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パート2
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第1回 2001.01.01
はじめに 2001.01.01
  

エッセイ「ニッポンの芸能人」シリーズ29 パート2 第35回 


三つの事象は「同病同根」
 JR尼ケ崎脱線事故の悲惨さは、イラクの戦争のシーンと重なって見えた。
 突如として起こった脱線事故と、有無をいわさぬ空爆によって現出する「悲惨」は酷似している。共通している。
 そこには、無思慮と無責任と「勝手極まる論理」がのさばっている。その点で「同病同根」である。
 4月28日付日本経済新聞の「働くということ・2005」を読む。「ホリエ世代・自由と焦燥」というサブタイトル。ライブドアで働く者とそこに謂集する若者たちをルポする。
 ホリエ氏のライブドアでの社内事情――その一つの結論として彼らが「下積みは想定外」(つまり拒否)という点を挙げている。
 だれもが既成の常識に捉われず、自主的に企画し、行動する「自由」がある。しかしそれを「売り上げ」という実績で示せなければ即、クビに直結するという。
 「社員はすべて〔いくらもけるか〕ばかりを口にする」とは現社員のことば。
 このレポートを読んで即、JR事故を想起した。
 言うまでもない。「列車運行のスピード化・効率化最優先主義」が事故の最大原因。そして「利益最優先」と「効率最優先」は同質だということだ。
 さらにもう一つ、テレビ業界の「視聴率・利益優先」の狂奔も前者の場合と「同病同根」と言っていい。

公共性の無視と欠落。
 ホリエ問題の混乱のさなかで、またNHKのスキャンダル問題のさなかで、都合よく公共性という言葉が使われた。
 まっとうな意味での公共性をとうの昔に度外視してきた者たちの、公共性にかかわる詐術的発言に失笑し、なおかつ肚を立てた。
 このH・Pではもう何度も書いたが、現在の政治家・役人・大企業の経営者たち、また医療関係者たちなど多くの者たちに「公共性」にたいする理解や自覚は欠落している。
 ガン首を並べてのとりあえずの「お詫びのあいさつ」の態度や表情のどれ一つとっても、鈍感と偽態しか感じられない。

メディア暴走と狂躁。
 テレビ出演者やCMなどの悪ノリや無節操やデタラメさは、さいわいにも死傷者続出という悲惨な事故に直結しない。
 現在のテレビ・メディアの多くの出演者や番組やCMの制作者たちの思い上がり、勘違い、そして視聴率最優先の局のダイアグラムにのったその姿勢は、交通事業だったらとうに大事故多発現象を惹起しているだろう。
 いうなれば「まっとうな感性と判断力と技術を有する運転手の不在」なのである。
 しかも、そこに群れ寄ってくる者たちはすべからく一獲千金のあさはかな夢を見る者たちだ。
 ホリエ教に群がる若者たちが「下積み拒否」を標榜していることの本質は、同じ一獲千金の偽装にすぎない。
 老醜を晒す老人たちのアナクロニズムは追放したいが、イージーな一獲千金がたやすく通用すると考える若者たちの愚かしさには、ただ口あんぐりである。
 たとえば、似たような場所で育ち、生きてきた芸人(タレントとかコメディアンとか)の例を挙げると、一方に一回のテレビ番組出演でン百万というギャラを得るものがのさばり、その一方では前途を悲観して自宅マンションから投身自殺をする者がいる。
 そんな衝撃的な結果にならずとも、マスコミという理不尽な世界で翻弄されたあげくの異常ストレス(正常ストレスもある!)から心身症やうつ病に陥ったり、ガンや糖尿病などで辛い生活をしている者は目を覆いたくなるほど多い。
 現在テレビなどでイイ気になっている者の精神やからだは、いずれ壊れると思う。
 たとえからだが維持できても、精神や心が壊れてしまっては「長寿」の意味がない。
 JR尼ケ崎事故とホリエ世代の生き方と、そして現在のテレビメディアの狂躁には、「効率優先」という名の異常がある。
 考えるものイヤな「現代三題ばなし」だ。
 ひたすら「生き急ぐ者たち」の行方は――?

大正・昭和の演劇パンフレット、多数あります(以下は一部)。
お問合せは望田企画室内「日本演劇愛好・普及クラブ」/FAX:03-3928-4255
新国劇一座
昭和四年
青年歌舞伎劇
昭和十一年
帝国劇場
昭和二年
市村座
昭和三年

2005/05/02