「社会&芸能・つれづれ愚差」第328回(通算440回)

対岸の火事? 自分の尻に火?

 ずっと以前、放送作家をやっていた。人間的に信頼できる(放送局)スタッフと組んで、さまざまな番組をやったなぁ。
 たとえばラジオでは国鉄(現在のJR)の旅と音楽のオビ(月〜土)の番組。
 有名観光地、名所旧跡・温泉などを訪ねるという内容。
 当時の「国鉄総裁発行全国フリーパス」が利用できるという特典があった。ハネ上がるほどうれしがったが、「1週間前に申請する」というルールがあって、やたらキリキリ舞いのスケジュールでは結局は利用できず、データを駆使して「見てきた風」(いや、それ以上のリアリティをアピールして)楽しんで書いたっけ。

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 もうひとつ、JAL(日本航空)提供の「世界の街から」というオビ(月〜土)の番組をやった。
 売れっ子だったオペラ歌手・立川澄人さんがナレーターをつとめた。彼は世界のあちこちを旅するお方だったから、タイトルどおり、世界の街のどこの街を、どんな季節に訪れても、その「語り」は、リアルでモダンでナチュラルだったけど。
 当方、テレビ、ラジオ、そして同時にTVCF制作なども同時進行して、正直いうとグアムとハワイくらいしか行ったことがなくて……(情けないッ!) でも、資料とイマジネーションで、デビュー前のビートルズの連中がゴロゴロしていたリバプールとかを、こまかくリアルに書いたりしたもんだ。
 かと思えば、ミュージカルの名作「シェルブールの雨傘」のシェルブールの丘の「港の見えるカフェ」なんてことや、あのガソリンスタンドのことなど、「知ったかぶりで」ヌケヌケと書いたりしたな。

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 そういえば、新聞各紙が報じた「米デトロイト市破産」のあの街ののことも書いた。「アメリカ北部ミシガン州5大湖とクルマの街」なんて、これまた知ったかぶりでね。
 「巨大な5つの湖は、スペリオル湖・ミシガン湖・ビューロン湖・エリー湖、そしてオンタリオ湖。このオンタリオ湖から流れ出した川の名はセントローレンス川。その川岸には、キングストン、モントリオール、ケベックなどの日本人にもなじみの街があります」なーんてね。

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 そのアメリカ産業のシンボルともいわれた自動車の街デトロイトは、いま「自動車の街・無一文」「みんな出て行った荒廃デトロイト」。
「全米で最も危険な都市」「保険金目的の放火相次ぐ」の死の街と化した。

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 ミシガン州のスナイダー知事は「デトロイトの衰退は、過去60年間に作り上げられてきたものだ。財政面からいえば、デトロイトは無一文だ」と言った。まるで廃墟そのもののような大工場の無惨な姿。そして、辛うじて外形だけをとどめるガランドウの住宅……。「哀れ」の一言が胸を衝きます!

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 産業や経済や株価だけで築いた「繁栄」は、いま再生不能といわれる「過去の廃墟」として醜態をさらしている……。
 現在、デトロイト同様の「破算予備軍」として報じられている州(自治体)は、全米で10近くあるという表ものっていた。

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 「借金大国ニッポン」はどうなのか? 上っ滑りするような(実質実態とは無関係の)政策は、「デトロイトの二の舞い」になるぞ!という声もあるゾ。

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 あのデトロイトという都市のことは、「対岸の火事」か? いつか「自分の尻にも火がついた!」なんてことにならないか!
 アベノミクス――? ホントにこれでいいかい? と呟く夏でアル。

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 東京新聞7月24日付け25面『本音のコラム』斉藤美奈子(文芸評論家)の「秋葉原と渋谷」と題するメッセージ――このレディ、しっかり政治を、社会を見ていると思う。一人でも多くの人々に、このコラムを読んでほしいと思うゾ!


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ケイちゃんの目 ↓

わが家の小さないきものたち

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— posted by 本庄慧一郎 at 02:38 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第327回(通算439回)

本庄流「時代人情物〔読み語りライブ〕始めます

 ゴーリキーの「どん底」のセリフの中にこんなのがありました。

 いまの仕事が性に合っているなら、まあ人生もそう苦にならんだろう。
 でもその仕事がチグハグでしっくりいかないと、人生もそれだけで地獄みたいなものだな。
                                            (本庄流の意訳)

 あの「3・11」の影響もあって、従来の仕事のフィールドをちょっと変えたい――そんな気持が強くあった。
 それで、自作創作時代物の本庄流〔読み語りライブ〕をスタートさせることにしたのです。

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 第1回は、小田急線狛江駅北口前の「泉の森会館ホール Link 」。
 そのフライヤーが出来ました。
 「江戸人情物&ブルースハープ」というセッションで――というユニークな趣向です。
 ぜひ、ご来場下さい。

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 この狛江がスムーズにスタートしたら、中野区沼袋の山田屋呉服店内シルクラブでも――と考えています。
 都会の中心地ではない場所でというのも、あれこれ考えてのコトです。

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 選挙です。若い人たちの関心や投票率が……という問題、ホントに困ったことです。
 スマホやゲームにこだわり、気を取られているうちにとんでもないことになるゼ、おい!


