●ライブといえば――
かつては、TVCF制作を仕事にしていたから、音楽にはどっぷりだった。
ガリガリのジャズからトロトロのムードコーラスまで。また、大スケールのパイプオルガン演奏から、尺八や三味線の和楽までつきあった。
●唄入りCMソングの企画や作詞やプロデュースもやったからデューク・エイセス、ダークダックス、それにスリー・グレイセスなんてベテラン女性コーラストリオでの仕事もしたなぁ。
●その後、書斎での小説や舞台脚本書きになって、ライブといえば当然、「読み語り」や「演劇公演」を重要視するようになった。
もちろん、自分で企画・作・演出することもある。
『狛江 ご近所寄席』(2013年9月22日公演 泉の森会館)など、イロイロある。
読み語りドラマ・江戸人情噺『雪になる』 『ミニコンサート』
出演/語り・ソプラノ 木山みづほ ブルースハープ 猪浦教行――も、好評だった。
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●『橋爪功 ちょっぴりゾッとする話』(2014年9月13日 東京グローブ座)に出かけた。
(作/フェルディナント・フォン・シーラッハ 翻訳/酒寄進一 演出/深作健太)
●橋爪功はうまい役者だと、ずっと思ってきた。
テレビでは現代物もいろいろあるが、やはり池波正太郎原作『梅安シリーズ』の「彦次郎役」などは味わいがあって好きだ。
●「語り」のうまさ――
なにしろ文学座、劇団雲を経て演劇集団円の重鎮である。
いわゆるナレーション――小生はこのヒトと、もうひとり(唐突だが)いかりや長介の「語り」のうまさに魅かれた。
ドリフターズ時代の彼はともかく、いかりや長介が役者に転じてからもGoodだったが、(台本つきの)ナレーションもうまかった。
●だいたい近頃のタレントの「語り」なんて――
どうしようもなくヘタクソなのばかりでね。
あらかじめ用意された原稿を「なるほどね!」と納得させる「読み」はまるでダメなのばかり。
●生まれも育ちもまるで違う二人だけど――
橋爪功といかりや長介のご両人には拍手を送ったネ。
●今回の『橋爪功 ちょっぴりゾッとする話』については――
ホンヤクものの演目2作だったが、やはり橋爪功の「語り」の味わいは、時代物で発揮されるのだと思う。
江戸人情物なんかを、和服とマゲという扮装で語ってくれたら――とつくづく思ったなぁ。
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●『デンティスト』(2014年9月19日〜23日 ジャージャン恵比寿第1弾公演 作・演出/桃井 章 出演/浜田 晃・水沢有美)
●客席数30席たらずのBarのスペースでの二人芝居。『デンティスト』。
男女二人だけのダイアローグ・ドラマ。
すでに「高齢者」のエリアに足を踏み入れた男と女の過去と現在が、きわめて刺激的に二人の会話でくりひろげられる。
店のカウンターや出入り口ドア、それに大きいガラスの窓や外のテラスも「舞台や道具」として活用される。
●ベテラン浜田とふっきれた水沢――
浜田晃は文学座出身。この人のキャラ、その演技にも好感をもってきた。
そして、水沢有美――実は小生のイトコで、彼女の父親は54歳で早逝した劇作家小沢不二夫。小沢は小生の母親の実弟で、しかも物書きの師匠でもあった。
●役者が「脱皮」するということ――
この「二人芝居」で、水沢有美は「ひと皮むけた」と実感した。
作・演出の桃井章氏も、「水沢さん、なかなかですよ」と言ってくれたが……。
200〜400席といった、大きなスペースでのライブでは、どうなるか、だね、有美さん。
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●こまつ座公演『きらめく星座』井上ひさし作(2014年9月8日〜10月5日 紀伊国屋サザンシアター)
●井上ひさし作品ではコレが好きだった――
『きらめく星座』は、脚本を何度も読んでいた。昭和という時代――戦争という悲劇にほんろうされた歳月はなおざりにできないからだ。
●今回の公演も、快い仕上がりになっていた。
出演者(俳優)の実力と魅力にもうひとつ――という思いも残ったが、でも、全員の熱意とパワー(演出栗山民也)に好感がもてた。
フィナーレの観客の拍手もホットだったネ。
ケイちゃんの目 ↓
わが家の小庭の小さな生きもの
再び来た蝶
昼寝しているどこかのトラネコ
小さな柿の実三きょうだい