行きあたりバッタリが好きだ。けれど、あのスカイツリーとやらの雑踏はまっぴらごめんでアル。
今回の「1万歩ウォーク」は、阿佐ヶ谷行きが来る富士街道のバス停で、たまたま先に来た成増行きに乗車した。終点までは40分ほどの長丁場だ。
成増というゾーンは、練馬区と板橋区と埼玉県の境界線でややっこしく区分されている。
その成増に着到して、急に「東京大仏」を訪ねることにする。
「東京大仏」は以前一度訪問していたが、街や道路は大きく変化しているはずだ。
行きあたりバッタリで、だいたいの見当で歩きはじめる。成増駅と下赤塚(いずれも東武東上線)2点の北方の三角点の頂点あたり――と判断して。
でも、あえて、途中では、出会った人に道をすぐ聞く。
今回は6人の行きずりの人たちに道すじを聞いた。
テナントビルの警備員。散歩中の中年男性。花壇の手入れをしていた老人。ミニスーパーの前のご婦人たち――などの皆さん。
どのお方もそれはていねいに応じてくれるのだ。
「バス通りを行けば分かりやすいけど遠いから」とややっこしい近道を一生けんめい教えてくれる人。中には、考慮中に頭を傾け、じっと目をつぶる方までいた。
かと思うと、ミニスーパーのご婦人たちは、3人が一緒に道順を教えてくれて――結局、代表のふっくらズングリのおばさんの「この裏道はクネクネ曲がりくねっているけど、とにかくまっすぐ行けばいいんですよ」の説明がおもしろくて、ついつい、「クネクネ曲がりくねってるけどまっすぐというのは、ボクのおヘソみたいだ」なーんて冗談言って、バカバカしいほどに大笑いされた。
ところで、途中、「六道の辻」という交差点に出た。
この名称「六道の辻」とは、ご存知のように、われわれ衆生が現世でやらかしたあれこれのことの中味や内容次第で振り分けられる6種類の「行き先」のことだ。
つまり、「地獄」「餓鬼」「畜生」「修羅」「人間」「天」があるわけだが……。
京都東山区にある珍皇寺(ちんこうじ)の門前に、たしか「六道の辻」があり、「あの世とこの世の境界地点」という石碑が建っていた。8月7日〜10日には「六道まいり」だったかナ、この六道の辻は大賑わいになるそうだ。
近頃はとんでもない奴がいっぱいいるので、冥界の「六道の辻」もいずれはGWの高速道路並みに混雑渋滞することになるんだろうなぁ。
そういえば――物書きでの初めて「文庫書き下ろし時代小説」というモノを書いたその第1冊目は「内藤新宿シリーズ殺(あや)め暦」(廣済堂文庫/学研M文庫)。この主人公の名が「極楽家六道」という芸名の「たいこ持ち」で、大いに気に入ったキャラだった。
というわけで、「六道の辻」には、格別の親近感があるのです。
たどり着いた乗蓮寺の「東京大仏」は、奈良、鎌倉に次いで3番目の大きさ、という説明だが、とにかく、いいお顔をなさっている。
このところTV画面で見る政治家や官僚や、トーデンとやらのヤカラの顔とつい比較して……やっぱりアイツらのツラはヤダなぁと呟いてしまいますネ。
元赤塚城二の丸跡という乗蓮寺の階段を下りて、その足で近くの松月院へ。
この松月院には、幕末の兵法学者で砲術家の高島秋帆の記念碑がある。墓は本郷の大円寺にあるはずで、ここは彼が活躍した「徳丸が原」が近いせいだからかナ。
そうそう、帰途はこの松月院前からバスで成増駅へ直行した。
駅前の串カツ屋のカウンターで、魚貝と野菜の串カツで焼酎のロック2杯(でガマン)。
帰路は大泉学園で乗り継いでのバスで西武車庫前。
バカバカしいほどに……いや、ついケラケラ笑っちゃうほどに健全な半日でしたヨ。
こりゃ、大仏さんのご利益で、きっとイイコトあると思うなぁ……というワケ。
ハハハ、「1万歩ウォーク、バンザーイ!」
「東京大仏さん」のお顔
乗連寺の山門
その名も「六道の辻」!
大砲のカタチの高島秋帆の記念碑/松月院
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