「社会&芸能・つれづれ愚差」第375回(通算487回)


お三方の訃報に接して。


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(東京新聞2014年5月31日付朝刊より)


粕谷一希さんのこと。

 もともと一面識もない粕谷一希さんには、創刊されて間もない『東京人』編集部に参上して、編集長だった粕谷さんに企画のプレゼンテーションをしたのです。
 その企画書にさらりと目を通されて、すぐさま編集チーフの望月重威さんに「この企画を具体化して」とおっしゃった!
 その即決即断にビックリ! そして感激。
 それが「フォトと575と短文」で東京の街歩きを――という内容でした。

 1冊で3ヶ所。そして読者からも、五七五を募るというコーナーを入れて、計四つとコラムを書かせてもらいました。
 これが、うれしくて、楽しくて……5年間も続いて、そのあと、冬青社の高橋国博社長が一冊の本にまとめてくれたのです。

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 モノクロ写真の処理や活字の書体やレイアウトも行き届いていて、いい本になりました。
 ブックデザイン&イラストは親友の高氏雅昭さん。

 その後、粕谷さんは出版なさったご自分の著作本は必ずご恵贈下さり、時には新宿の文壇バー『風紋』などに招いて下さって(その後も何回か)ごちそうして下さった。

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 そして、小生がテアトル・エコーに書いた脚本『大都映画撮影所物語』公演には周囲の親しい皆さんを誘って観にきてくださり、「いいねぇ。よかった」とほめて下さり、その後にお祝いの宴まで催して下さったのです。

『東京人』の企画で「東京――江戸」にあらためてこだわり、やがて時代小説を手がけました。
「とにかく書く――書き続けている望田さんがエライ」とほめて下さって――。
 粕谷さん。やさしく導いて下さってありがとうございました。
 心からご冥福をお祈りしております。







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(東京新聞2014年6月23日付朝刊より)


深町幸男さんのこと。

 あれは、西武新宿駅に近い歌舞伎町の『花』という店でした。
 ジャーナリストや俳優や、芸能関係者の多い店でした。
 たまたまカウンターで並んで座っていて、元ゲーノー人だったママが紹介して下さって。
 「あの有名な演出家のフカマチさん!」と大感激。
 その後、何度もお目にかかり、「そのうち本庄さんのホンで何かやりましょう」とまじめにおっしゃって下さった。
 そして、あれは俳優座劇場で上演した向田邦子さんの「父の詫び状」(出演杉浦直樹・名古屋章)だったか。
 でもその時(だったかなぁ?)深町さんは健康を崩しておられて、酸素ボンベをかたわらに置いて演出をしておられた――。
 優れたお仕事をいくつも遺された深町さんのお人柄は忘れません。
 そういえば、杉浦直樹さんも名古屋章さんも亡くなられて……。
 近頃のシバイは……とグチっぽくなります。

 そう、鶴田浩二さんの『シャツの店』(脚本山田太一)も忘れていません。

 また、あちらへ行ったら、いろいろお話させて下さい。







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(東京新聞2014年6月24日付朝刊より)

横山(青空)あきおさんのこと。

 昭和40年(1965)代は、ニッポン放送、TBSラジオなどでせっせと番組の構成台本を書いていた。
 青空はるお・あきおのご両人に十勝花子さんを加えてのお正月特番ワイド(TBSラジオ)などもやりました。
 スクラップブックを引っぱり出してみたら……放送批評のコラム記事がありましたよ。このトリオも達者でしたけど、(若い)ボクもまじめにホンを書いていました。
そのコラム(読売新聞昭和44年1月6日付)を読みました。

 「台本がしっかりしているから……」なんて書いてありました。

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(読売新聞昭和44年1月6日月曜日付(7)面より)

 そういえば、たしかSL――汽車ポッポをネタにしているコントなどがあって、はるお・あきおのご両人が機関士のチーフと助手でしてね。
 「出発進行!」と叫んでヒモを引くと「ポーッ!」と汽笛が鳴る。
 なぜかなぜだか「水洗トイレの水がジャー!」というコトになって……。
 いまでもおぼえてるんですよ。
 あきおさんが「トイレに行きた〜い!」と叫ぶとはるおさんが「機関士助手、失格ぅ!」と応じる……そんなオチでした。

***

 それにしても、その後、あきおさん、あなたは役者として活躍していましたね。
 「まじめな高勢実乗のようで」やたらおもしろかったなぁ。
 いずれ、あの世にいったら、また一緒にコントやりましょうね、あきおさん!



