ムカシはよかった、とはいいたくない
かつて、テレビ文化とかCM文化ということばをよく耳にしました。
文化とよぶにふさわしい上質の魅力があったのです。
ぼくは放送作家としてラジオ・テレビ番組にかかわっていたし、また、企画・コピー・制作でラジオ・テレビのコマーシャル作りで働きました。
いずれの場合も、発展途上にあったそれぞれのギョーカイはんみんな真面目で真摯でしたね。
メディア多様化の中でのテレビは?
近頃はどうか―たとえばテレビの番組(とりわけ娯楽番組)やテレビコマーシャルの劣悪なこと!文化とはほど遠いモノばかりです。
たとえばコマーシャルですけれど、ほとんどが「ウルサイ・アザトイ・ダサイ」。
ぼくが現場で働いていた頃は「CM上手のご三家」といって、サントリー・資生堂・松下電器の3社が挙げられていましたけど、現在はその出来においてさしたる差はありませんね。
だいたい、「どうしてこんなCMを作るの?」という品性を疑うようなのがやたら多いじゃありませんか。
広告主やCM制作者たちの知性は?
一例を挙げるなら〔出光〕のCM。番組では「題名のない音楽会」といった文化の香りを大切にした良心的なエンターテインメントを提供をしていながら、あのCM群のひどさといったら……。
このところ出光のサービスカードをしつこくアピールしていますが、まずデモンストレーションの男女のキャラクターの不気味でウルサイ連呼。これはこれとして、ショッピングのカウンターに現れた女性ユーザーが自分のバックからザラザラと無数のカードをぶちまけるバージョン。さらに男性ユーザーがコートの前を開くと内側にこれはまた無数のカードが仕込まれていて―つまり「出光のカードならコレ一枚」といった自画自賛でしめくくりです。
お客様をコケにして販売促進?
それにしても、コレってユーザー、お客様をとことんバカにしてませんか。
こんな表現がユーモアとギャグとかと思い込んでいる広告主やCM制作者の思考の質を疑います。これは販売促進ではなく、販売阻害のCMですよ。
なんとかテレビという公共のメディアからウルサイ・アザトイ・ダサイといった不快を追放したいと考えるのはぼくだけでしょうかね。
ウルサイ・アザトイ・ダサイ―TVCM群
2004/9/16
— posted by 本庄慧一郎 at 08:49 am
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