現在の書斎は、古書店の倉庫のようで「創作の遊園地」になっている。
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マスメディア――テレビ・ラジオの言葉。
●それまで、NHKのラジオ放送しかなかった放送界に「民間放送」として新登場したのが、昭和26(1951)年。9月1日に中部日本放送と新日本放送がスタートした。
そして、同年12月に「ラジオ東京」(現TBSラジオ)が開局。
それにつけても すでに「もの書き業」にやる気満々だった若いボクは、まず、放送作家なるものを目標にした。
●当時は(まだテレビはない!)ラジオのDJ番組等はすべて構成台本が用意され、出演者は「語り」のベテランの実力者だった。
エンターテインメント番組はすべてが、「構成台本」をベースに制作された。
それにつけても いいかげんで場あたり的なお喋りは(インタビューものは別)なくて、スタッフも出演者も腰を据えてスタジオワークを全うした。
●それまでのラジオ界(NHK)には「語りの名手」といわれる人たちがいた。アナウンサー高橋博さんとか、高橋圭三さんとか……。
そして、吉川英治の「宮本武蔵」や中里介山の「大菩薩峠」などの「語り」では、徳川夢声さんや八代目市川中車など「語り芸」という「芸」でずばぬけた「エンターテインメントの魅力」を発揮する者が存在した。
それにつけても 「言葉を通じての表現技術」は、映画、演劇と同等のクオリティを誇っていて、文句のつけようがなかった。
●このところ、「ジェットストリーム」(TOKYO FMの番組)がCDとして商品化されて、人気を集めている。
ナレーターは城 達也さん。(1931年〜1995年)
ボクがCM制作(ラジオCM・テレビCMの企画・コピー・作詞・プロデュース等)をムキになっている当時、城達也さんと親しかった。まじめでジェントルで、その語り口に品位があった。
CMナレーションはあれこれお願いしたなぁ。
そして、TBSラジオの日曜日の午後のナマ放送2時間ワイド『日曜ワイドラジオTOKYO』の「プロムナードS」(提供:セイコー)が具体化した。
ナマ放送ということで、城さんは「大丈夫かなぁ」とためらいを見せた。が、小生が「語りの台本」を書くことで……OKした。
提供は「セイコー」。品性と格調のある音楽番組(ポピュラーなど)で、ボクにとっても気持ちのいい仕事だった。
城さんの他には、矢島正明さん、黒沢良さん。それに劇団民藝のリーダー宇野重吉さんや佐野浅夫さん、垂水悟郎さん。さらに仲代達矢さんなど演劇の基礎をもっている人たちが……良かった!
●いまのラジオ、テレビの両メディアのエンターテインメントは、言葉を粗雑にしている。
いや、言葉に対する感覚や理解はラフそのものである。言葉――語りに対するデリカシーもインテリジェンスも欠落している。
それにつけても 世界に8億数千万人は存在するといわれる「飢えに苦しむ人々」がいる一方、食糧をムダにして省みることのない者たちのゴーマンで愚かな「食」に対する態度には、言葉を軽んずる者たち同様に……許せない。
●戦後、マスメディアの主流を成してきたラジオ・テレビだが、その質(番組の企画・内容)ともに「これでいいのかい?」である。
それにつけても 自分の出身母体である業界が気になるゼ。
「言葉」をないがしろにする企業リーダーも政治家も、そしてゲーノー人も、さらにメディアも衰退するね。
曠野(あれの)ゆく 汽車のごとくに このなやみ ときどき我の心を通る ――啄木
各書店の余美太伊堂文庫のページへとびます。

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