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ケイちゃんの目 ↓

1万歩ウォーク/勝どき橋・月島橋あたり

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— posted by 本庄慧一郎 at 11:59 am  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第374回(通算486回)

「カネで転ぶ」ということ。

●暗い夜のデコボコ道で、転ぶことはよくある。
 足の弱い者が段差を踏みそこなって、ヒドイ怪我をすることも多い。
 いずれも同情に値する。
 でも、ついついサケを飲みすぎて、ヨタヨタして、バッタリ・ドスン……もよくある。(そっとクビをすくめる――これは自業自得!)

●「カネで転ぶ」というのも、これまたよくある。
 あの、「元都知事イノセさん」とか、「みんなの党代表だったワタナベさん」とか、例をあげるとキリがない。

●そうそう、公共・私企業を問わず、経理担当者が「コソコソとカネをくすねる」横領事件は枚挙にいとまがない。

●2014年6月14日付の新聞では、大手ゼネコンの幹部社員が職権を利用して6000万の……という横領事件が発覚したとある。しかし、職種・職権を悪用しての「大ドロボー」に成り下がった例は、民間テレビ局やNHKにもあったよネ。

●ワタシが長いこと関わってきた芸能マスコミ業界では、制作費などにまつわるカネの使途が、その当否(正当か否か?)の区分が見極めにくい――それを私物化、私利私欲に利用するヤカラも実際に多かったネ。

●テレビ・ゲーノー界には、カツカツ貧乏ぐらしをしてきた者が、ヒョンなことで金回りがよくなって、ついつい「成り上がってしまう」者も多い。
 食うこともママならなかったヤカラが、思いもかけないカネを持つと、たいていそ奴の根性がヒン曲がる。ついでに心が根ぐされをおこす。

●あるイミでは、政治界よりも、さらにその「病状」は顕著に表れるネ。
 たとえば、アホTVの「お住まい公開」なんかで紹介される「その情景」は、それまでの「人生の劣等意識」が見事に反転して、「トコトン趣味のわるいラブホテル」のような自宅が丸見えになるのデス。

●ついでに肝心の夫婦のウソつき合戦や子どもたちのクスリ事件などがバレて、バラバラになってしまってサ。

●今回のイシハラ氏(環境相)の「フクシマ」の現況に関わる「最後は金目でしょ」はしょせんは「語るに落ちる」というコトです。つまり「あれこれペラペラ喋っているうちについつい本音を口にしてしまった」ということだ。
 「誤解された」とたいてい当事者は弁解するが、あれはまぎれもない本音ですヨ。

●あのノブテル氏の父親シンタロー氏は、暴言・放言・妄言などを押し通したヤカラで、都知事職を途中で投げて政界に戻った。
 ハシモト氏の維新の会(当ブログでは「異心の怪」と書いたけどさ)とさっさとわかれたネ。(どっちもどっちというコト)

●このイシハラノブテル氏の失言問題に対して、朝日新聞(6月19日付朝刊)『社説』のシメの文章は、『自らの発言の罪深さを、蝕んでしまったものの重さを、骨身で実感するために。』とあるが、そんなコトバのイミがあの方に通じるのかねぇ……???

●アホTVで、やたら勝手なバカ騒ぎをしているゲー人が「滑る」のは放っとけばいい。しかし、国の命運を左右し、多くの国民の生活と安全の責任者たる政治家たちの、脳の質の劣等を知らされることはひたすら辛い。ただただ腹が立つ。とにかく許せない。

●その人間の本質――心の根っこがズレ・狂い・腐蝕している場合は、そうたやすく「まっとう」に復することはないですねネ。でしょ? 皆さん!