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ケイちゃんの目 ↓

わが家(の近く)のすばらしき緑陰と池


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好評配信中 着うたフル・着うた「鳥になれたらいいね」楽曲配信の詳細は
こちら Link をご覧ください。

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好評配信中 ドラマチック・リーディング「小童夜叉・捨」
配信詳細はこちらを Link ご覧ください。

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— posted by 本庄慧一郎 at 01:11 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第326回(通算438回)

猛暑・酷暑にも負けずベンキョウしてるよ

 故井上ひさし氏とは、ずっと長い間、背中合わせの場所で物書きとして暮らしてきた。
 もちろん、劇作家としての彼の業績は図抜けていて、とてもかなわない。
 とりわけ、テアトル・エコーの熊倉一雄さんの「誘導」によって書いた「日本人のヘソ」を皮切りに膨大な傑作を遺されたが、やっぱり彼は「コトバの魔術師」と言われる特異な存在だ。
 何にしても早逝が惜しまれる。

***

 いま、あらためて井上作品のあれこれを舞台で観たり、またその戯曲を心して再読玩味している。
 とりわけ、彼が作品を書くにあたってのコンセプトとも言うべき次の言葉を反芻する。

むずかしいことをやさしく。やさしいことをふかく。
ふかいことをおもしろく。おもしろいことをまじめに。
まじめなことをゆかいに。
そしてゆかいなことは、あくまでもゆかいに。

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 現在、小生の「本庄流ことば表現塾」には何人かの塾生がおり、多忙のさなかまた遠路もいとわず通ってきて研修を積んでいる。
 その際のテキストに井上ひさし作『花子さん』に登場する「参議院に立候補した新人」の演説の部分を使わせてもらっている。

