるし、スカートの奥に手をいれさせてお金をとる女給まで生まれた。また、ステッキガールも生まれ、お金をとって、銀座一丁目から八丁目まで、にわかアベックになってくれる女性まで現れた。こういうエロがかったサービスに酔いしれたのは、学生やサラリーマン、ジャーナリストなどのいわゆるインテリたちで、彼らは、どんづまりのこの時代にイヤ気がさして、つかのまの陶酔にふけったのである。女給と学生の心中、女給とサラリーマンの駈け落ち、そんな記事がこのころの新聞にはたっぷりと満載されている。
 カフェにはしばしば手入れが行われ、カジノでも踊り子のスタイルや衣裳にきびしい注文がつけられる。たとえば、「股下三寸未満、あるいは肉色のズロースを着用すべからず」といった具合に……である。榎本健一(エノケン)らは、こういう踊りを排して、軽演劇として浅草に灯を守りつづけたが、エロ・グロはしだいにコミカルな方向に転換し始めたのである。(引用おわり)



 昨日、親しくしているある出版社の編集長のK・M氏と久しぶりに新宿でお会いした。あれこれの話をした。楽しかった。
 元は歌舞伎町にあった中華料理の店「大陸」は、現在は靖国通りのビルの4階に移っていて、その店はいまでも好もしく思っている。その「大陸」でアルコール度56度の中国酒をのんだ。
 帰途、歌舞伎町をそぞろ歩いた。
 街角に客引きの若い男たちが右往左往している――。
 「新宿今昔ものがたり/文化と芸能の三百年 Link 」(東京新聞出版部刊)を書いた者としては、この街の歴史に格別の思いがある。
 かのムーランルージュ新宿座が象徴していたような好ましい風情や匂いは、いまは無い。



 庶民の街――と言っても、そのための質というものがある。
 だれにでも愛され親しまれる「ほど良い質」を保つのは、実はたやすいことではない。



 そう――街も、人間も。

 

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          ケイちゃんの目  ↓

霜月・11月の歌舞伎町スナップ

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— posted by 本庄慧一郎 at 02:44 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第239回(通算351回)

三好十郎作「ゴッホ小伝/炎の人」

 2011年11月9日、天王洲アイル銀河劇場にて観る。
 ゴッホ市村正親。演出栗山民也。

 昭和28(1953)年の頃、三好十郎氏の劇団戯曲座文芸演出部に入座した。
 三好十郎氏は、ムーランルージュ新宿座に在籍していた叔父小沢不二夫とも親交がふかかったので、その小沢の同意と推挙を得てのことであった。
 同時に、当時から親しくしていた柴田恵子さん(現・評論家樋口恵子さん)の推挙もあっての入座であった。
 世田谷赤堤のご自宅の書斎によばれて、原稿執筆のお手伝い(原稿の清書・口述筆記など)を命じられた。
 評論集「日本及び日本人」の執筆時だった。
 その都度、三好氏は〔報酬〕を下さった。恐縮していると「素直に取りなさい」と叱られた。そのおカネで買い求めた和英辞典が宝物として手もとにある。



 あらためて申しあげるまでもないが、畏敬する三好十郎氏の作品や著作物は可能なかぎり求めて精読した。
 つい先日もご紹介した記録映画「ムーランルージュの青春 Link 」――そのスタッフの打ち上げ会で、美術デザイナーであり画家であられる三輪敏雄氏から、「旧渋谷公会堂の戯曲座公演を観てますよ」と言われた。
 三好十郎氏に師事していた押川昌一氏の「風の音」(1954年)の上演の頃のことで制作スタッフとして参加していた小生には、三輪敏雄氏の話は飛び上がるほどうれしかった。



 栗山民也氏は、三好作品「浮標(ブイ)」「胎内」、そして「炎の人」の三作品の演出をしている。いずれの舞台も胸をドキドキさせて観た。どの作品も、独特のテーマで、いずれもまぎれもなく「三好十郎」であった。



 今回のゴッホ――市村正親は、劇団四季の「エクウス」(1975年)の少年(アラン・ストラング)の舞台から観ている。
 馬に寄り添う裸身の少年――という刺激的な場面を忘れない。



 そして、主役の医師を演じたのは日下武史。
 彼は劇団四季のスターティングメンバー7人のひとりだ。四季の当初(東京駅八重洲口にあった国鉄労働会館のホールなど)の公演から観ている。(武田泰淳原作「ひかりごけ」なども)
 アヌイの「せむしの聖女」には、小沢不二夫の娘(小生のイトコ水沢有美が、まだ小学校入学前だったか)が出演して、稽古場への送り迎えで、浅利慶太演出のそっくりを〔体験〕した。



