08年3月に観た映画とTVドラマ
映画「明日への遺言」監督小泉堯史。主演藤田まこと
3月15日(土)T・ジョイ大泉にて観る。
第二次世界大戦の敗戦後、B級戦犯として軍事裁判の法廷に立ち、死刑の判決を受けた「岡田資(たすく)中将」をモデルにした物語。
出演交渉を受けた藤田まこと氏は半年間迷ったという。
〔軍人としての責任〕を主題にしたこの映画の制作上の出来不出来をいうなら不満はない。
ただし、〔軍人としての責任〕を一身に引き受けて決然と絞首台に立つ主人公が遺したという物語の〔印象〕に、「軍人賛美」を感じたのは小生だけだろうか。
藤田まこと氏が出演をためらった最大の理由は、何だったのか。
小泉監督にも、作品としての〔着地点〕に狂いはなかったのかとあらためて問いたい。
●テレビドラマ「3月10日。東京大空襲/語られなかった33枚の真実」。
3月10日(月)TBS。
おチャラケタレントのバラエティ番組とか、大食いや食いあさり番組とか、半端なゲーノー人のスキャンダルと離婚ばなしと、マンガ原作のうわっ調子のテレビドラマ……。テレビのエンターテインメントの〔悪あがき〕は醜悪だ。
その中にあって上記の作品は久々の力作・傑作であった。拍手。
●テレビドラマ「東京大空襲」
3月17日(月)&3月18日(火)日本テレビ。
前出の作品とは異なる物語性を加味してのまとめだったが、好感のもてる出来栄えであり、大いに納得。
さて、そのうえで、苦言をあえて呈したい。
この2種の作品の質はともかく、強引に割り込んでくる大量のCM群のほとんどが、作品の、いや物語のシークエンスを分断する雑音でしかなかったということを関係者たちはどう思っているのかね。
もちろん〔民放〕が広告及び広告主によって成立しているのは百も承知だ。
それにしても――せっかくの作品をズタズタにしてしまうその神経にただ肚を立てたね。
かつて小生もテレビ番組にもCM制作にもかかわっていた。
当時は、特番でのCMは、各広告主がその作品にマッチした企画とテーマと内容でそのためのCMを制作し、放送時点での編成もテレビ局や広告代理店などによって特別に工夫がなされた。
もちろん、現在は広告主にそのためのCMを制作するゆとりがない……などということはあるだろう。それでもしかし……だ。
現在のCMの大部分は、その内容において、その質においても救い難いほどに劣化している。それをそのまま〔特別番組〕に流用する無神経さは許容しかねる。
そうでなくとも、いずれ地上波デジタル時代になれば現在のテレビ視聴(CMもふくめて)のシチュエーションは大転換期を迎えるだろう。
番組とも現実とも乖離している愚劣なCM群の電波は自滅するね。(ああ、生まれ在所――テレビメディアが壊れていく!)
この〔自傷行為〕は異状と言わざるを得ないね、テレビ局サン。
●「放送記念日特集/新動画時代」(3月21日・朝日新聞)
NHK夜10:00の紹介記事より抜粋。
(略)放送と通信の垣根が消えていく中、国内外の新しい動きを追い、テレビの未来を展望する。(略)企業がテレビ局を通さず、映像を直接配信する動きも加速している。(略)米ABCのネット配信向けニュース番組の売りは「テレビより早くあなたの元へ」。テレビ放送の3時間前に配信するプログラムもある(略)。
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