若生 (手にした原稿にときどき目をやりながら)みなさん、あなたがたは阿呆(あほう)。鈍感で平凡なでくの坊。麻雀(マージャン)とパチンコと競馬とゴルフで大切な時間をつぶしている処置なしの白痴。麻雀、パチンコ、競馬で裸になるまで毟(むし)りとられ安酒あおって月賦の払いがまだ十五年はたっぷり残っている建売りの棟割(むねわ)り長屋へしょぼくれて引き揚げる素寒貧(すかんぴん)。上から入れて下からひり出すだけの糞袋(くそぶくろ)。かつぐは縁起と御神輿(おみこし)ぐらい、あとは小利口者にかつがれっぱなしのおひとよし。宣伝にやすやすと乗るお調子者。たとえ虫の居所(いどころ)が悪くてもおえらがたに文句ひとつ言えぬ弱虫の虫けら。遠い未来にたいしてはひどく悲観的なくせに「明日という字は明るい日と書くのよ」などと近い未来についてはふしぎに楽天的になることのできる分裂症患者。事件が起きるとその日は夢中、あくる日になるときれいに忘れ別の事件にまた熱狂する健忘症患者。自分の国では売春を禁じておいて外国へ女を買いに出かける図々(ずうずう)しさと、外国からなにか批判されるとそれを必要以上に気に病む臆病(おくびょう)さとを同時に持ち合わせたわけのわからぬ存在。とにかくみんな馬鹿。睨まないでください。わたしは自分ひとり高い所に立って警世家や予言者ぶるつもりはないのですから。じつはわたしも馬鹿。みなさんよりずっと程度の悪い馬鹿。(略)
 さてわたしはなぜ参議院全国区に立候補したのでありますか。秀才や利口者や賢い人にこれ以上政治を委(まか)せておいてはいけないと考えたからでありました。いまこそ馬鹿の出番です。そう、わたしたち馬鹿の出番です。馬鹿が小利口者を選んだのがこれまでの選挙。だから世の中がすこしおかしくなっちゃった。世の中の大部分を占めているのはわたしたち馬鹿、だったらその代表も馬鹿であるべきではいか。そう考えたのが立候補の動機でありました。誤解しないでください。わたしは馬鹿を馬鹿にして馬鹿馬鹿と言っているのではない。いくらなんでもわたしはそれほど馬鹿じゃない。おっといまの馬鹿は利口な人が馬鹿を馬鹿と馬鹿にするときの馬鹿、差別の馬鹿。わたくし、赤尾小吉は馬鹿こそがすばらしい、馬鹿こそが真に人間である、と申しておるのであります。わたしたちは阿呆で、でくの坊で、白痴で、糞袋で、虫けらで、分裂症で、健忘症で、そしてわけのわからない存在でよろしい。なぜなら馬鹿だけがやさしい心を持ち合わせているからです。みなさん、馬鹿や阿呆が原爆や水爆をつくろうとするでしょうか。もちろんそういうものをこしらえる知恵(ちえ)は馬鹿にはない。馬鹿は公害病を生み出しているあの手に負えない化学工場をつくったか。とてもとても。そんなこと、馬鹿には不可能。<外国に自動車やテレビを買ってもらおう。しかし、ただ買ってくださいでは外国も首をタテには振らないだろう。見返りに農産物を外国から買いつけることにしよう。そのためには、日本の農業をつぶしてしまおう>こんなややっこしい理屈が馬鹿に思いつけるか。ジェット旅客機の売り買いのためにたくさんの別会社をつくりそこを書類が通過するたびにリベート用に使う現金がうんかのようにひょこひょこ湧(わ)いて出る、こんなすごいからくりを馬鹿に考え出せるか。馬鹿に人体に危険な発色剤や防腐剤が発明できるか。そしてそれを食物に入れようなんて勇気があるか。土地をころがしたり、魚をころがしたり、そんな器用なことが馬鹿にできるか。馬鹿にできるのは女房(にょうぼう)をころがすか、ころがされるか、せいぜいそんなところだ。だいたい土地だの、魚だのってころがせるものかしらん。そういうものをころがしてしまうとは世の中にはよっぽど利口なひとがいるものだ。とにかくそこでわたくしは考えた。利口な方、賢い方にはこれまでずいぶんお世話になりました、しかしいまそこ選手交代のとき、どうかしばらくお休みください。これからは当分の間わたしたちが先頭に立つべきとき。世の中の進歩は牛の歩みのようにのろのろしたものになるでよう、なにかと不便で、お金もあまりもうからない世の中になるかもしれません。でも、そのかわりにやさしい心が、わたしたち馬鹿がたったひとつ持ち合わせているやさしい心がこの日本おおうことでしょう。進歩をとめてやさしさを日本に。みなさんの内にある馬鹿さ加減をぜひともわたしに代表させてください。さあ、これからは馬鹿が決め手だ。赤尾小吉でした。
(国語元年(戯曲集) 井上ひさし著1989年新潮文庫刊 『花子さん その2公示前夜』より)



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ケイちゃんの目 ↓

本年9月にスタートする「本庄慧一郎――
読み語りドラマ」の台本のあれこれ

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— posted by 本庄慧一郎 at 01:20 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第325回(通算437回)

「ムカシの若者」から「現在の若者」へ

 ボクはね、ずっとこう考えてきたんだよ。

***

 人生っていうやつは――
 新しくやることが、たとえ5ミリでも3ミリでも「理想」というものに近づけば、それを「幸せ」とよぶんだ――とね。

***

 さて、今度の選挙は5ミリでも3ミリでもいい、「理想」に近くなるだろうか。君はどう思う?

***

 あのアベという首相は「強い日本!」というフレーズを好んで口にする。
 アベノミクスとやら「経済優先」の政策での「効果」を得意げに口にするが、大企業や一部、マネーゲームに目の色変える者たち以外の一般庶民には、確実なプラス効果などないんだゼ。

***

 それよりも「強い日本!」というフレーズの裏側には「自衛隊の軍隊化」を推進するコンタンがある。
 現行の「平和憲法」を改変(!)したいことも、そのためだ。
 そうなれば、まず若者たちよ、君たちがまず徴兵制というアミにかかって、否も応もなく――ということになるのは判ってるよな。

***

 これからの戦争は、必ず核弾頭ミサイルの応酬を誘発する。
 勝者は存在しないのだ。
 「死の廃墟だけが残る」そんな未来にしてはならないだろ、若者よ!



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ケイちゃんの目 ↓

さようなら銀座松坂屋銀座店
その屋上のスナップ5月

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— posted by 本庄慧一郎 at 12:20 pm  


*** お知らせ ***
自主CDを制作
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平和を願う歌
「鳥になれたらいいね」
総合プロデュース:本庄慧一郎
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