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パート2
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はじめに 2001.01.01
  

エッセイ「ニッポンの芸能人」シリーズ8 パート2 第14回 


我欲と虚栄とハレンチ
 「権力と、それにかかわることへの欲望がこの世に渦巻く。その欲望を存分に満たすがよい。それがすべて、いかに愚かしくくだらないものかがわかるから」
 インドの宗教家・思想家であるヴィヴェー・カーナンダというお方がいっている。
 でもね、近頃、権力の座の周辺に群がる人間には、「それがすべて、いかに愚かしくくだらないものかがわかる」なんて気の利いた結論にはとうてい達しないだろう。
 たとえば、日歯連とやらの団体の汚れた金――1億円をめぐる橋本ナニガシとその一座の連中の醜くうさん臭いやりとりを見よ。
 かりにも「選良」として政治の表舞台で総理大臣として君臨した男の、ひたすらだらしなく情けないその心根と堕落ぶりは、アレは何なのか。
 「我欲と虚栄とハレンチ」に呆けたとしか思えない。
 そう、「実業」といわれた業種、企業の経営トップにも同種同病の醜悪な人間がワンサといることはもう、イヤというほど思い知らされた。

紀伊国屋文左衛門と奈良茂など
 「時代もの文庫書き下ろし」という分野の仕事をせっせとやっている。2005年初頭に出る(KKベストセラーズ/ベスト時代物文庫)予定の新作では、紀伊国屋文左衛門などの元禄バブル商人を背景に据えて書いた。
 さんざん作家諸先輩が書いている素材だが、本庄流レシピをどうぞご笑覧あれ、という次第だが――それはそれとして。
 それにしてもだ、文左衛門などの虚実とりまぜての資料を読みあさると、いわゆるニワカ成り金のそのバカバカしくも愚かしいその行動と生涯といったものにあらてめてウンザリする。
 現代でもかのIT関連企業の経営者の中には文左衛門らとまるで同種同病と思われる人間がのさばっていることを痛感する。
 江戸時代の成り金連中は、吉原という女郎遊びのアミューズメントに出張って、とにかく資金にものいわせて、デタラメというべき遊興に入れ込んだ。たとえば、文左衛門が吉原の女郎屋で一族郎党はべらせての雪見の宴を催せば、それをやっかむ奈良屋茂左衛門が、頭上の二階の窓から金銀小粒をばらまく。
 ワッと拾いに集まった者たちでその雪景色は一変して、彼は「ざまあみろ」とほざく。
 文左衛門はその仕返しに、奈良茂が惚れていた女郎を金で買収し、内腿に「奈良茂いのち」と刺青をさせ、妾宅に住まわせて奈良茂にそのそっくりを贈った。
 その文左衛門の「報復」を粋だの洒落れているのと世間は拍手したとか――。
 いまの平成バブル成り金どもが得意げにやっていることも大同小異だろう。(なにしろ吉原なんていうところはないものね)

ゲーノー人たちの堕落もまた――
 かつて映画産業の華やかなりし頃のエピソードを一つ。
 映画の大スターが、関西へ移動するのに一等席(スペシャルシート)がなかった。三等席ならという付け人に、そのスターがいったとか。
「国鉄に命じて、一輌わしのための車輌をつなげばよろしい」
 今は昔のはなしといいたいが、現在のゲーノー界にもこの種のカン違い人間はワンサと棲息している。
 「あいつ、ナニ様のつもり?」というせりふは、限りなく活用できる時代だが、ゲ−ノー界というフィールドでは、ひょんなことで売れて、しこたま金を儲けると、ほぼ100パーセントの者が「ナニ様」もしくは「ナニ様風」に変貌する。
 もっとも、宮様の名を騙り、それらしいキンキラ衣裳をまとって詐欺をやったのもいるが、つくづく思う。「我欲と虚栄とハレンチが作る穴ぼこというのは永遠だなあ」と。

大正・昭和の演劇パンフレット、多数あります(以下は一部)。
お問合せは望田企画室内「日本演劇愛好・普及クラブ」/FAX:03-3928-4258
新国劇一座
昭和四年
青年歌舞伎劇
昭和十一年
帝国劇場
昭和二年
市村座
昭和三年
2004/12/06