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パート2
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パート1
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第2回 2001.01.01
第1回 2001.01.01
はじめに 2001.01.01
  

エッセイ「ニッポンの芸能人」シリーズ45 パート2 第52回 


「芸能界人脈地図`95」という本のこと。
 本屋めぐりは商売柄欠かせない。新刊本はもちろんだが、古本屋の拾い歩きがなによりも性に合っている。
 とりわけ、100円均一本の山をひっくり返して、掘り出し物を見つけるのが楽しい。
 表題の本もその1冊だ。サブタイトルに「日本初900名以上」とある。主役とされているタレントが200名、その交友関係と取り巻き連中のざっと700名の紹介で構成されている。
 いわゆるあの「バブル期」の「大量生産・大量消費」の無意味なまでの愚かしい現象が、この芸能本にもハッキリ示されていて興味ぶかい。この本の発行からざっと10年余前――それは「格差のある社会」の縮図になっているのだ。
 たとえば、麻薬で自滅した者。暴力暴行で逮捕された者。酒気おび運転などでの事故を起こした者。スキャンダルまみれで失速した者。もともと無能なのになぜか人気者になり、すぐに消えていった者。そして過度のストレスが原因と思われる疾病であっという間に逝った人たち……などなど、いまさらのようにその「大量消費」現象にタメ息をついた。
 いや、前出の理由とは無関係に、なんとなく姿を消していった者も大勢いる。

使い捨て「人的資源」というコトバ。
 かつて、人間をモノとしか扱わなかった時代があった。つまり、日本が「アジアの平和」とか「八紘一宇」(はっこういちう――大平洋戦争の時代に世界を一つの家にまとめて統轄するという意味で使われた侵略標語)を押し立てて日本が戦争に突入していったその時代、兵士たちはさまざまな兵器や武器弾薬と同様の、たんなる「資源」とみなされた。つまり、人間もまた消費されることが当然の物質だったのだ。
 いま、テレビを中心とするゲーノーのフィールドに右往左往する者たちが、結果として「使い捨てにされる人間たち」であるとは否も応もなく実証されていることだ。
 それでも、身分不相応のカネを得て、悪賢くエスケープした者もいるだろう。だが、大部分の者たちは、マスコミというドロ船に未練たらしくしがみついていて、一回こっきりの人生をドロドロに汚してしまう。
 そういえば今日(2月28日)の新聞に、警察手帳のニセモノを製造販売して2000万円売り上げたという元俳優3人が逮捕されたとあった。なんともみじめだね。哀れだね。警察手帳のニセモノというのがユニークで、どうしようもなくアサハカで皮肉だねぇ。でも同種同病のゲーノー人って大勢いるんです。心配ですよ、ほんとに。

転進するということの決断と勇気。
 みずから望んで乗り込んだ船がドロ船だと思ったら、その時点で水に飛び込んで、是が非でも早々にやり直す手段を講じねばならない。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあり」である。
 ぼくは、演劇・ラジオ・テレビ、そして広告・コマーシャル、さらにいま小説・脚本書きなどの仕事を通じて、それは大勢の人たちの生き方をじかに見てきた。
 愚かしい人の例はいくらも挙げられるが、「なるほどなあ」という例はそう多くない。
 たとえば俳優牟田悌三さん。あの方はいま、地域と密着しての若者たちの問題などの、地道な活動をしておられる。もう30年になる。
 もともとジェントルでユーモアのある牟田さんのお人柄が好きで、ラジオのDJ番組などをずいぶんご一緒した。
 いっとき、ご一緒に広告制作などの事業をと思ったこともあるが、ぼくの未熟さゆえにとん座したが――。
 テレビなどで荒稼ぎした連中が、ボランティアうんぬんなどとそれらしいコトをエラソーにひけらかすことがあるが、牟田さんにはそれがない。
 ゲーノー界の毒に染まることなく、自分らしい道を歩くには、きわだった決断と勇気が要る。
 浅慮と軽卒とゴーマンさゆえに、みずからを「人的資源」におとしめる人間がウヨウヨいるのはゲーノー界ばかりではない。政治・経済・産業……などの分野にもゴソゴソとうごめいているなあ。

大正・昭和の演劇パンフレット、多数あります(以下は一部)。
お問合せは望田企画室内「日本演劇愛好・普及クラブ」/FAX:03-3928-4255
新国劇一座
昭和四年
青年歌舞伎劇
昭和十一年
帝国劇場
昭和二年
市村座
昭和三年

2006/03/03