趣味は墓参り、墓地は健康ランド


緊張を得られることは健康である

 ゴーリキィの「どん底」という芝居がある。その中のせりふに「仕事が楽しみなら人生は極楽だ。仕事が義務なら人生は地獄だ」というのがあった。
 極楽なんていう所にまだ行ったことがない。だからどんなに素晴らしい所なのか実際には分からない。
 しかし、仕事が好きで楽しいといっても、酒を呑んでうまいもの食ってゴロゴロしているような《極楽》ではない。仕事となれば勉強もするし努力もする。緊張もするし神経も使う。
 ただ、イヤな仕事を続けるための不快な我慢や忍耐はない。
 最近はだれもが「ストレス」を言う。すべてマイナスの意味で使う。本来、ストレス=緊張は人間にとって必要不可欠なものではないのか。緊張することの出来ないからだや感情や顔の表情は、むしろ重大なビョーキだ。
 タイムリーで適宜な緊張を得られるということは健康なのである。それを忘れている。

創造性のあるエネルギー
 どうやら皆さん、イヤな仕事、嫌いな職業、そして気の合わない同僚、居心地の悪い職場にいるかのようだ。その証拠にすぐ「ストレス解消」を口にするのではないか。
 酒も、カラオケも、パチンコも、ゴルフも、旅行も、競馬競輪も、なにもかも「ストレス解消になるから」とのたまう。アッケラカンとして遊べないのはお気の毒だ。
 ストレスというマイナスの穴を埋めるのに汲々としているとしか見えない。
 カネと時間を費やして、やっとマイナスの穴を埋める。となると、つまるところ、プラスの前進は期待できない。

 やっぱりカネと時間を費やして好きなことをやるなら、アクティブな創造性のあるエネルギーを獲得しなければ意味がない。面白くない。

 たとえば「ストレス解消のため」と言いわけしながら、酒を呑みすぎ、胃や肝臓を病んだり、糖尿病で苦労している人もいる。

 競馬競輪で大赤字を出してサラ金に追い回されている者もいる。どでかい新しいストレスを背負ったことになる。ご苦労なことだ。

趣味はと訊かれれば?
 わたしにはとりたてての趣味がない。
 映画を観る。演劇を観る。コンサートやライブによく出掛ける。写真や絵画の展覧会もこまめに観る。
 自分でも時代小説など書くから、本はよく買う。
 ザックを担いでの古本屋めぐりが大好きだが、考えてみるとこれらのことはみんな、仕事の役に立つことばかり。仕事の一部なのだ。
 酒は10代の終わりから長いこと呑んできた。劇作家だった叔父小沢不二夫の家には、著名な作家や俳優がのべつ来ていた。
 酒呑みが多かったから、無理に呑まされることがよくあった。でも結構強かったので、奨められるとカポカポ呑んだ。
 近頃は加減して、ほどほどにたしなむ。
 肝臓もまあまあ。糖尿の気はない。血圧はちょっと高めだったので、小粒の薬は常用している。130に80といったところだ。3か月おきに定期検診を欠かさない。
  だからあえて最近は「趣味は?」と訊かれるとこう答えることにしている。
  「一に墓参り、二に病院通い、三に仕事」
 皆さんイヤな顔をする。たしかに厭味に聞こえる言い草だなあ。心ならずも反省する。

— posted by 本庄慧一郎 at 07:21 am  

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