 放送作家の仕事をしていた当時にTBSラジオで、語り日下武史さんの番組構成をやっていた。そののちにコピーライターとしては、トヨタ自動車のCMのコピー、ディレクションを担当したこともある。
 その声と話術の絶妙さは魅力的だった――。
 なんにしても、すでに36年も経ったが、あの日下武史さんと市村正親さんの「エクウス」の舞台も忘れられない。
 民芸滝沢修の「炎の人」ももちろん観ているし、現在でもVTRで観る。そのたびに、心を熱くし、大きく揺さぶられる。



 今回の栗山民也演出、市村正親のゴッホも、ひたすら胸を熱くして観た。
いまさらのように三好十郎流の、終始、熱くたぎるようなリビドーに揺さぶられて……近年、稀に見る価値のあるカタルシスを体験した舞台だった。


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劇団員の箱根バス旅行で。三好先生(左)と小生

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望田市郎は本庄慧一郎の本名

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銀河劇場入口のポスター



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— posted by 本庄慧一郎 at 03:07 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第238回(通算350回)

商品としてのテレビ受像機の不振

 「家電・テレビショック/9月中間・6社が営業減益」(2011年11月3日朝日新聞)――経済欄記事の見出し活字である。
 とりわけSONYの不振が特筆されている。
 かつて、(1970年代当時)SONYトリニトンカラーテレビのCM制作(「タコの赤ちゃん」シリーズ→YouTube動画はこちら Link )、さまざまなPR映画制作等でヒンパンに携わった者としては、格別の思いをもった。
 激しい時代の変化のさなかで、さまざまな商品・製品の思いもかけない〔浮沈〕をつぶさに見てきた。
 また、テレビというキカイが、家族や茶の間の中心で輝いていた時代の風景もはっきり記憶している。
 しかし、いま、それらのもろもろのことは、〔昔の語り草〕となった。
 この現象にはさまざまな原因・要因があるが、それはそれとして――。
 テレビにこだわっていえば液晶パネルとか地デジ化とか、キカイとしてのテレビは大きく革新しているが、けれど、その肝心のソフト(番組)は、限りなく劣化し、後退し、魅力を喪失した。



 現在のテレビ受像機でキャッチできるチャンネルはン十とある。(その他、ラジオもまたン十という局がる)
 しかし、一部の報道番組やドキュメンタリー番組等を除いての、いわゆるエンターテイメント番組と称するモノには、どうにも手におえないような低俗な内容ばかり――といって差しつかえない。
 すでに一般視聴者の新聞などの投書にもあるように、「クイズ・バラエティ・ロリコン芸能ネタ・食べ物と旅・動物もの・デパ地下物産展」といった超マンネリがアタリマエになった。
 キカイとしてのテレビ受像機を器(ウツワ)とすれば、そこに盛られる料理のなんとイージーで安っぽいこと。
 テレビ局の連中のノーミソはどうなってしまったのかネ。



 それと、〔15秒CM〕中心のCM群が主流の昨今だが、その内容や質となるとひたすら押しつけがましくエテガッテ、ただウルサイだけの駄作・愚作が多い。
 さらに加えて、番組編成上のCMタイムの乱暴なことといったら!
 俗に「ヤマ場CM」「またぎCM」「わり込みCM」とか、はたまた「ブッタ切りCM」「ぶちこわしCM」と言いたい無神経きわまるオンエアがシレッとまかり通っている。



 とりわけ「良心的作品」などと喧伝されるオリジナル長時間ドラマや、既成の名作と評価のある映画作品も、目もあてられないほどに駄作・愚作CMでズタズタに分断される。
 スネ毛を丸出しにした若い連中のバラエティ番組ならともかく(見ていないが)、制作者たちの誠意や努力の結晶である〔作品〕を放送するにあたっても、 から騒ぎCMやエテガッテCMでズタズタに分断して一顧だにしないテレビ局の連中には……ただ呆れるネ。
 結果として、あれは、欠陥商品ですよ、まったく!
 さらに――ニュースワイドと称する番組でも、やたら15秒CM5〜8本をまとめてぶち込んでの編成は、ホントに視聴者をナメているとしか思えない。
 メーカー各社のテレビ受像機の売れゆき不振は、テレビ局の連中の劣化と大いに関係ある――とダレも言わないのがヘンだね。
 あるギョーカイ関係者が言ってた。
 「現在のテレビ局は、不動産業・貸しビル業などでもってるようなもんですよ」――だろうなぁ!


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しっかり見てほしい……?

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*** お知らせ ***
自主CDを制作
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平和を願う歌
「鳥になれたらいいね」
総合プロデュース:本庄慧一郎
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