「ニッポンの芸能人」シリーズ80

タイトルは「第2回日本三流映画祭」!
 06年11月2日(木)。京橋の近代美術館フィルムセンターにての開催。チャンバリストクラブ永田哲朗氏のリクエストで、日本映像学会映画文献資料研究会(代表日本大学教授田島良一氏)の協力を得てのユニークな催しである。
 昭和初期の日本映画発展期に、松竹・日活・帝キネなどのメジャー映画会社に伍してテッテイした娯楽映画作りに邁進した東活・全勝・極東、そして大都という「B級映画社」6作品の上映会だ。
 うち4作品は30分足らずのフィルム。あとの2作品が東活作品の67分と、大都の「岩見重太郎」の97分。
 なにしろ、トーキー作品はごく一部。ほとんどがサイレント作品。ということは、画面は映っているものの、声なし、音楽なしである。
 近代美術館のモダンなビルは美しく立派だし、ホールの作りもシートも申し分ないがスクリーンの映像は音声なしの古色蒼然(いわゆる雨が降っている状態)である。
 しかも、フィルムのコマ数の具合で、人物はチョコマカと動く。
 弁士も音楽なしのダンマリ映像(一部トーキー作品もあったが)を皆さんシーンとして、ただし、ジッと見ているのである。
 最近の映画館のスクリーンの音響の迫力はダイナミックで凄いが、こちらはただただ「シーン」なのだ。
 しかも、途中少しの休憩タイムはあったものの、午後1時から6時まで6作品を上映した。
 観客は総勢40〜50名ほどだったか。11月22日から12月6日までエコー劇場で「大都映画撮影所物語」を上演することにちなみ、目下、けい古中の主役の熊倉一雄さんをはじめ出演俳優諸君、それに演出家永井寛孝氏、制作白川浩司氏も参加した。
 今回の目玉はやはり大都の「岩見重太郎」。阿部九州男、東竜子、木下双葉といったスチール写真でおなじみの俳優たちが登場した。
 そのうちヒマを作って、サイレントの人物にせりふを書き、音楽や効果音をつけたい――などと思ったものだ。
 観客は当然のことながら高齢者が多いが「童心にかえって」、じっとスクリーンに見入るその熱心さはひたすら純粋で無垢……であった。

あけて11月3日は憲法記念日
 いまこの文章は翌日の11月3日の朝に書いている。
 世界に誇るべき日本の平和憲法が施行されて満60年。いま、改憲論(改悪論!)が姦しい。もちろん、良識ある者たちの反論も熱いが、なんとしても心ある者たちは結集して改悪を阻止すべきである。
 テッテイした大衆娯楽路線の大都映画が消滅したのは、日本国全体が戦時態勢に急傾斜したからである。
 現在、「独立系」でがんばる映画人たちの努力でやっと元気を取り戻しつつある日本映画も、ただ愚かしいカラ騒ぎで明け暮れる(便所の100ワット――ただ無駄に明るい!)現在のテレビなど、「時代が逆行」すれば、たちどころに潰されるだろう。
 映画や演劇、そしてテレビの番組などはいわば平和の産物――いってみればかつて炭坑で有毒ガス探知機の代用にされたカナリヤのようなものだ。
 権力者たちの強引で勝手な言論統制のホコ先が、遠からずぶっ潰しにやってくる――。
 大都映画の画面を見ていて、しきりにそんな「時代の危うさ」を考えていた。
 なにはともあれ、刻々と地滑り現象を起こしている時局に対応しなければならないテレビなどの連中が、図にのってアホ踊りをおどっているのには苛立を感じる。
 B級三流映画は、平和という時代の価値あるシンボルなのだよ、諸君!  

— posted by 本庄慧一郎 at 01:01 pm  

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