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パート2
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第1回 2001.01.01
はじめに 2001.01.01
  

エッセイ「ニッポンの芸能人」シリーズ4 パート2 第10回 

緒方拳さんがいた劇団新国劇
 映画・演劇などの古いパンフレットのコレクションから「昭和25年7月興行/新国劇/東京劇場公演」のパンフレットを引き出す。
 演目は昼の部が「黒い太陽」作小沢不二夫。「原田甲斐」作宇部信夫。
 夜の部が「シンガポールの灯」作菊田一夫。
 「月形半平太」作行友李風。
 新国劇といえば、創立者沢田正二郎。それまでの歌舞伎の様式化された〔殺陣――たて〕をリアルなチャンバラとして舞台で演じて人気を集めた。
 現在の映画などのチャンバラの魅力の原点はすべて沢田正二郎に発するといえる。
 そのエンターテインメントの系譜を継承したのが辰己柳太郎・島田正吾。
 かれらの舞台では「国定忠治」をはじめ、かずかずの名作がある。

東京劇場の楽屋で見た!
 この昭和25年のパンフの劇団員の連名を見ると、辰己柳太郎・島田正吾の大御所に、石山健二郎の名がある。
 名作「国定忠治」では、山形屋藤造という二足のわらじをはく(十手持ちでありながら裏では賭場を営みあぶく銭を稼ぎ、娘を女郎に売りとばすなど)悪党役は絶品だった。
 また黒沢明の「天国と地獄」(1963)では三船敏郎・香川京子・仲代達矢・山崎努の演技実力派にまじっての刑事役を演じたかれのどっしりした存在感ある演技は忘れられない。
 この石山のほか、ずらりと名わき役が揃っていた。この連名の中に現在も舞台公演で活躍する大山克巳がいるが、まだ緒方拳の名はない。
 「おもかげ」という芝居はぼくの叔父小沢不二夫が新国劇に書き下ろした作品だが、当時カバン持ちで東劇の楽屋にいった。ちょうど「王将――坂田三吉伝」を上演中だった。(「国定忠治」も同時上演していた)
 ボロボロの股引、色あせた印伴天という辰己柳太郎扮する坂田三吉が楽屋に戻ってくると「おーい、オガタ、オガタ」と辰己がよぶ。
 キビキビとした青年が辰己の面倒を見ていた。そのときは、痔に悩まされていた辰己がボロ股引の尻をむきだしにしてオガタ青年に手当てをさせていた。
 この青年こそが現在の緒方拳である。
 そして、新宿第一劇場(三越から大塚家具になった現在の場所にあった)でやはり小沢不二夫作の「黒い太陽」を上演していたとき、花道をカモシカのような体躯の学生役の俳優が本舞台へ軽やかに走り出た。
 舞台けい古だったが、叔父が助手のボクに「あれが緒方拳という役者だよ。いい男だ」とささやいた。
 あのとき青年緒方拳がはいていた純白のバスケットシューズがくっきりと印象に残っている。

ゲスト出演に藤間紫の名が!
 藤間紫といえば、スーパー歌舞伎の猿之助さんの奥さま。つい最近「西太后」という大作で主演し、文句なしの喝采を博した。
 すべてに保守的な歌舞伎に積極的にケレン(大仕掛けなアクションや演出)を取り入れ、新しいファンを獲得している猿之助が体調をくずしているのは残念。でもかれが若手育成に情熱を注いできたので、市川右近をリーダーとする若手パワーがいい舞台を創造している。
 そのバックにはいつまでも若々しい藤間紫の情熱が役立っているはずである。
 ところで、それよりずっと以前の昭和23年(1948)小沢不二夫作の「おもかげ」の有楽座公演のパンフもある。
 昭和23年とは――「6月15日太宰治と山崎富栄と心中」、「映画入場料40円に値上げ」、「プロ野球初のナイター、横浜にて巨人・中日戦」、そして「主食コメ二合七勺に増配」、「燃えないマッチ退治の主婦大会開く」という時代であった。
 あれから56年! それにしてもお若い「藤間紫」!

大正・昭和の演劇パンフレット、多数あります(以下は一部)。
お問合せは望田企画室内「日本演劇愛好・普及クラブ」/FAX:03-3928-4258
新国劇一座
昭和四年
青年歌舞伎劇
昭和十一年
帝国劇場
昭和二年
市村座
昭和三年
2004/11/08