***


 「金と良心は反比例する」 ――ゴーリキィ/ロシアの作家

 「金があればバカも旦那」 ――日本のことわざ
 「金は底のない海である。名誉も良心も、また真理もすべて投げ込まれる」

                             ――カズレー/イギリスの政治家




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ケイちゃんの目 ↓

芝居仲間 睦組との伊豆の旅

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— posted by 本庄慧一郎 at 02:01 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第373回(通算485回)

ヘクソカズラ・イヌノフグリ……

●「ゼッタイに貯まらないおカネ。放っといても増えるもの。あれこれの本」
 畏敬する作家・評論家の著作物はもちろん、キチンと保全してありマス。
 でも、おのれの小説や舞台脚本に必要な資料本は、「際限もなく」増えつづけます。

●かつての放送作家や広告(CF)関係の資料となるとそれはもうキリがなく、歌謡曲のド演歌からフォーク・ポップス・ロック――ビートルズまでの資料を揃えた。

●いわゆる動物全般はもとより、ミミズ・フンコロガシ、そして『害虫図鑑』なんてホンまでね。
 となると、こちとらの「創作作業」に関係ない本は「サヨナラ」するしかない。
 いとしい女と一度でも書斎に泊めた本と「バイバイ」するのは切ないけどネ。

●それでも性懲りもなく、また女に……じゃない、本に手を出すのでアリマス。
 このところ、「盲目の賢人・塙保己一」の物語化(埼玉新聞に連載中)なので、ソノ関係本がプールされているのは必然で……つまり納得づくですけど。

●そういう時の(集中作業中)こそ、気持に「アソビ」が必要ですからね。
 (なにしろシュミがない。情けないほどのボクネンジン!)そんな折に新刊『スキマの植物図鑑』の紹介記事や広告に出会い、スグ買いたいと思った……。

●「歩道の割れ目、塀の穴……」などのスキマに根付いた花たちのコト……なんて、いいじゃない。
 そういえば「スキマ産業」とか「スキマ家具」とか「すきま風」(杉良太郎のヒット歌謡曲)もあったよネ。

●もうひとつ、吉川英治の『宮本武蔵』の小説の『宮本武蔵(三)火の巻(つづき)/風車』(1989年講談社・吉川英治歴史時代文庫16刊)では――
 「鎖(くさり)鎌」の使い手・宍戸梅軒とのインネン話に「すきま風」が巧みに使われていたよネ。(それはそれとして)

●たとえば、専門の人がたっぷり手をかけたバラの花とか贈り物のヒロイン胡蝶蘭の人工的な美しさよりも、ワタシはやっぱり「スキマの花」が好きデス。

●愛蔵版の植物事典はいろいろあるけど……それにしても「ヘクソガズラ」とか「いぬのフグリ(陰嚢/いんのう)」なんて、ひどいネーミングだね。
 でも、この2種類の花たちって、それは可れんで美しいんだから。

●「イヌノフグリ」の場合、かわいい花のカタチがタマタマ(ギャグで言っているのではない!)ワンちゃんのあそこに形が似てるというコジツケでこの名がついたのデス。

●「ヘクソカズラ」の花だってかわいいのに、その花や葉を揉んだりすると、「げッ」と思わず口走ってしまうような「悪臭」を放つというコトからこの名になったとか。

●そういえばあのドクダミという植物も、白い清楚な小花に欠点などないのに、指で葉を揉むと「うわッ」という「悪臭」を放つのである。

●しかし、このドクダミでも別名「十薬/じゅうやく」として古くから民間薬として役立ってきたというから、そんなに嫌ってはかわいそうだと思ってます。

●わが家の「ネズミの額」ほどの庭には「花の道」がある。
 ハルジオンやいまごろ(梅雨どき)はドクダミが踏み石の両サイドに小花を咲かせて「野趣に富んだ径」になるのデス。(つまり、門の外は雑草を取ってキレイにするけど門内は放ったらかし!)

