「社会&芸能・つれづれ愚差」第307回(通算419回)

2013年3月――本格の春を待ちわびながらのメモランダム

 2月24日東京新聞コラム『言いたい放談』/映画監督小栗康平氏の「人の声」を読む。
 2月4日東京新聞TOKYO発欄コラム『うらかた有情』 の「最後の音職人・玉井和雄氏」について書かれている。それを読んで、小生もまたあらためての感慨を抱いた。

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 玉井和雄氏は文化放送の効果マンのベテランで、現在80歳になられるとか。
 「効果マン」とは、ラジオドラマなどの「効果音」を作るスタッフのことをいう。
 小生も若い時(放送作家として、また演劇のスタッフとして)効果音なるものに深く関わったことがあるので、玉井氏の記事を読み、その頁をキープしていた。

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 記事の中の玉井氏の言葉「テレビは嫌い。音が映像の奴隷だから」に、小栗氏もふれていたが、「音」に対する現在のテレビスタッフ及び出演者たちの無神経さにはウンザリするばかりだったから。

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 「効果音→SE→サウンドエフェクト」は、演劇のフィールドでは「擬音」と称していた。波の音も、そして雨音なども、現実音を録音したモノを再生して使うことはなかった。すべて、さまざまな工夫と道具で人工的に作成して、ドラマの物語や内容等にぴったりした「音」を創作して使用した。つまり、あらためての「作り物」の音だ。

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 演劇青年の小生に「ドラマの音響」をコーチしてくれた人がいた。  かつてのニッポン放送に在籍していた加納米一氏だった。そしてこの加納氏とも親交のあった辻享二氏(お二人とも、新国劇、新派をはじめかずかずの商業演劇の舞台の効果音をも担当した)とも親しかった。

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 彼らの「創る」さまざまな「音」は、現実のそれ、(波、風、雨音などなど)とは異なり、そのときどきの舞台の物語や登場人物の「心情」や「所作」にシンクロして  いきいきと鮮やかな現実音とは異なる個性的な魅力を発揮した。

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 小栗氏もふれられているように、玉井氏の言う「テレビは嫌い。音が映像の奴隷だから」は、現在のテレビのクオリティの全体に対しての評でもあると思っている。
 いや、テレビのみならず、かつてはていねいに制作されていたあれこれのテレビ番組も、いまや無神経で大ざっぱなタレントたちの「フリートーク」「その場かぎり」の出まかせパフォーマンスでひたすら「ダベリのごみため」になった。(一部を除いては……と申し添えるかネ)

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 エンターテインメント番組の主流であるバラエティとかクイズ番組なんて、どれもこれもバカ騒ぎとワルハシャギばかりで、とてもコチトラ、つき合っていられない。
 たとえば、ずっと親しく仕事をご一緒してきたナレーターの城達也さん(あのTOKYO FMの「ジェットストリーム」)のような、品性と快い「語り」の楽しさを玩味させてくれるタレントなんて、いまやゼロだもんねぇ。

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 なにしろ、ナレーターとか、TV局のアナウンサーの「語り」のディテールがひどい。
 キンキンのアニメ声(女性の声優?)がハヤリらしくて、TVCM、番組などにもやたら起用されているが、あのかん高い、奇妙なフシをつけた喋りはいまや、「音害―公害」だね。
 その他、ハナ声(甘ったれた作り声)の女性タレントの声そのもの。また不快でしかない男性タレントの「ツクリの喋り」など、まったくいいかげんにしてほしい!

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 たとえば、「語りことば」だが、あらかじめ用意された原稿などを「語る―音声化する」場合にも、句読点や行カエのニュアンスも読めない。表現できない。さらにことばの一語一語に、肝心かなめの「意味」や「ハート」が託されていることも(ほとんど)ない。もうひとつ、本来のイントネーションを無視して勝手に「ナマって」いる!

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 ついでに言うが最近のNHKがせっせと「民放化」につとめているのが、これまた不快でアル。どうして、そんな「アホな努力」をするのかね?
 週刊誌によれば、NHKの職員(スタッフ)らの年俸は1千ン百万円……とか。視聴料を徴収しているNHKは「それなりの質」を保って、劣化とダラクの一方の民放の番組を押しのける上質のモノを作りなさいよ!
 NHKがそんなテイタラクだから、粗製乱造の民放の「音声化する言葉」はそれはもう……です。
 そこへもってきて、ハートレスで無作法で勝手にワルハシャギする芸人たちやCM群の跳梁で、うんざりさせられるゼ。
 TV番組の視聴率獲得にナリフリ構わずの制作スタッフの皆さん、ホントにこのままで……いいの?
 そのうち小栗氏(ごぶさたしてます!)と玉井氏と3人でお話をしたいですね。

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○追記

 原発再稼動問題は、もちろん未解決だが、あれほど声高に喧伝された「電力不足」はとりわけ寒さのきついこの冬(暖房需要のアップする)なのに、何故か鎮静してしまった。
 そういえば、繁華街の過剰ネオンもさらに冬の樹木いじめの無意味イルミネーションの自粛もないままである。
 あちこちのタワーの派手なライティングも、そして愚にもつかないテレビ番組のオンパレードも……使用電力の「ムダ使い」は放置されたままだ。
 ヘンというより、「インチキ」の臭気フンプンだねぇ。

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 「誰でもいい」と口走って、刃物を振りまわし、銃をぶっ放す物騒な「害獣・害虫」みたいなのが右往左往している。
 そして「マダニ」とやらに噛まれて一命を落とす人が続く。
 そういえばアベ政権復活で「天下りダニ」も再び活発に動き出したとか。
 ああ、イヤだ、イヤだ、イヤだねぇ!

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 東北青森地方のドカ雪、積雪なんと5.5メートル以上とか。83歳になる老婆がひとり除雪作業につとめる――。
 その状況を伝えるニュース映像。朝のワイドショーのスタジオで、その映像について「感想」をのべる女性タレントの、盛夏のような半袖ブラウス姿が異様に目に立つ。
 それでなくとも福島の被災者たちの避難先や仮設住宅での耐乏・耐寒生活が思いやられるいま、心なき「マスコミ人種たち」の跳梁に無性にハラを立てる。
 同時にこういう番組を「アタリマエ」とするテレビ局及び制作スタッフたちの怠慢に、手のほどこしようのない「堕落」を思い知らされる。


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ケイちゃんの目 ↓

本格の春を待つ
石神井・三宝寺池



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307-419wakimizu

— posted by 本庄慧一郎 at 03:45 pm  

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