●花も植物も、そして人間も、環境の条件にへこたれずにけなげに生きているモノが好き――ということです。

●でも、表向きはともかく、その心根で、やっていることで、「ヘクソカズラ」や「ドクダミ」の何十倍・何百倍もの「悪臭」と「公害」をもたらしている人間がいる――これは許せないねぇ!

●それにしても「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」なんてレディは……いまや、日本うなぎ同様、絶滅危機状態に相成りマシタ。


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ケイちゃんの目 ↓

本庄サン家の花(ドクダミ)の道

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— posted by 本庄慧一郎 at 03:00 pm  

「社会&芸能・つれづれ愚差」第372回(通算484回)

東京・銀座・資生堂……そして

●2014年6月2日――株式会社資生堂さんからイベントのご案内を頂いた。
『中村誠の資生堂/美人を創る』である。


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●中村誠氏(1926〜2013)は、資生堂の社員として、広告のアートデザイナー、アートディレクター、そして役員として活躍した方だ。
 「一業・一社・一生・一広告」をモットーとして輝かしい業績をのこした。

●小生は、民放ラジオ局をベースにむしろ「手当り次第」といった調子で、とりあえずは念願の「物書き業」で生活をしていたが、あの「東京オリンピック」を機にテレビのカラー化が進行し、広告界の活況に心をひかれた。

●さっそく、右も左もわからない広告業界へモーゼンとアタック――当時、銀座7丁目にあった広告代理店第一企画に入社。(第一企画はその後、旭通信社と合併、アサツーディ・ケイとなった)

●映像・ディレクター内田健太郎氏と出会い、これもまた「手当り次第」といった調子でテレビCF制作に入れ込んだ。仕事の内容は、テレビCFの企画・コピー・CMソングの作詞などである。

●そんな時に、社命で資生堂担当を命じられた。当時はあくまでも「電波メディア」をと希望していたので、まず、資生堂全枠提供のラジオプロ野球中継の各イニングスのオモテ・ウラに対応する男子用コスメ……のCM&コピー・ディレクションを担当。

●その後、歯磨エコーのラジオCMを制作して「1969年ACCラジオ部門金賞・コピー個人賞」を受賞する。
 第一企画の自由な社風もあって、以後、せっせとよく働いて、内田健太郎氏とのコンビで、ブリヂストン・旭光学などビッククライアントのCFを量産した。

●そして図にのって、CM制作集団をつくり、テレビCF制作を手がけ、資生堂石鹸バスボンやリップアミュレット(女性のくちびる用商品)を、演出は電通映画社を離れてスグの川崎徹氏、音楽は桜井順氏で制作する。

●というワケで、資生堂さんのメーンの広告作業にかかわったわけではないが、その広告世界とはかなり密接な場所にいた。その体験はのちの小生のために文句なしに役に立っている。

●今回のイベント当日は、銀座の資生堂の3ヶ所の会場には外部スタッフが大勢詰めかけ、大盛況だったが、まず、当時の資生堂宣伝部のコピーライターで制作ディレクターだった中尾良宣氏と久々の再会。また、元電通の制作部門のエース小田桐昭氏ともお目にかかれた。さらに、CF制作プロデューサーだった小西亮志氏や二口善乃氏……などともうれしい再会をした。

●中国唐の時代の詩人・劉廷芝(りゅうていし)の言葉を思い出した。
『年年歳歳花相似たり・歳歳年年人同じからず』
 このマスコミ・ゲーノー界は、実に多くの人が離合集散する。
 でも――その雑で、理不尽で、不合理な流れの中にあっても、ペースをくずさず、しっかり仕事をしている者も……いるのデス。


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ケイちゃんの目 ↓

有楽町高架下の飲み屋街

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— posted by 本庄慧一郎 at 11:49 am  


*** お知らせ ***
自主CDを制作
21.1:130:128:0:0::center:0:1::
平和を願う歌
「鳥になれたらいいね」
総合プロデュース:本庄慧一郎
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